運送業界悲鳴…「自社努力も限界」 ガソリン高騰…政府は補助金年末まで延長へ 静岡

小澤勇斗ディレクター(15日):「静岡市清水区の山間部にあるガソリンスタンドです。最寄りの駅から6km以上離れていて、地元の人にとって、車は生活に欠かせません。しかし、ガソリン価格は高止まりが続いていて、悲痛な声が聞こえてきます」

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静岡市民 70代女性:「もう少し安い方がいい。高くて困る。なんにせよ早く下がってほしい。生活にほんとに差し障る」

Q.車で移動するしかない?

A.「そうです。それか出かけないか。(ガソリンは)農業用にも使う。車だけじゃなくて」

富士宮市民 仕事で通う50代男性:「生活に関係するところはやむを得ず、変わらず使うが、遠くへ行くのを近場に変えるとか出かけることに関してだいぶ変わった。5000~6000円だったのが、急に7000~8000円になったので、強烈に身に染みて感じる。財布の中を心配しながら入れるようになった。一過性のものだと思って我慢していた部分もあったので、ずっと続くと思うと厳しい」

 資源エネルギー庁によりますと、12日時点でのレギュラーガソリンの全国平均価格は1?あたり170.1円。2週連続の値上がりで、前の週に比べると0.5円高くなっています。

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 今年1月、13年ぶりに170円を超えたガソリン価格。政府は、石油元売り会社に補助金を出す価格抑制策を発動しました。現在は目標を168円に設定し、それを超える場合、35円を上限に補助金を支給しています。政府の補助金がなければ、今週の全国平均価格は1リットルあたり206円になるとみられていました。

 地域に根ざした商売で50年。静岡市のスタンドでは―。

キグナス石油宍原SS 大木純一社長
Q。200円を超えるっていうのはどういう数字?

A.「15年ぐらい前からしたら、もう倍ぐらいの値段になってしまう。給料が変わらない中、倍の値段を払ってもらうのは、だいぶきつい話。今期待するのは、補助金の打ち切りの話が段階的に切っていくという話になっているが、もう少し継続的に長くやってもらえると助かる」

 9日には、ウクライナ情勢や円安などの影響で価格高騰が続いていることから、政府は今月末を期限としていた補助金を年末まで延長することを決定しています。

 しかし、悩みの種は他にも―。

キグナス石油宍原SS 大木純一社長:「世界情勢の不安定なところから、部品の値段とかタイヤの値段も来月から上がるっていうことで。会社によっては20%ぐらい上がるっていうことで、灯油が国内不足するのではないかという予測が出ていて、僕らが買っている元売りから『今年は灯油の値段が安くならないので、資金の方をしっかりしてください』と言われている。もう本当に心苦しいが、もう買わないと生活の方も困るし、僕らも困るので、なんとかこの危機を皆で乗り越えていきたい」

運送業界も悲鳴

 燃料価格の高騰は、運送業界にも大きな影響を及ぼしています。

画像1: 運送業界も悲鳴

西尾梓アナウンサー(島田市 16日):「多くのトラックがとまるこちらの運送会社。燃料費の高止まりによる輸送コストの増加に頭を抱えています」

 島田市にある運送会社、山岸運送。グループ全体で260台のトラックを保有し、関東から関西までのエリアで中距離輸送を中心に行っています。

 こちらでは現在、依然として続くガソリン価格の高騰によって、今年1年の経費はおよそ2000万円~3000万円ほど増加する見込みだと言います。

山岸運送 山岸龍大常務:「燃料というのは距離を走れば走るほど経費コストというのが圧迫されてくるので、なるべく遠くには行かない、なるべく近場を回る運行に切り替えている現実もある。僕たちでコントロールできる費用ではないので、どうしても重くのしかかっている部分はある」

画像2: 運送業界も悲鳴

 また、負担が増えた分を上乗せして取引先へ請求しようとしても、取引先の企業も原材料の高騰や円安の影響を受け厳しい経営にあるため、すぐに値上げをするということも難しい現状があると言います。

 コスト削減のため、より効率的な物流ルートの見直しや、整備・点検を自社工場で行うなどの努力は徹底して行っていますが、それだけでは立ち行かなくなる未来も見えていると話します。

山岸運送 山岸龍大常務:「今後は自社努力も限界が来ているので、今の現状をお客様にしっかり理解してもらって、料金の改定はしていかなければと思っている。コスト的に運送業者がやっていけなくなってしまって倒産・廃業もいまかなり多く起きている。やはり物流というのは社会のインフラというか、運ばなければいけないという仕事なので、本当にこれが運べなくなってしまうという現状が起きてきている。数年後にはそれが現実的に起きてしまうというのを感じているので、そこは理解していただきたいと」