【リニア】進展なるか…動き出した『水問題』 「残土置き場」「自然環境への影響」…課題山積 /今週の静岡
静岡県 川勝平太知事(5月31日 期成同盟会総会):「静岡県は一貫してリニアに賛成しております。このリニアの技術は日本の誇るものであり、これを次世代に継承発展させていかなければならないと思っています」
JR東海は、2027年の開業を目指していましたが、現実には、数々の難題が…。リニア工事最大の難所が延長25km、深さ最大1400メートルの「南アルプストンネル」。このうち、静岡工区はおよそ8.9km。
静岡県は、工事によって大井川の水が減ってしまう恐れや、トンネルを掘る際に出る大量の残土をどこに置くのか、解決していない問題があるとして、県内の工事を認めていません。これにより、2027年の開業は困難となっています。
県民からは
島田市民:「やっぱり大井川の水はなくなると近隣の住民が困ると思うので、それが一番困る」
長泉町民:「私ら東部では、丹那トンネルがあった。その時にやっぱり水がなくなってしまったので」
静岡市民:「やっぱり水問題ですよね」
動き始めた『水問題』
県が工事を認めるにあたって大きな壁となっているのが水問題。今週ようやく動き出しました。
JR東海
「このたび、静岡県から回答のあった前提について確認がとれたため、本日、東京電力RP(リニューアブルパワー)との協議を開始しました。大井川流域の皆様にご安心いただけますよう、引き続き、B案(田代ダム案)の実現に向けて取り組んでまいります」
JR東海は今週木曜日、トンネル工事に伴う湧き水の流出対策として提示した「田代ダム案」について、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワーと具体的な協議に入ったことを明らかにしたのです。
目を引くエメラルドグリーンの湖、「田代ダム」。東京電力のグループ会社が管理しています。大井川から水を取り、発電のため山梨県側へ水を流しています。
「田代ダム案」とは、静岡県側から山梨県側に流出した水の量と同じだけ田代ダムの取水量を減らすという案。去年4月に提案されましたが、この案をめぐっては、静岡県側が「水利権」を引き合いに慎重な姿勢を示し、JR東海が東京電力との協議に入ることを認めていませんでした。
静岡県 川勝平太知事(去年12月):「田代ダムの取水制限をすると、それが全量戻しの代替案だという。そういう言い方をJR東海がなさったわけですね。しかしながら、そもそもJR東海さんが取水制限をするべき田代ダムの水利権を持っているわけではありませんから、部外者なわけですね。南アルプストンネル工事と田代ダムの取水抑制は別の事柄です」
その後、JR東海と県は、東京電力と協議を始めるための前提条件について文書を通じて何度も修正を重ねてきました。
そして県は、JR東海に対し、流域市町や県が、田代ダム案を理由に水利権を主張しないことを条件に東京電力との協議にGOサインを出したのです。
協議開始に静岡・難波市長は
これを受けて今週始まった、JR東海と東京電力の協議。これまで県の副知事や理事としてリニアを担当してきた静岡市の難波市長は。
静岡市 難波喬司市長
Q.田代ダム案が進むことで、ひとつこの問題の着地点、見通しは?
A.問題は3つあって、「水問題」。水利用の問題です。それから、「発生土砂の置き場の問題」。そして、今度は地下水等が下がることによって、南アルプスの自然環境への「生物多様性の問題」。この3つがあります。田代ダム案はこれで、水利用の問題については、田代ダム案で、ある程度前に進むと思いますので、これはこれで推移を見守ることが大事かなと思います。発生土については、これは安定性の問題ですので、そんなに不確実性が高い問題ではないと思っています。3つめの南アルプスの生物多様性については、これは国の有識者会議で今検討がされていますので、それの検討結果を待って、それから前に進むということになると思います。ただ、静岡市としても、いつまで経っても、最後の検討結果が出るまで待っているということではなくて、市としてはいろんな評価はこれから積極的にしていきたいと思っています。
静岡県民はリニアに乗りたいか?
進みだしたリニア問題。
街ゆく人々に、こんな質問をしてみました。
長泉町民
Q.開業したら乗ってみたい?
A.そうですね、やはり乗ってみたい
静岡市民:「機会があれば乗ってみたい」
島田市民:「乗りたいです。乗ってみたいです」
静岡市民:「どうですかね」
夢の超特急。今後は、残土の置き場や、自然環境への影響がカギとなります。