【大学再編】静岡大内部で意見対立…浜松の副学長「早期実現を望む」 日詰学長は「モデルチェンジ案」検討 /今週の静岡

静岡大学 日詰一幸学長(7日):「私個人を批判するのは構いませんが、少なくとも発言を撤回していただくことを希望する」
 静岡大学と浜松医科大学の統合・再編問題について、憤りを隠さない静岡大学の日詰一幸学長。少子化などを背景に、両大学は2019年、2つの法人を1つにした上で、浜松地区・静岡地区にそれぞれ新たな大学をつくる「1法人2大学」にする統合再編案に合意しました。

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【大学再編】静岡大内部で意見対立…浜松の副学長「早期実現を望む」 日詰学長は「モデルチェンジ案」検討 /今週の静岡

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静岡大・日詰学長 合意と異なる「1法人1大学案」の私案示す

 しかし、おととし、両大学は「地元の理解を得られていない」ことなどを理由に統合・再編を無期限の延期とすることを発表。こうした状況の中、日詰学長は個人の考えとしてこう述べました。

画像: 静岡大・日詰学長 合意と異なる「1法人1大学案」の私案示す

静岡大学 日詰一幸学長(2月9日):「2つの大学を1つの大学にしていくことがひとつの選択肢、あるいは最善の選択肢としてあるのではないか」

 両大学が合意した「1法人2大学」ではなく、「1法人1大学」を提案したのです。

浜松・鈴木市長激怒「学長失格」 

 これに対し、怒りが収まらなかったのが、浜松市の鈴木康友市長です。

画像1: 浜松・鈴木市長激怒「学長失格」

浜松市 鈴木康友市長(2月27日):「静岡大学の最高責任者である日詰さんが『何を考えているんだ』と私は思った。学長として失格」

 辛辣な言葉で日詰学長を批判。そんな中、浜松市などは合意した案を進めるための期成同盟会を設立。2日、浜松市で開催された発足式には、県西部や富士宮市など東部地域の自治体に加え、スズキの鈴木修相談役らも参加。経済界も巻き込んだ、対立の様相となっています。

画像2: 浜松・鈴木市長激怒「学長失格」

浜松市 鈴木康友市長(2日):「合意書締結から4年が経つが、計画は迷走を繰り返し頓挫したまま。私が何より許せないのは、すでに去年、この大学は開学しているはずだった。この大学ができれば、そこで勉強したいという子どもたちがたくさんいた。そういう子どもたちの夢を壊し、就学の機会を奪い、教育の機会を奪っている。これが許せない。これを見過ごしている。私は静大の学長に猛省を促したい」

静岡大・川田副学長「再編の早期実現を望む」

 静岡大学の日詰学長が欠席する一方、静大浜松キャンパスにいる川田善正副学長は出席し、学内でも意見が割れていることを露呈する形となりました。

画像: 静岡大・川田副学長「再編の早期実現を望む」

静岡大学 川田善正副学長(2日):「浜松キャンパスでは、今回の再編を早期実現し、自立した形、独立した形で大学運営を行っていくことを多くの方々が望んでいる。少しでも早期に皆様の期待に応えることができるように、より一層努力してまいりたい」

 発足式終了後、取材に応じた鈴木市長は、日詰学長に対しくぎを刺します。

浜松市 鈴木康友市長(2日):「きょう浜松キャンパスの意思が明確に独立・自立という形で、川田副学長から明確に強い意思が表明された。従いまして、日詰学長は、そうした浜松キャンパスも含めたリーダーであるということをぜひご自覚をいただきたいと思います」

 それに対して日詰学長は…

静岡大学 日詰一幸学長(7日):「私個人を批判するのは構いませんが、少なくとも発言を撤回していただくことを希望いたします」

静岡大・日詰学長「法人統合・大学再編の“モデルチェンジ”を検討すべき」

静岡大学 日詰一幸学長(2月9日):「2つの大学を1つの大学にしていくことがひとつの選択肢」

浜松市 鈴木康友市長(2月27日):「静岡大学の最高責任者である日詰さんが『何を考えているんだ』と私は思った。学長として失格」

 静岡大学と浜松医科大学の統合・再編問題。浜松側は、期成同盟会を発足させ、対立が深刻化しています。批判の矢面に立たされた静岡大学の日詰学長は、期成同盟会の発足を受けて7日、反論会見を開きました。

静岡大学 日詰一幸学長(7日):「法人統合・大学再編は学外関係者の皆様による多数決のような形で決めるということではないので、大学が主体的に決める必要がある」

 その上で、こんな提案も…

静岡大学 日詰一幸学長(7日):「本学は状況の変化に伴い、(議論が)袋小路に陥っている状況であることから、20年後、30年後を見据えた大学統合も含めた法人統合・大学再編の“モデルチェンジ”を検討すべきであるとこのように考えている」

画像: 静岡大・日詰学長「法人統合・大学再編の“モデルチェンジ”を検討すべき」

 これまで私案にとどまっていた「1法人1大学」案をもとにした「モデルチェンジ案」を学内で協議し、合意を得た上で、その案を浜松医科大学と議論したいという考えを示しました。

静岡大学 日詰一幸学長
Q.モデルチェンジ案というものは、いつごろ示されるのか?
A.「数カ月とか半年とか、そういう単位で考えていきたい。お互いが歩み寄れる着地点を見定めていきたいと考えている」

静岡大・日詰学長…浜松市長に発言撤回求める

 一方、日詰学長は、鈴木市長のある発言を問題視しました。その発言とは…

浜松市 鈴木康友市長(2月27日):「医学部を入れただけで大学が底上げされるわけがなく、だったら三重大学も山梨大学も信州大学も、そういった地方大学がなぜ地盤沈下していくのかと。今の問題は一県一大学みたいな形で特徴のない総合大学がいっぱいあることが問題であって、これでは生き残っていけない」

画像: 静岡大・日詰学長…浜松市長に発言撤回求める

静岡大学 日詰一幸学長:「鈴木市長が例として挙げられた大学、地域に貢献する地方国立大学として立派に教育研究を実践されておられると思うので、そのあたりの認識が十分ではないのではないか。私個人を批判するのは構わないが、他の国立大学を引き合いに出しての発言は適切なものとは言えない。同じ国立大学の学長として見過ごすことができません。この場をお借りして、少なくとも発言を撤回していただくことを希望いたします」

 日詰学長が発言の撤回を求めたことについて、浜松市は「この件に関しては、市としては一切コメントしない」としています。

   (3月11日放送)