「工事止めて」「津波怖い」病院移転で猛抗議 静岡市長は説明会拒否?
市職員「止めません」
反対住民「止めない?あなたそれで責任者?」
市職員「はい」
反対住民「市長を連れてきな、市長を」
病院の建設予定地で、飛び交う怒号!さらには…
市職員「すみません。危険ですので入らないでください」
中には敷地に入り、無理やり作業を止めに行く反対住民も…。
老朽化した静岡市清水区の桜ヶ丘病院を「津波浸水想定区域」に移転させる工事に、反対派住民が猛反発しているのです。
きょう、静岡市の田辺市長はこの工事について次のように語りました。
田辺市長:
「工事を進めるという意思は変わりません。清水区の医療体制の充実と言うのは待ったなしであります。港町から発展した中心市街地がすべて津波想定区にある清水の特性を考えると、このように決断をせざるを得なかったというのが率直な思いであります。今はこの決断に反対の市民もいることは十分承知していますが、この病院ができて良かったと思ってくれる日が来ることを夢見て取り組んでいきたいと思います」
反対住民:
「ものすごく怖い!私は単純に怖い!それがみんなが反対している理由です!ここに絶対つくってもらいたくないです!」
反対住民:
「東日本大震災の教訓を全然学んでいませんね。静岡市役所の人たちは」
桜ヶ丘病院の移転先となっているJR清水駅東口公園が、騒動の舞台となっています。
この公園は、海からわずか200メートル。津波浸水想定区域として、指定されている場所でもあるのです。
反対派住民たちの抗議をよそに、進められる工事。
反対住民:「話をしている最中になぜやるの?」
市職員:「正式に手続きを踏んで」
反対住民:「違うの!人間としてのルールとして、話している最中にね、なぜあなたは(工事を)止めないの」
桜ヶ丘病院は清水区に3つある市指定の救護病院の1つで、長年、この地域の医療を支えてきました。
しかし、築60年を超える建物にはひび割れやサビなどが目立ち、老朽化が指摘されています。
そして去年12月、病院側と静岡市は、JR清水駅東口公園へと移転することで合意しました。
市民の声:
「駅に近いというのはすごいいい事だと思う。通いやすいというのはいいと思いますけれど」
「もう歳だからバスにも乗んなくなる。だから(駅に近い)あそこが一番いいところなんだよね。場所としてはね」
「向こう(現在の病院の場所)の近辺に立てばよかったのにと思って。向こうの人も便利だしね」
市民の間でも賛否が分かれています。
先月、病院側は住民説明会を開催しました。
桜ヶ丘病院 内野直樹院長:
「(建築費)全体予算60億円ちょっとくらいしか組んでおりません。その60億のうちの約20%近くを災害対策にあてようと考えました」
住民:
「地震や津波の危険度の高い所に なぜ建築費の20%の対策費をかけるのか。内陸部のしっかりしたところを選ばなかったのか」
桜ヶ丘病院 内野直樹院長:
「移転予定地の選択に関してお答えする立場にないと、答えているわけです」
こちらが病院の完成イメージ図です。
津波対策のため、1階部分は駐車場などとして使い、最大浸水想定の2.66メートルを上回る高さ5.6メートルの2階から上の階で診察や入院などを行います。
住民:
「津波が襲ったら海水だけではないですね。がれきや船舶も打ち上げられる2階や上の階が潰れることも予想されます。こうしたことは計算に入っているのか?」
桜ヶ丘病院 内野直樹院長:
「敷地を取り巻くように50cmの高さでコンクリートの擁壁を作ります。入院の患者さんに関しましては5階以上のフロアに入りますので、なかなか災害時に避難のできにくい方は5階以上にいますから、より安全な場所にいられると思っています」
さらに病院側は、屋上にヘリポートを設置するなどの災害対策を強調しましたが、説明会の現場では不安の声が相次ぎました。
反対派住民と市側の溝は深まるばかりです。
反対住民:
「地元の説明会はやるつもりですか。至急やってほしいんですけど。それがない限り、工事はストップしてほしいと思います。どうでしょうか。」
市職員:
「説明会については開催する予定はございません。」
反対住民:
「なぜですか?」
市職員:
「皆様の代表である議会の議決を経て、ここのところに工事を着工するということで、議決をいただいているということでございます」
そして、おとといも。
反対住民:「説明会やるべきですよ。なんでやらないのか意味分かんね」
静岡市はこれまで、広報誌や市長の記者会見、市民の代表である市議会を通じて、説明を十分してきたと主張、今後も市主催の説明会などを開く予定はないとしています。
一方、反対派の住民グループは、市議会に請願書を提出する手続きを行なうために、静岡市役所を訪れました。
夜には会合を開き、市に説明会の開催を求めていく方針を確認しました。
反対住民:
「広報誌とか、そういうのには簡単な説明っていうのがありますけどね。やはりしっかりとした説明会。地元の方を中心とした説明会の開催を早急に開催してほしいとは思います」
市主催の住民説明会を求める声に、きょう田辺市長は。
田辺市長:
「市主催の住民説明会だけではないというのが私の認識です」
「(Q市民側としては記者会見や議会でなく、直接清水区に市長自身が出向いてちゃんと説明して欲しいと。直接出向かない理由、あるいは市主催の説明会はなぜ嫌なのか。その根源的なものについてはどういうふうに説明されますか?)この病院をつくる経営主体はJCHOです。JCHOがこのような病院を作りたいという説明をするのが筋です。JCHOが何とか撤退しないように努力しているのに、地元の住民から反対だ反対だと言うことになりますと、もうこれは、そっちのほうに行ってしまうのではないかと危惧している。私がそうやって説明責任を果たしたことによって、前向きな議論になるのであるならば、私は積極的に質問に説明をしていきたいと思っております」
「(Q前向きな議論も市民と意見の応酬だと思うが、マイナスの部分も含めて、全体に責任を持つのが首長の使命と思う。そうした場に出向いて話をする考えは改めてあるか?)わかりました。そのご意見をしっかりきょうは受け止めさせていただきます」