静岡大学に28年ぶり『新学部』 注目は「大学再編」…静岡キャンパス関係者「学生ファーストで」「1法人1大学モデルに期待」


静岡市 田辺信宏市長(3月24日):「モデルチェンジ案に期待をしている。私はこれからの静岡大学が、県の東部地域にも視野を広げてモデルチェンジをしてほしい」
4年前に「1法人2大学」案で合意も…

静岡大学と浜松医科大学は、少子化などを背景に2019年、2つの法人を1つにした上で、浜松地区・静岡地区にそれぞれ新たな大学をつくる「1法人2大学」の統合・再編案に合意。しかし、この案に慎重な立場をとる新たな学長が選ばれたこともあり、静岡大学側は、静岡地区の学部が減ることや地元の理解が得られていないことなど理由に統合・再編の無期限の延期を発表しました。
日詰学長「1法人1大学」案で学内調整⇒浜松医大と協議したい意向
統合・再編に反対の立場をとる静岡大学の日詰一幸学長は、自らの考えとしてこんな提案を…。

静岡大学 日詰一幸学長(2月9日):「2つの大学を1つの大学にしていくことがひとつの選択肢、あるいは最善の選択肢としてあるのではないか」
かつて合意した「1法人2大学」ではなく「1法人1大学」を打ち出したのです。つまり、考え方として、静岡大学が浜松医科大学を「医学部」のような形で受け入れるプランです。しかし、これに浜松側が反発。溝が埋まらない状態が続いています。
静岡大学 日詰一幸学長(3月7日):「本学は状況の変化に伴い、(議論が)袋小路に陥っている状況であることから20年後、30年後を見据えた大学統合も含めた法人統合・大学再編の“モデルチェンジ”を検討すべきであるとこのように考えている」
日詰学長はこれまで私案にとどまっていた「1法人1大学」案を基本的な考えとして学内で調整し、合意を得た上で、浜松医科大学と協議したい考えを示しました。
静岡キャンパス「1法人1大学モデルに期待」「学生ファーストで」
これを、静岡大学静岡キャンパスの関係者はどのように受け止めたのでしょうか。
静岡大学関係者A:「ようやく新たな代案を出す方向に進むのは歓迎だ。研究教育の総合性と多様性が発揮できる1法人1大学モデルを期待したい」
静岡大学関係者B:「現状のままでは一歩も進めない。この4年間、法人本部(浜松か、静岡か)の場所や、大学名すら決まらなかった。モデルチェンジ案を考えるのは当然だと思う」

静岡大学関係者C:「何の目的で大学の改革をするのか、静岡や浜松ではなく、あくまで学生ファーストであることを期待したい」
静岡大学では静岡キャンパス側が統合・再編に「反対」の立場を取っていますが、浜松キャンパス側は「賛成」の立場を取っています。
副学長(浜松キャンパス)「2大学でミッション明確化したい」
3月21日、医学と工学の連携の取り組みをアピールしようと静岡大学と浜松医科大学、両大学によるシンポジウムが開かれました。実は両大学で研究をするなど、これまでに多くの場面で連携をしてきた過去があります。大学の統合・再編によって「ものづくりの街・浜松」で企業などとも協力して、研究などをしていきたい狙いがあるのです。
その上で「1法人2大学」の意義を次のように話します。
浜松医科大学 今野弘之学長(3月21日):「同じ法人のもとに特徴を有する2つの大学が、それぞれの地域に拠点を構えることで、迅速な意思決定が可能となり、機動性が飛躍的に高まる。世界と勝負できる大学法人へと進化することが期待できる」

静岡大学 川田副学長:「1法人の中に8学部があるような非常に大きな法人が設立されるということがまず第一点で、その中に2大学をつくってミッションを明確化して筋肉質の大学をつくっていくことが非常に重要であると私も考えている」
政治の舞台でも意見割れる

一方、政治の舞台でも「静岡」と「浜松」で意見が割れています。静岡大学側の1法人1大学案の動向を見守る静岡市の田辺市長は…
静岡市 田辺信宏市長(3月24日):「多種多様な学部を擁する大学として、ポスト100年発展してもらえればいいなと、東部地域にも何か拠点を作るとか、そういう形で受け皿が大きい大学、それが入学生を増やすことにもなってくる」
Q.具体的何か聞いたりしていますか?
A.「今、目下目下で今年度中に取りまとめてということを言っていたので、
なるべく早くお願いしますということを伝えてある」
一方で、浜松市の鈴木康友市長は…
浜松市 鈴木康友市長(2月27日):「医学部を入れただけで大学が底上げされるわけがなく、だったら三重大学も山梨大学も信州大学も、そういった地方大学がなぜ地盤沈下していくのかと。今の問題は一県一大学みたいな形で特徴のない総合大学がいっぱいあることが問題」
静岡・浜松の両市長の任期も残りわずか。新たな市長のもとで、この問題は解決することができるのでしょうか。