「いつ入ってくるかわからない」医療現場では薬不足が深刻化…がんや生活習慣病など身近な薬にも影響が

浜松医療センター 薬剤科 川口千香科長:
「医薬品不足、当院でも悩んでいます。実際供給不足のものが100品目ぐらい」

 ずらりと並ぶ、「供給不安定」の文字。静岡県内の医療現場では、深刻な薬の供給不足に直面しています

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「いつ入ってくるかわからない」医療現場では薬不足が深刻化…がんや生活習慣病治療薬など身近な薬にも影響が

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納品のめどが立たない薬も

浜松医療センター 薬剤科 川口千香科長:
「コレステロール(を下げる)薬とか、心臓の薬とか胃薬とか、生活習慣病に使うようなすごくよく処方される薬が供給不足に陥っていますし、一時期は鎮静剤とか、一部の抗がん剤もなかった時があって、抗がん剤治療患者に待っていただくことも難しいので、非常に対応が大変でした」

 抗がん剤のケースでは、患者の優先順位を明確にすることで何とか対応したそうです。

 供給が滞っている薬の一部は、納品のめども立っていないといいます。

浜松医療センター 薬剤科 川口千香科長:
「通常は発注して翌日に納品されます。ですが、今は全く入ってこないものがありまして、しかも、いつ入ってくるか分からないんですね。大変対応に苦慮しております」

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ジェネリック医薬品が不足

薬の供給不足は全国的に問題となっています。

 日本製薬団体連合会が223社にアンケート調査をした結果、およそ3割の医薬品が出荷を制限したり、停止したりしていることが分かりました。

 このうち、およそ9割を占めているのがジェネリック医薬品です。

 ジェネリック医薬品のメーカーで不祥事が相次ぎ、行政処分を受けるなどして、様々な薬が出荷停止となったことが背景にあります。

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コロナも影響

長期化するコロナ禍で、せき止めの薬の需要が高いことも一因です。

浜松医療センター 薬剤師 墨岡晃子さん:
「同じ成分の薬とか、同じような効果のある代わりの薬を探して、手に入るもので在庫を確保しています。患者の病気の状態とか、アレルギーとか、そういった関係で薬を変えられない患者も一定数おりますので、そういった患者に優先して薬を使用できるように工夫しています」

 具体的には錠剤の薬が不足した場合、同じ成分の粉薬や液体の飲み薬で補うそうです。

 ただ、薬品の量を測ったり、異物混入がないか調べたりと、負担は増しています。

 供給不足の薬を医師にメールで共有する作業も、今や日常業務になりつつあります。

浜松医療センター 薬剤科 川口千香科長:
「不安だからちょっと大目に薬を出してもらうとか、念のために家族の分ももらうとか、余分に薬を欲しがることは控えていただけたらありがたい。その行為で本当に薬が必要な人に、必要な薬が届かないことがあるかもしれないことを考えていただいて、主治医と相談して必要な薬を飲む、処方を受けることを心がけていただきたい」

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