寝ている園児に「ご臨終」…裾野市の保育園で虐待　子どもの安全対策は…浜松市には28台のカメラで見守る園も【重大ニュース静岡2022】

寝かしつけた園児に「ご臨終です」

　保護者説明会で、３人の元保育士による悪質な行為の数々が明らかになりました。

保護者説明会（音声提供　保護者）　　
櫻井利彦元園長：「泣いている園児の写真を撮って笑ったＡ・Ｂ保育士。登園が遅い児童に『なぜ遅い？』と怒鳴ったＢ保育士。園児を探す機会に用紙を誹謗するような言葉を使ったＡ・Ｂ保育士。ファイルで園児の頭を叩いたＣ保育士。給食を食べない園児に対し、頬をつねる行為をしたＡ・Ｂ保育士」

　３人は他にも園児を倉庫に閉じ込める。足をつかんで逆さづりにする。お昼寝の時間に寝かしつけた園児に「ご臨終です」と繰り返し発言するなどといった行為をしていたといいます。

説明会で保護者の怒りが爆発

　質疑応答に移ると、保護者の怒りが爆発しました。

保護者説明会（音声提供　保護者）
保護者①：「（涙ながらに）ニュースで報道されていたことより、よっぽどひどいことをしているじゃないですか。宙づりにするとか、ご臨終だとか、自分の子どもがそんなことされていたらと思ったら…、どう思います？」

保護者②：「隠そうとでもしたんですか？　バレなきゃいいって」

保護者①：「当事者３人、ここに連れてきてよ。今すぐここに」

さくら保育園　櫻井利彦元園長：「１人は連絡も取れない」

保護者：「は？　なぜですか？」

元保育士「新型コロナの影響で業務が増えた」　同僚「見て見ぬふり」　

　元保育士３人は先月末までに園を退職。そして今月に入り、３人は暴行の疑いで警察に逮捕されました。長い期間、園の実情を知らされなかった保護者。憤りを口にします。

１歳児の保護者（１２月１６日）：「ほっぺたがずっと何週間も青くて、先生が『ぶつけちゃった』みたいなこと旦那が聞いたんですけど。とにかく許せないですし…ずっとこのことは覚えています」

　逮捕された３人のうち、３９歳の元保育士と面会した弁護士によると、「新型コロナの影響で業務や気を遣うことが増えた」と話しているということです。

原孝至弁護士（１２月６日）：「やっぱり保育の現場というのはすごく忙しい職場のようです。その中で不適切なというか、雑というか、荒っぽいというか、そういう行為になってしまった。今非常に不適切だったと話をしている」

　捜査関係者によりますと、３０歳と３８歳の２人の元保育士は、反省した様子を見せつつ、悪ふざけが常態化し、感覚が麻痺していたという趣旨の供述をしているということです。

　また、市が公表した園の職員会議の資料からは、「別の職員なども見たり聞いたりしているが、助けることや注意することもなく見て見ぬふりをしていた」ということも明らかになりました。

安全対策に力を入れる保育園は…

　子どもたちを虐待から守るにはどうすればいいのか。ハード面で、園児の安全対策に力を入れている浜松市の保育園を取材しました。

原川朋華記者（１２月２１日）：「こちらは保育室なのですが、天井にカメラが設置されています。このカメラは保育室の中だけでなく廊下にもついています」

　園児の安全を見守るカメラは園庭のこんな場所や、駐車場のこんな場所にも…。その数、２８台に上ります。撮影された映像は園長室と職員室から確認することができ、直近２カ月間分は保存されるため、さかのぼって見返すことも可能です。

運営会社　愛ノ宮　大石隆久社長：「安全を担保するかたちとしてカメラを導入し、何か異常が起きたときに原因追究ができるようにということで、設置しています。お友達同士で遊んでいるときにちょっと転んでけがをしたという際に、その時の職員の配置がどうだったか、職員の声掛けが正しかったかという振り返りをする際に使っています」

　保育士は、カメラの存在が虐待の防止にも効果があると感じているようです。

浜名愛ノ宮保育園　清水夏実園長：「監視という目的ではなくて、安心・安全という視点をもっていけば、カメラが付いていることで保育に対する姿勢も変わってくるし、誰に見られても文句のない保育、保育に自信を持てる先生が増えていけば、虐待をするような保育にはつながらないと思います」