【特殊詐欺】「『逃げられないよ』と脅され」…手を染めた少年の後悔 詐欺電話受けた人は「馴れ馴れしく話してきて…」

静岡県内で現金をだまし取られる特殊詐欺事件が相次ぐ中、詐欺行為をした人や詐欺電話を受けた人の生の声を取材しました。そこから見えて来るものとは…

画像: 相次ぐ被害「特殊詐欺」詐欺電話を受けた人の声と詐欺に加担した少年の話 youtu.be

相次ぐ被害「特殊詐欺」詐欺電話を受けた人の声と詐欺に加担した少年の話

youtu.be

詐欺の電話を受けた人:
「いかにも馴れ馴れしく電話してきて、「誰?誰?」と言っていたら、最後に私の息子の名前を言った。もう全然声が違うし、これはもうオレオレ詐欺だなと直感で思いました」

 こう話すのは静岡市清水区に住む69歳の男性。

 去年、オレオレ詐欺の電話を受けました。

 息子を装ったオレオレ詐欺電話。その実態とは!?

詐欺の電話を受けた人:
「突然、携帯の電話番号にかかってきた。日頃非通知の電話番号は出ないようにしていたが、しっかりした携帯番号だったので、出てしまった。

 男性の元に電話がかかってきたのは去年11月。

 息子を名乗る男から「会社の契約をするため、至急お金が必要」、「お金を下ろしてきて」と金銭を要求する内容でした。

詐欺の電話を受けた人:
「いろいろ書類を持ったバッグを電車の中に忘れてしまったと。契約書と支払伝票入っていたと、それをきょう中に払わないと、もう信用問題になるから困ってしまう。一部は上司が立て替えてくれると足りないものがあるから何とかならないかという話だった。500万円ぐらいって言ったか。」

Q:現金で500万円用意してくれ?すぐに?

画像1: 【特殊詐欺】「『逃げられないよ』と脅され」…手を染めた少年の後悔 詐欺電話受けた人は「馴れ馴れしく話してきて…」

詐欺の電話を受けた人:
「ただ、私も相手が声が違うので、詐欺かなと分かってたんで、「今手元にお金が無いと、銀行に行かないと下せないよ」っていう話をした」

 電話は息子役、息子の上司役、そして電車でバックを見つけた駅員役と3人の男からあったといいます。

詐欺の電話を受けた人:
「定期的に30分ぐらいおきにかかってきた。相手がじゃあ、お金下ろしに行くと。キャッシュカードしかないから、1回50万円しか出せないから、なんとしても100万円手元にないかって言うので、「ちょっと生活用のお金はおいてあるよ」「ならそれ全部用意してもらいたい」と」

 不審に思った男性は息子に連絡。

 詐欺であることが発覚し、警察に通報しました。

Q.自分の身にもこんなことが起こるなんて思っていたか?

詐欺未遂にあった人:
「思ってなかった。だから(電話が)来て、やっぱりびっくりした。」

その後、電話を掛けてきた男は、警察に逮捕されたということです。

詐欺未遂にあった人:
「日頃から、例えば自分の息子の会社の所在地だとかどんな仕事してるとか。通勤に何を使っているかそのぐらいはある程度知っておけばおかしいなということですぐわかると思う。あんまりお疎遠になっちゃっていると、年に何回かしか会わないと、そういう隙をつかれてしまうので、日頃からやっぱり子供達と接してやっぱりつながりを持っていくことが必要かなと思った」

画像2: 【特殊詐欺】「『逃げられないよ』と脅され」…手を染めた少年の後悔 詐欺電話受けた人は「馴れ馴れしく話してきて…」

静岡県内の被害実態

 減らない特殊詐欺。

画像1: 静岡県内の被害実態

 静岡県警によりますと、今年だけで119件の特殊詐欺被害が確認されています。

 また被害にはならなかったものの、そうした特殊詐欺の電話は先月だけで633件ありました。

静岡県警 生活安全企画課 尾藤厚至 警部:
「息子などを語ったオレオレ詐欺電話であったり、あとは市役所職員を語って還付金がありますといったうその電話をしてお金を振り込ませるような電話と、その他にも実在する会社を使って個人情報を聞き出す家族構成を聞き出す電話も発生している」

画像2: 静岡県内の被害実態

 直近では13日に富士市内の90代の男性が孫を名乗る人物からの嘘の電話を信じ、現金1200万円をだまし取られる被害が発生。

 19日にも富士市の高齢女性が息子を名乗る男らからの電話を受け、2回にわたり合わせて現金600万円をだまし取られる特殊詐欺事件がありました。

詐欺に加担した少年の供述

※県警提供
特殊詐欺に加担した少年:
「6割は断れなかったのと、4割はお金の欲しさでやってしまった。」

 こう話すのは、特殊詐欺に加担した少年です。

 県警が公開したこちらのインタビュー動画。

 現在、少年院に在院する少年の“生の声”です。

 そこからは「詐欺をする側」の生々しい実態が垣間見えます。

画像1: 詐欺に加担した少年の供述

「報酬の額は1週間で20から30万円でパーセンテージが高ければ、50、60万円はもらえると聞いていた」

「1週間終わってもらった金額は、提示された金額より14万円低く、6万円ぐらい」

 “甘い言葉”で少年は“先輩や仲間”から詐欺の道に誘われました。

 なぜ抜け出せなかったのでしょうか─

「やめた後、何かされるのではないかという恐怖があった。」

画像2: 詐欺に加担した少年の供述

「1回やめたくて1回逃げたが、そこで「逃げられないよ」と脅された。」

 抜け出すことが出来なくなった少年。

画像3: 詐欺に加担した少年の供述

 最終的に少年院に入ることとなりました。

画像4: 詐欺に加担した少年の供述

「捕まる以外で抜け出す方法がわからなく、「やっとやめられる」という思い。」

「そういう甘い話にのらず、怖いと思うけど断る力を持って、1人で断れなかったら家族、家族にも言えなかったら警察に相談していく方が自分の将来を守れると思うので、誘われたら、まず周りの人たちに相談することが一番いいと思う。」

画像5: 詐欺に加担した少年の供述