横転した観光バスを検証…ポイントはブレーキが正常に機能したか 下り坂でコントロール失い蛇行運転したか 静岡・小山町の27人死傷事故 /今週の静岡

 13日、小山町須走の県道「ふじあざみライン」で観光バスが横転し、1人が死亡、26人が重軽傷を負った事故。現場には少なくとも200メートルにわたってタイヤ痕が残っていて、下り坂でコントロールを失ったバスは蛇行運転の状態で次第にスピードを上げていったとみられています。

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横転した観光バスを検証…ポイントはブレーキが正常に機能したか 下り坂でコントロール失い蛇行運転したか 静岡・小山町の27人死傷事故 /今週の静岡

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事故の前に「警告音」

画像: 事故の前に「警告音」

 その後の捜査関係者への取材で、事故の前に車内で何らかの警告音が鳴っていたことが新たに分かりました。押収したドライブレコーダーの映像に記録されていたもので、バスのブレーキに関連した警告音の可能性があるということです。

メーカーや観光バスの社長らの立ち合いでバスを検証

画像1: メーカーや観光バスの社長らの立ち合いでバスを検証

白鳥衛記者(18日):「これから事故を起こした観光バスの検証が始まります。車体の右側や正面のガラスはほとんど割れていて、事故の大きさを物語っています」

 静岡県警はバスのメーカーや国土交通省の職員、バスを運行していた美杉観光バスの社長ら立ち合いのもと、検証に着手。車体の損傷状況やブレーキの作動状況を確認しました。

「じゃあブレーキ踏みますよ。はい、ブレーキ、離して。ブレーキ」

 県警の捜査員とメーカーの担当者が何やら話し合う様子も…。

画像2: メーカーや観光バスの社長らの立ち合いでバスを検証

白鳥衛記者(18日):「検証開始から3時間以上が経過し、いよいよバスのタイヤが外されました。これからブレーキのドラム部分の色を確認し、フェード現象が起きていたかどうかなど調べます」

「ハンドル切りますよ。もうちょい」

 事故はなぜ起きてしまったのか。検証の最大のポイントはブレーキが正常に機能する状況にあったかどうかです。事故を起こしたバスのブレーキは、「ドラム式」と呼ばれるものでした。フットブレーキを踏むことで「ブレーキシュー」がタイヤの内側にある「ドラム」に押し当てられ、ブレーキがかかる仕組みです。ブレーキを使い過ぎると、過熱とともに摩擦力が減少し、利きが悪くなるとされています。

 捜査関係者によると、検証の結果、「ドラム」は熱によって焼けたとみられ、変色していたことが新たに分かりました。フットブレーキの使い過ぎによって「フェード現象」が発生し、事故につながった可能性が高いということです。

運転手は『ブレーキが利かない』

クラブツーリズム 酒井博社長(13日):「添乗員はドライバーが『ブレーキが利かない』と言っていた」

 バスの26歳の運転手は警察の調べに対しても「ブレーキが利かなかった」と話しているといいます。

 警察は「フェード現象」によって事故が起きた可能性が高いとみて、捜査を続ける方針です。