人口13.7万人の港町・焼津『ふるさと納税』静岡県内1位の65億円 寄付金を子育て支援に回し『転入超過』も県内1位

静岡県焼津市 中野弘道市長:「今後も選ばれる自治体になっていくよう、ふるさと納税をしっかりPRしていきたい」

画像: 人口13.7万人の港町・焼津『ふるさと納税』静岡県内1位の65億円 寄付金を子育て支援に回し『転入超過』も県内1位

 人口およそ13万7000人の港町・焼津。全国屈指の水揚げ量を誇るマグロやカツオなど水産業が盛んな焼津市の今年度のふるさと納税の寄付金額が過去最高を更新しました。

焼津市ふるさと納税課 青島庸行課長:「昨年12月の時点で過去最高額を更新して、1月下旬には70億円を突破するという状況」

県内2位の富士宮市の倍以上 全国でも11位の64.85億円

 市がふるさと納税の取り組みを始めたのは2014年度。それからわずか8年。去年の12月末時点の累計の寄付金額は362億円を超えています。ここ3年は右肩上がり。2021年度はおよそ65億円が寄せられ、県内の自治体の中でも群を抜いています。(1位焼津市64.85億円 、2位富士宮市28.85億円、3位浜松市 22.65億円)

画像: 県内2位の富士宮市の倍以上 全国でも11位の64.85億円

 これは全国でも堂々の11位。県内外の自治体から一目置かれています。

焼津市ふるさと納税課 青島庸行課長:「昨年の秋頃から物価高になって、皆さんが家計を守ると言うか、日常で使う、例えば食材を、ふるさと納税の返礼品で取り寄せて、(返礼品は)税の控除が受けられるということで、「生活防衛」じゃないが、そういう動きが背景にあった」

変形品は全国トップクラスの1400種類 

 市の返礼品の数は「全国トップクラス」といい、その数およそ1400種類。昨年度の寄付金の内訳は、マグロなどの水産加工品がおよそ5割、市内に工場があるビールも好評で、およそ3割を占めています。今年度は物価高騰の波が、人気返礼品であるマグロやビールに押し寄せていることも、寄付金が多く寄せられた要因の一つと分析しています。ふるさと納税の好調ぶりは、市内の水産加工会社にもプラスに働いています。返礼品としてネギトロやウナギを販売しているこちらの会社では。

大富水産 増田太地さん:「今もそうだが、コロナでさかなセンターに客が全くいない状況で、本当に店が大変な時期だったので、ふるさと納税にうちの店も助けられたし、ふるさと納税でうちの会社を知って店に直接来る客も増えている」

画像: 変形品は全国トップクラスの1400種類

 コロナ禍で団体客が激減し売り上げが落ち込む中で、ふるさと納税という新たな販路を開拓できたといいます。

大富水産 増田太地さん
Q.いっぱい箱が置いてあるが、全部ふるさと納税用?

A.「きょうの発送分。市役所の人たちもいろいろPRしてくれたりして、(発注の)数的にも前と比べてどんどん増えていて、そういうところで(ふるさと納税の影響を)すごく感じる」

寄付金を子育て支援に…転入超過も県内1位の326人

画像1: 寄付金を子育て支援に…転入超過も県内1位の326人

 焼津市にある児童センターと子育て支援センターの複合施設「たーんとくるこども館 とまとぴあ」。施設の中にある大型の遊具が…。

ターントクルこども館とまとぴあ 髙橋みち子さん:「令和2年にできたもので、全国の皆さんのふるさと納税の寄付金でできた」

画像2: 寄付金を子育て支援に…転入超過も県内1位の326人

 市は寄付金を「市内の小・中学校の改修」や「子育て支援」などにも活用。こちらの施設の姉妹館にあたるJR焼津駅近くの「たーんとくるこども館」も、整備費用を寄付金などで補い、今では地域に欠かせない施設になっています。

片山恵介ディレクター:「子育て支援施設に隣接するこちらの公園では、焼津市のふるさと納税寄付金によって作られた遊具がある」

 「とまとぴあ」の隣にある公園の遊具も寄付金で設置されたもの。きょうも元気に遊ぶ子どもたちの姿がありました。

画像3: 寄付金を子育て支援に…転入超過も県内1位の326人

利用者30代女性:「ありがたいと思う。(焼津市内には)遊べるところがたくさんあるので」

利用者30代女性:「『とまとぴあ』の中の遊具とか、けっこう大きくて他にはないからかなり助かっています」

 こうした施設は市内に転入してくる人の増加にもつながっているとみられ、去年は転出者よりも転入者が326人多く、『転入超過』は県内1位でした。市は来年度も子育て支援を含む様々な施策に、寄付金およそ40億円を投じる方針です。

 返礼品を扱う事業者だけが潤うのではなく、市民生活の充実にもつながっているふるさと納税。市は今後もこの好循環を継続させたいとしています。

焼津市ふるさと納税課 青島庸行課長:「ふるさと納税の制度を活用しながら、シティセールスや地域産品をPRしながら、これをきっかけに焼津のことを知ってもらって、焼津に遊びに来てくれたりとか、最終的には移住とか、そういうところを目指しながら、事業を進めていきたいと考えている」