「戻してほしいなら金払え」…医療機関に「ランサムウェア」ウイルス 電子カルテのアプリ起動せず 町でも不安の声 静岡・沼津市

 10月27日、静岡県沼津市内の医療機関で保管されている電子カルテに異変が…。

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 この医療機関を襲ったのは、「ランサムウェア」と呼ばれるコンピューターウイルス。このウイルスに感染すると、パソコンに保存されたデータなどが勝手に加工されてしまい、元の状態に戻すことが難しくなってしまいます。さらに、「戻してほしいなら金銭を支払え」と要求をされることも特徴の1つです。

 サイバー攻撃の被害にあった沼津市内の医療機関では、10月27日の朝に電子カルテのシステムに不具合が発生しました。パソコンの中に入っている電子カルテのアプリが起動しなかったといいます。

 さらにおよそ1時間後、パソコンの画面には、英語で突然こんなメッセージが…。
 
「暗号化したデータを解いてほしければ金銭を支払う必要がある」

被害に遭った病院がのHPには、「ランサムウェアの攻撃により、診療記録や予約情報が暗号化されてしまった」と記載されています。電子カルテには少なくとも、患者2000人のデータが保存されていました。ただ、これまでに個人情報の流出は確認されていないということです。

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 パソコンの画面に現れた英語のメッセージには、連絡を求めるアドレスも記載されていましたが医療機関側は連絡も支払いもしていないということです。今後は警察や厚生労働省に被害を報告し、紙のカルテを使うなどして通常通りの診察を行っていくということです。

 静岡県によると、今年に入り県内の医療機関でサイバー攻撃による被害は今回が初めてだということです。

 実はこうした被害は静岡だけではありません。

 10月31日には大阪府にある大阪急性期総合医療センターが、沼津の医療機関が被害に遭ったのと同じ「ランサムウェア」によるサイバー攻撃を受け、電子カルテが閲覧できなくなりました。9日までは通常診療ができない状況でしたが、10日からは電子カルテの一部が利用できるようになったということです。また、去年10月には徳島県の病院でもサイバー攻撃によって電子カルテのシステムが使えなくなり、完全復旧までには、およそ3カ月の時間がかかりました。

街では

 生活に身近な医療機関という場所で起きたコンピューターウイルス被害。個人情報を扱っているため、不安の声も聞こえてきます。

画像: 街では

会社員(新潟県)50代:「カルテが見られなくなるということは、それ以前にどんな治療をしたのか、どんな薬を処方したかもわからなくなると思うので、主人は糖尿病を持っていて、ずっと薬を9種類も10種類も飲んでいるので、以前のことがわからないと大変」

公務員(焼津市) 60代:「長年かかっている病院もいくつかあるので、一から説明したり、病気の経過を先生がわからなくなると戸惑いが出てくる。知られたくないものもあるし、それが仕事の方に制限を加えられたりすると心配」