茶園で相次ぐ「送電線」盗難 「おじさん、防霜ファンの線いらないでしょ?」…不審な出来事も 静岡・掛川市
秋田製茶 秋田稔会長:「もう、がっかりしたよ。これを見てね、あれ?って。本当に、もうあぜんとして世の中、変なふうになったなっていうことを感じる」
現場は山道をしばらく奥へ進んだところにある茶園の中です。
和田佳代子記者:「被害にあった茶園の現場ですが、山に囲まれていて、人気がありません。送風機に電気を送る動線が切られていて、盗まれたということです」
送電線17本のうち15本が切断され…
袋井市の製茶会社が管理する掛川市横須賀の茶園。7月16日、送風機の送電線17本のうち15本が切断されてなくなっていました。
秋田製茶 秋田稔会長:「垂れ下がっている線を見つけて、あれ変だなって思って、周辺を見渡したら、全部ついてないで、もう切断されて持ってかれちゃった」
送風機は、お茶の木を霜による害から守るために、敷地内に16基設置されています。その全てが使えなくなりました。
この茶園は通常、4月中旬から5月まで、芽が出た茶が成長する段階で寒さから守るため、送風機を稼働させています。5月下旬、秋田さんが電源を切るために茶園に来たときは、送電線はあったそうです。
秋田製茶 秋田稔会長:「6月の下旬、そこらぐらいにやられたのではないか」
7月上旬に不審な出来事…「防霜ファンの線いらないでしょ?」
振り返ると、7月上旬、不審な出来事があったといいます。
袋井市の茶園で作業していた秋田さんに突然、外国人と見られる男性3人が。目の前にある荒れた茶畑を見ながら話しかけてきました。
男性「おじさん、防霜ファンの線いらないでしょ?」
秋田製茶 秋田稔会長「『ちょうだい、ちょうだい』って、買うんじゃないんだよね。いらんっていうより、いくら(お茶を)作っていなくても、お茶を栽培していなくても、それを持っていっちゃいかんよっていうことを言ったわけ」
すると3人はその場を後にしたといいます。
被害は150万円以上に
掛川市横須賀の茶園の被害額はおよそ150万円に上るとみられています。
秋田製茶 秋田稔会長:「なかなかお金もかかるわけ。(送風機を含めて)当時500万円くらいかかっているもんだよな。非常に投資金額が高いし、茶が低迷しているときだから、なかなか元が取れない。どこでもみんな取られちゃうと困る」
秋田さんの所有する掛川市大渕にある別の茶園でも同様の被害が出ているといいます。
いずれも目につきやすい一番手前の送風機の送電線は切断されておらず、2番目のものから盗まれていました。
秋田製茶 秋田稔会長:「非常に巧妙な犯行だと思う。山間地に茶園をもっている茶農家の皆さんは、一人ひとりが気を付けてもらって、各自、茶園に回っていただいて、盗まれるかわからないから自己防衛するということで、取られてしまって今になって後悔だけだね」
来年4月まで送風機は使用しませんが、修理費用が高額なためどう工面するか頭を悩ませています。
被害を防ぐには…
このような被害を防ぐ有効な対策はないのでしょうか。
静岡県警生活安全企画課 鈴木大輔係長:「防犯カメラやセンサーライトを設置する。またその効果を高めるための看板を設置するという対策があります。もうひとつは地域住民によるパトロールも有効な手段だと思われる」
警察は7月18日、掛川市横須賀の茶園について、秋田さんの被害届を受理し、窃盗事件として捜査をしています。