静岡市の山間部で違法な盛り土を行った残土処分会社の男ら2人を逮捕 違法行為認識し、1億円以上の利益も…
「午前7時すぎです。容疑者を乗せたとみられる車が今、静岡中央警察署に到着しました」

「会社の経営などが苦しくなるため続けた」
県砂防指定地管理条例違反などの疑いで逮捕された静岡市葵区羽鳥の残土処分会社の元社長の男(84)と息子で現社長の男(41)です。
2人は国が「砂防指定地」に定めた静岡市葵区の山間部「杉尾地区」と「日向地区」に知事の許可を得ずに盛り土を造成し土地の改変を行った疑いが持たれています。
警察の調べに対し、元社長の男は容疑を認めていて、現社長の男は盛り土をした時期を一部否認しているものの、概ね容疑を認めているということです。
現社長の男(41):
「県と市からの行政指導を受けていました。職員が現場に来ていないので土砂搬入を続けました。違法な行為とわかっていたが、会社の経営や、従業員・家族の生活が苦しくなるため続けました」

日向地区の土砂の量は熱海の盛り土の約5倍
警察によりますと、違法行為は、日向地区が2005年から、杉尾地区が2018年から始まったということです。
2人は10tダンプ1台につき1~2万円で市内の土砂を受け入れ、2018年からの5年間で1億円以上の利益を得ていたとみられます。
県内最大の危険な盛り土。
杉尾地区の盛り土はおよそ1.8ヘクタール、日向地区はおよそ6ヘクタールに及んでいるとされています。
日向地区に盛られた土砂の量は、おととし甚大な被害を引き起こした熱海市の伊豆山に造成された盛り土のおよそ5倍と推定されています。
さらに盛り土の勾配は、国が土石流発生の目安としている15度を大幅に上回る23度。
熱海市の盛り土の14度よりも急な傾斜角だということです。

川勝知事も現場を視察
各務実来記者:
「違法な盛り土が造成されたとされる現場に知事が入りました。これから県職員らと視察するとみられます」
先月、川勝知事は、およそ1時間にわたって盛り土が造成された現場を視察しました。
川勝知事:
「やっぱり巨大な盛り土であるなと。これはちゃんと届け出て、きちっと盛り土の許可も得なくちゃいけないんですが、それがなされないまま今日に来ているので、県としては厳しく今この盛り土をした方に指導している段階だと」
県は2005年に住民からの通報を受け、日向地区の盛り土の存在を把握。
2006年には事業者に口頭で注意したほか、文書でも指導しましたが、事業者は「自分の土地に土砂を捨てているだけ」と応じなかったということです。

川勝知事「現場主義が徹底していなかったことは大反省」
一方、杉尾地区の盛り土について、県は2019年に口頭で行政指導を行い、事業者は「検討する」と回答したといいます。
しかし、その後もこの2カ所への土砂の搬入が止まることはなく、去年6月から7月ごろまで続いていたということです。
県は、熱海市で土石流災害が発生した後、事業者に再び指導を行いましたが、これまで強制力のある撤去命令は出していません。
川勝知事:
「これまでは我々の盛り土条例のようなものがありませんでしたから、できる裁量のことをしてきたというのがこれまでだったと思います」
Q.これまでの対応に問題はなかったということでよろしいでしょうか?
川勝知事:
「現場主義が徹底していなかったことは大反省点じゃないでしょうか」
今後の対応について県の担当者は・・・
県交通基盤部 杉本敏彦砂防課長:
「ものすごい量なのでその土をいかに処理していくかが大きな課題として残っている。今後の進め方も相手の対応状況によっては、県としての動きも変わってくる」
警察は今後2人の余罪と、他に共犯がいるかどうか捜査で明らかにしていくとしています。
