【リニア】揺れる水問題…静岡市は協議会に入る? 難波市長が明かした未加入の裏側

静岡市 難波喬司市長(25日):「こちらから先方のここに入りたいと言うのではなくて、先日から各首長を訪問して、より連携を深めていきたいと話をさせていただいているので、その中でこういう形がいいのではないかというのが自然に決まってくる」

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 静岡市の難波市長が会見で言及したのは、リニア問題を巡り、静岡県や大井川の流域市町などで組織する「大井川利水関係協議会」についてです。

「大井川利水関係協議会」…県と市町が一枚岩で交渉する狙い

 南アルプスを源流に168kmを流れる「大井川」。その水は飲み水としてだけではなく、お茶をはじめとする農業や、ウナギの養殖、そして紙や自動車の工場など、流域の様々な場所で使われています。そうした背景もあり、こんな“呼び方”も…。

静岡県 川勝平太知事(2018年):「何しろ水は生活・工業・農業、全てに関わる。まさに命の水」

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 「大井川利水関係協議会」は、大井川の水に対する懸念や要望をJR東海に対して伝えるための組織として、2018年に設立。県が窓口となり、島田市や牧之原市など流域10市町などで構成されています。市や町がそれぞれJR東海とやりとりするのではなく、県と市町が一枚岩となって交渉にあたる狙いがありました。ところが…。

県と流域市町の“すれ違い”

島田市 染谷絹代市長(3月27日):「田代ダム取水抑制案については、ほぼ全員が了解をした。少し待ったといったのは県だけだった」

画像: 県と流域市町の“すれ違い”

 県との“すれ違い”を明らかにした流域市町。これに県は…。

静岡県 森貴志副知事(3月27日)
「会員全てがそろっていないので、会員全ての意思表示も示されていない」

 20日には、島田市の染谷市長など、協議会に名を連ねる3人のトップが国交省を訪問。リニア問題をめぐり、県とJR東海の協議に、国がより強く関与するよう求めました。

島田市 染谷絹代市長(20日):「積極的に静岡県とJR東海との対話への参加や調整に関わるなど、課題解決に向けて議論がさらに進むようより強い指導力を発揮してくださることをお願い申し上げます」

流域で唯一未参加の静岡市…その背景は

 そんな「大井川利水関係協議会」になぜ静岡市は流域で唯一参加していないのか。その背景の1つが…。

画像1: 流域で唯一未参加の静岡市…その背景は

静岡市がJR東海と交わした、リニア工事推進への合意です。この合意を巡っては、静岡市の山間部にある井川地区と市街地を結ぶ県道に、JR東海が、全額負担でトンネルを整備しています。

 他の流域市町とは違い、JR東海と“直接”やり取りをしてきた経緯がある静岡市。当時、副知事としてリニア問題を担当していた難波市長は、静岡市が加入していない“裏側”を語りました。

画像2: 流域で唯一未参加の静岡市…その背景は

静岡市 難波喬司市長(25日):「私の理解では、静岡市は2018年に利水協発足時に加入を臨んでいません。利水協の一部の方から、加入してはどうかという働きかけがあったが、静岡市はそれに乗りませんでした。利水協発足時に加入を望んだものの叶わなかったのではなくて、利水協発足時に静岡市は加入を望まなかったというのが、私の理解というか記憶です」

 では、ここにきてなぜ、“利水関係協議会入り”を示唆しているのでしょうか。難波市長は就任当初、こう話していました。

静岡市・難波喬司市長(13日):「流域という面で言うと、静岡市も流域です。ですから、大井川の流域市町が作っているものに参加をしていないというのは普通に考えると変だなと思う。加わらないという選択はない」

協議会側 静岡市加入に「待った」

 もし、静岡市が協議会に入れば、難波市長はこれまでの経験を協議会に生かすことになります。ところが、静岡市の加入に難色を示す声も上がっています。

画像: 協議会側 静岡市加入に「待った」

島田市 染谷絹代市長(19日):「私ども流域は、県とJR東海が協定書を結ぶための協議をしている。スタンスとして静岡市は我々とは違う。(静岡市は)すでにJRと協定書を結んでいる。もう一つは、静岡市は流域ではあるが、利水者ではない。今回の突然の発言は、ちょっとびっくりしたと同時に、そう簡単ではないだろうという印象を持った」

 協議会側から、加入に「待った」をかけられる形となった、難波市長。25日の会見では、改めて協議会入りへの意思を問われました。

難波市長「どういう形かは別に、しっかりと連携したい」

静岡市 難波喬司市長(25日):「大井川の8市2町の皆さんと静岡市は、いま別々に動く状況になっているので、それは適切ではないと思っている。従って、どういう形かは別にして、利水協議会のメンバーの皆さんとは、しっかりとした連携をしていきたい」

Q.利水協のメンバーとして、静岡市も正会員として加わることには別にこだわっていないということですね?

A.「そうですね。こだわってないですね。連携を強化するべきだと、一体的に動いていく方がいいという風に私は思っています」

 前回の会見で「加わらないという選択はない」と発言していましたが、ここにきてトーンダウンしたのか問われると…。

静岡市 難波喬司市長:「そこは言葉の問題。利水協の皆さんの会に入らないじゃなくて、利水協の今の活動に加わらない選択はない、と理解をしてもらえたらいい。したがって、どういう形かはわからないが、皆さんと一緒に活動をしていく、加わっていくと私は思っている」

 県と大井川流域の関係、そして大井川流域と静岡市との関係。今後のリニア問題はこの“3者の関係性”にも注目が集まりそうです。

画像: 難波市長「どういう形かは別に、しっかりと連携したい」