身近な商品に円安の影響が… 静岡県内で始まる値上げラッシュ 専門家の見立ては?

20年ぶりとなる円安水準となっている為替市場。静岡県内でも肉やコーヒーなど身近な商品に影響が出始めています。

輸入肉の急激な高騰

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身近な商品に円安の影響が… 静岡県内で始まる値上げラッシュ 専門家の見立ては?

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静岡市葵区にあるこちらの精肉店では、主に海外から輸入した肉を販売しています。現在、直面しているのが急激な仕入れ価格の高騰です。

K-meat 
笠井忠店長:「特に輸入の豚とか牛、鳥、全般的に値段の方が上がっている。私も今までこういう仕事に携わってきて、本当に初めてぐらいの値上げの幅になっている」

 仕入れ値を押し上げている要因は、急激な円安。円安の影響で、海外からの輸入品は軒並み値上がりしているのです。

 先週20日、東京外国為替市場は一時1ドル=129円台に下落。およそ20年ぶりの歴史的な円安水準となっています。背景にあるのは、日本とアメリカの金融政策の違いです。ウクライナ情勢の影響などで上昇する物価を抑えるためアメリカが利上げを進める一方、日本は低金利政策を継続しています。

K-meat 
笠井忠店長:「為替の影響は大きいので、ある程度努力はしているが、それでは賄いきれないぐらいの値段の上がり幅になっている。うちの仕入れ自体も高い部位だと1.5倍とか、それぐらい上がっているので、それにつられて飲食店も値段を上げていると思う」

 店ではハラミと牛タンの販売価格を100グラムあたり200円ほど、やむなく値上げ。毎年ゴールデンウィークに合わせて販売するメニューも…。

K-meat 
笠井忠店長:「これからバーベキューのシーズンになるが、牛タンとかが高騰しているなかで、焼肉セットとかで、去年までは牛タンを入れていたのを外して、極力値段を上げないようにやっていければいいかなと思う」

コーヒーはブラジルの不作とのダブルパンチ

画像: コーヒーはブラジルの不作とのダブルパンチ

円安による値上げラッシュはこれだけではありません。

 こちらの店では世界14カ国から100種類以上のコーヒー豆を輸入。仕入れの代金はアメリカドルで支払うため、急速に進む円安の影響を直接受けてしまいます。

創作珈琲工房くれあーる 
内田一也代表:「コーヒーを現地から輸入するときに、補償金として代金を払っているが、この時は(現在は)1ドル126円の計算になっている。少し前まではこれが1ドル114円~115円とかの計算だったので10円上がってくる感じなので、『えっ』て思いますよね」

 去年の夏にコーヒー豆の生産量世界一のブラジルで霜によって大規模な不作となったことで、もともと世界全体の相場が上がっていた中、今度は為替相場の変動が追い打ちをかける事態に…。

創作珈琲工房くれあーる 
内田一也代表:「円安というのは輸入している者からすると、何の理由もなく支払いだけが増えていくという感じなので、仕方ないが理不尽だと感じる」

食品スーパーの現状は…

画像: 食品スーパーの現状は…

一方、静岡市内のスーパーでは今のところ商品の価格に影響は出ていないといいますが、値上げせざるを得ない状況が近づいているのが「小麦粉」です。

ヒバリヤ 営業企画課 
山岸達也課長:「もちろん小麦粉自体の値上げというのも家庭に大ダメージかなと思いますけど、それに付随したパンとか小麦を使った商品が多々ありますので、そういうところにも影響があるのかなと懸念します」

 円安に加えロシアによるウクライナ侵攻も影響している小麦の値上がり。製粉大手の「日清製粉ウェルナ」は、家庭用の小麦粉やパスタなど153品目を7月の納品分から順次、およそ2%から8%値上げすると発表しています。

専門家はどう見る…

私たちの家計にも大きな影響を及ぼしている円安について、県内の経済専門家は―

画像: 専門家はどう見る…

静岡経済研究所 
恒友仁常務理事:「しばらくはこの円安の基調というのは続く可能性がある。輸送費も上がっているということなので、結局生産から消費者の元に届くまで、すべての段階でコストが上がってしまっているのでこの影響というのは、これからまだ続くと考えなければいけない」