立候補断念の静岡・田辺市長に川勝知事が厳しい一言「高い評価をするのは厳しい」 立候補予定の2人の田辺氏の評価は…

 来年春の静岡市長選挙をめぐって2日、静岡市議会で現職の田辺信宏市長が出馬しない意向を正式に表明しました。

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立候補断念の静岡・田辺市長に川勝知事が厳しい一言「高い評価をするのは厳しい」 立候補予定の2人の田辺氏の評価は…

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静岡市 田辺信宏市長:「熟慮に熟慮を重ねた結果、私は次期市長選挙に出馬いたしません。今任期をもって、市長の職から身を引く決意を固めました」

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 市長選がおよそ4カ月後に迫る中の表明でした。

「出馬する」から一転「出馬しない」に

静岡市 田辺信宏市長:「この秋9月、昭和49年以来の記録的豪雨となった台風15号は、土砂崩れや道路寸断による集落の孤立、停電、床上・床下浸水など、国の激甚災害指定を受けるほどの災害をもたらしました。なかでも興津川に設置された取水口を激流に伴うがれきと流木がふさいだために起こってしまった断水被害は、多くの市民の皆さんの日常生活に支障をきたし、大変ご迷惑をお掛けする事態となりました。市長としてその責任を重く受け止めております。この2カ月の間、私は今後の市政継続の意欲と、この度の災害対応の責任との間で、葛藤の日々を過ごしてまいりました。自問自答を繰り返し、本日の決断に至りました」

画像: 「出馬する」から一転「出馬しない」に

 今年7月までに、周囲に市長選へ出馬する意向を伝えていた田辺市長。ところが、その後、経済界の意向やほかの立候補予定者の動向などを踏まえ、11月中旬までに、近しい支援者らに「出馬しない」意向を伝えたことが取材で明らかになっていました。

川勝知事との『不仲』も…

画像: 川勝知事との『不仲』も…

 2011年に初当選した田辺市長は、現在3期目の61歳。事あるごとにクローズアップされてきたのは、静岡市役所の目と鼻の先、県庁の川勝知事との“不仲”です。表面化したのは田辺市長の2期目、当時川勝知事が提唱していた「県都構想」をめぐって、直接対談したときの一幕です。

●2015年7月

静岡県 川勝平太知事
「キミ知ってましたか、彼のこと…。キミのためでもない。私のためでもありません」

田辺市長:「キミキミっておっしゃいますけどもね、静岡市長ですけど」
川勝知事:「あ、それは失礼しました」
田辺市長:「県にも協力してもらって、どうやったら本社機能を移転してくれる…」
川勝知事:「それも制度論でしょ」
田辺市長:「実質論です」
川勝知事:「………」
田辺市長:「聞いてください、聞いてください。私はずっと粘り強く知事の言葉に耳を傾けました。20分ぐらいだったでしょうか。あなたは私が話し始めて3分となく口を挟む。もっと私の、市民の声をよく聞いてください」

 時に感情的なやり取りも…。

●2016年12月

川勝知事:「静岡市は政令指定都市としては失敗事例」
田辺市長:「静岡市政のことに口を出し過ぎているんじゃないか。公の席で失敗と断じる。これは断じて私は看過できません」

 対立は深まるばかり…。

 3期目では肝いりの「歴史博物館」や「海洋文化施設」の建設を含む「5大構想」を政策の中心に位置づけ、市の第三次総合計画を推進してきました。

台風被害…行政の対応の遅さに市民から批判の声

 一方で…。

伊地健治アナウンサー(静岡・清水区 9月):「取水口が上流から流れてきた流木やがれきで詰まってしまっています」

静岡市 田辺信宏市長:「1週間以内で、何とか復旧にこぎつけたいと思っています」

画像: 台風被害…行政の対応の遅さに市民から批判の声

 今年9月、台風15号による被害で、清水区では最大6万3000軒が断水。各地で浸水被害も発生し、行政の対応の遅さに、市民からは批判の声も聞かれました。そして、このときも注目されたのは川勝知事との関係でした。
 

「知事の携帯電話の番号知らない」

静岡市 田辺信宏市長(10月):「知事とは電話ができない。知りません私、携帯番号を。なので、なかなか知事とこういう緊急時に連絡をすることができない状況が続いていて、今回の災害に遭遇してしまった」

 2日の市議会で、「災害対応の責任を重く受け止めている」と強調した田辺市長。しかし、出馬見送りの背景はそれだけではないとみられます…。

県政キャップ 根方ゆき乃記者:「関係者によりますと、(災害対応を踏まえて)実際に田辺市長の周辺では『もう応援できない』との声もあがっていたといいます。田辺市長は今年夏ごろまで出馬に意欲を見せていましたが、その後、難波元副知事が市長選に立候補する話が伝わると、これまで支援を受けてきた経済界の関係者からも出馬を断念するように求められ、いわば外堀を埋められ、出馬できない状況に追い込まれたと言えます」

立候補表明した2人は…

 現職の不出馬を受け、すでに立候補を表明している2人は?

画像1: 立候補表明した2人は…

難波喬司元副知事:「災害対応への責任を感じて決断されたということですので、大変潔い姿勢だということで敬意を表したいと思います。市政というのは非常に総合的ですし、複雑で多様な問題があると思いますので、そういった一部のところのほころびを持って、全体を評価するべきではないと私は思っております。ただ、私も県の職員としてということもありましたけど、一市民という視点もありますので、情報公開といいますか、説明不足といいますか、そういう点が多かったのではないかなというところは課題だと思っています」

画像2: 立候補表明した2人は…

自民改革会議 山田誠県議:「12年間で残りの3年間はコロナ禍だったということで、非常に(市政)運営は大変だったと思います。ただ、まいてきた種が少しずつ芽が出てきたものもあります。だからそこはすごく評価したい。常に見直しをしていくことは、私はすごく大事だと思っていますので、そういうことも考えていきたい。それは当然のことながら、今ある計画をさらに深化させるという意味でのブラッシュアップです」

川勝知事は…

 度々、不仲が話題となっていた川勝知事は…。

川勝知事:「うーん…、はあ…、何かすっきりしないというのが率直な今の感想です。田辺市長は市長になったときから、市長職に大変な誇りと市への愛着を持って取り組んでこられて、今の時期でいろいろな圧力といいますか、そういうのがあったように見受けられるので、こういう形で退いていいんですかというのは率直な気持ちとしてありまして、まだ告示まで十分に時間がありますから、本当の自分に戻っていただきたいという気持ちがございます」

Q.3期12年をどのように評価していますか?

画像: 川勝知事は…

A.「私も政策に対しては厳しい意見を持ち続けてきました。残念ながら政令市として、20の政令指定都市の中で最下位というか、そこまで落ちた12年間でしたから、高い評価をするのはなかなか厳しい。しかし、これはご本人の自己評価と違うと思いますね。ホップ・ステップ・ジャンプしてきたと思われているんじゃないでしょうか」