リニア「ルート変更」で火花 静岡県知事選に立候補予定の川勝氏と岩井氏
川勝氏 初めての対外的活動はイチゴ農園から
川勝平太氏(藤枝市 29日)
(イチゴ食べて)
Q.どうですか
A.「めちゃくちゃおいしい。ごめんね、分けてあげたいくらい。日本一のイチゴ」
29日、現職の川勝平太氏の姿は、藤枝市のイチゴ農園にありました。公務を優先してきた川勝氏にとって、この日が選挙戦に向けた初めての対外的な活動となりました。初日に川勝氏がこの現場を選んだのには理由があります。
川勝氏:「藤枝の水を守るために現場の話を聞こうと思って」
イチゴ農園:「20メートルの井戸3本持っているが、本当にきれいな水で雑がない。だからこんなに立派なイチゴができる」
大井川流域に位置するこの農園は、東京ドームの1.5倍の広さがあり、イチゴ栽培のために地下水を毎日2万から3万リットル使っているといいます。
川勝氏:「この水がなければ、この芸術品も作れないということではないかと思った。これがこの地下に通っていて、それをくみ上げている。水脈が変わると全部ダメになる。そういうお話だった。来てよかった」
川勝氏「岩井氏はぶれている」
リニア問題で大井川の水を守ることに、決意を新たにしたという川勝氏。さらに、先週の公開討論会で、岩井茂樹氏が「ルート変更や工事中止も選択肢に、JR東海に強い姿勢で臨む」との考えを示したことを強く批判しました。
川勝氏:「今回は最大の争点が『水』。JR東海の社長がおっしゃっていたが、『ルート変更や工事の中止はみじんも考えていない』と。それを有識者会議に出して、それを統括していたのが(岩井)元副大臣。その一体であった方が、突然軸足を180度変えて『ルート変更』や『工事中止』だとか言った。自分が出てきた原点を裏切るようなことを言った。はっきりしたことは、そういうことを平気で言ったということ。従来と全く違うことを。180度違うことを場面場面に応じていうことができるというのは、非常に危険だと思いませんか? 180度ぶれた人を、こちらからまた元にぶれないと保証できるかどうか。私は一度もぶれない。ぶれないでくれ、このままやってくれ、というのが皆さんの意見だった。イチゴで元気が出ました」
岩井氏 勝利のカギの一つが「女性票」
一方、自民党が推薦する岩井茂樹氏の姿は、31日朝、JR静岡駅前にありました。岩井氏は、出馬表明後、県内各地を精力的に回っています。
岩井茂樹氏(31日午前8時ごろ):「私自身が今、4歳の子どもがおりまして、子育てやっぱり本当に大変です。私は特に妻にかなり負担をかけているので、足を向けて寝られませんし、逆にそのような負担をみんなで分かち合うことが必要ではないかと思っています」
岩井陣営は、女性票の獲得が勝利のカギのひとつだとして、31日の街頭演説には、自民党の女性県議や市議が応援に駆け付けました。知事に当選した暁には、川勝県政ではいなかった女性副知事を誕生させると公約している岩井氏。女性政策に力を入れる姿勢を強調しました。
岩井氏:「静岡県においては、ここ数年、人口流出が止まりません。これはしっかりと食い止めるためにも、やはり女性が、本来の仕事、やりがいが、ただ仕事があればいいというわけではなくて、本当にやれる仕事、やりたい仕事ができるような環境づくり、県政でも大きく後押しをしていきたいと思っています」
これまで川勝知事の批判を抑えてきた岩井氏でしたが、ここにきて対決姿勢を強めています。きょう指摘したのは、県のワクチン政策でした。
岩井氏:「静岡県においては、まずやらなくてはいけないのはコロナ対策だと思っています。ただ、なぜか、コロナワクチンの接種率が全国と比べると、5月23日の段階でありますが、ワースト4。どうしてそういうことになるのか。おそらく、国と県、そして県と市との連携、コミュニケーション。これが圧倒的に足りてないのではないでしょうか。それは産業の面でも、1次産業、農業、水産業の面でも同じことが言えます。本来、静岡県が持つ稼ぐ力をしっかりと取り戻す」
岩井氏「レッテル貼りだ」
演説終了後、リニア問題について、岩井氏が「ルート変更」に言及したことを川勝氏が批判していることについて聞くと…。
岩井氏
Q.川勝氏が「180度ぶれる人を選ぶのか」と
A.「180度ぶれるとかぶれないとかという以前の問題に、大前提として地域住民のみなさまにJRなり国なりがちゃんと寄り添う姿勢がない限りは、それは認めないという話であります。別にぶれるとかっていう話ではなくて。私が思うにそれよりも、そうやって(川勝氏が)レッテルを貼ることによって議論の余地を狭めること自体が間違っている。レッテル貼りでよい政治は私はできないと思います」
川勝氏と岩井氏の事実上の一騎打ちになる見通しの静岡県知事選は、6月3日告示、20日投票です。