【リニア】「一言も連絡ない」と静岡県に苦言の山梨・長崎知事が来静 「川勝知事とがっちり握手した。軋轢は完全解消した」 /今週の静岡
長崎知事「行政のやり方としてもう少し山梨県に対して礼を尽くすべき」
25日に開かれた川勝知事の定例会見。知事が「ありがたい」と話したのは、お隣の山梨県知事の発言について…
山梨県 長崎幸太郎知事(17日):「静岡県がJR東海にそういう申し入れをしたのだとすると、ちょっと中身の是非を別として、行政のやり方として私はもう少し山梨県に対して礼を尽くすべきじゃないのかなと思います」
コロナで落ち込んだ地元を元気にしようと、同じ「ふじのくに」の知事として、これまで手を取り合って来た川勝知事と山梨県の長崎知事。その2人の関係が、こじれかけているように見える背景にあるのが、リニア中央新幹線です。
2027年の開業を予定し、沿線各地で工事が進む中、静岡県は大井川の水や南アルプスの環境などへの懸念から静岡工区の工事着工を認めていません。
一方、山梨工区では現在、南アルプストンネルの工事が静岡県との県境からおよそ1km手前まで進んでいます。そのため県は、このまま工事が進むと、大井川の水が山梨県側に流出する可能性があり、「どこで工事を一旦止めるか決める必要がある」と、9月、JR東海に協議を求める書面を提出しています。これが、山梨県にとっては「寝耳に水」だったのです。
記者の厳しい質問に…川勝知事「長崎知事は怒ってないと思う。信頼関係は盤石」
25日の定例記者会見…。
Q.川勝知事から長崎知事に対して直接リアクションされたことがありましたらお聞かせください?
川勝知事:「リアクションはしておりません」
Q.いわゆるコシヒカリの時に、私から敵対関係は作りませんと、この記者会見の場で、
約束したわけです。ただこのように、この1カ月、2カ月の間で隣県の知事が、静岡県の行政の進め方に対してお怒りになっているっていうことに対して、どう受け止めているでしょうか? あの言葉は本当にどこに行ってしまったんでしょうか?
川勝知事:「長崎知事は怒ってないと思います。もう我々とは、1回2回の付き合いではなくて、一緒に夜を、この一夜をゆっくり語り合うと朝まで、そういう関係ですから。ですから、信頼関係は盤石です」
Q.行政の進め方として、山梨県がかかわる部分に対して、山梨県の頭越しにこういうことをやってしまったからこそ、長崎知事はお怒りになっているわけで、なんでそのような根回しができないんですか? というのが、私の問いかけです。
川勝知事:「根回しをするほどのことでもないと私は思っております。長崎知事はですね、この件についてはですね。もうすでに十分にわかっていらっしゃると思います」
Q.わかってないからこそ、この間の長崎知事の定例でお怒りだったんじゃないでしょうか?
知事:「初めてそのことを知ったときの最初のリアクションだったんじゃないですか?
この工区がですね。山梨県から静岡県内まで入っているということで、我々ずっと問題に
してきたということについて、今はご理解されていると私は思っております」
長崎知事が不快感を示していたのは、県が山梨県に何の話もなく、山梨県側の工事についてJR東海に要請を行ったこと。一方で、川勝知事が会見で強調したのは「工区」の設定について。実は、県内を通る南アルプストンネルの工区は、工事の安全などを理由に、
山梨・長野両県から、静岡県内に少し入り込んだ形で設定されています。
川勝知事(25日):「だいたいどの辺まで工事ができているかということは知ってたので、だんだん(県内に)近づいてきていると、水が引っ張られるという心配をしていた。ただ、議論の中心が47項目あって、その中で全量戻しということに集中していたので、この件はともかくきっちりと解決しなくちゃいけないということで、問題を絞ってやってきた。私も今のタイミングだということで社長に(書面を)書いた。その前に実は県の方からも元に戻してくださいと、問い合わせていた。それが一番わかりやすいと。元っていうのは県境で、静岡工区、山梨工区、長野工区とするのがわかりやすいと、社長宛に書いたんですけど、返事がありません」
JR東海「県境を越えて掘削工事を進めることはない」
一方で工事を行うJR東海は、すでにこんな見解を示しています…
JR東海 金子慎社長(9月):「大井川流域の皆さんの理解が得られないまま、県境を越えて掘削工事を進めていくことは考えていません。どこで(止めるか)という話は、現地の状況によると思いますが、原則いま申し上げた通りです」
知事の発言が各地に波紋を広げている中、26日、渦中の人物が静岡県を訪れました。
その前日、知事は…。
Q.関東地方知事会があり、日本平に(神奈川県の)黒岩知事と長崎知事がいらっしゃるかと思うんですけれども、今回この関連について何かお話されたいという考えがありますか?
川勝知事(25日):「もう何によらずですね、自由に闊達に胸襟を開くというのが会議です。それぞれの県が抱えている問題、これを国に要請するについて発表するという、これが大きな筋ですけれども、それ以外にも休憩時間とか、その他もろもろの時間にお話しする機会がありますから、何によらず、お話をするという用意があります」
長崎知事「(軋轢は)完全解消です」
そして、迎えた会合の日。山梨県知事とは一体どんな話をしたのか。軋轢は解消したのでしょうか。
26日、静岡市に関東圏の知事が集まり会合が開かれました。そこには川勝知事のほか、静岡県に苦言を呈していた山梨県の長崎知事も出席。対面した2人。一体どんな話をしたのでしょうか。
Q.きょう長崎知事にリニアの工区の話はしたか?
川勝知事(26日):「いたしました」
Q.どのように話して、どのような反応か?
川勝知事:「まずは、お互いの信頼が盤石であることをお互い確認したということがあります。今回、山梨県、静岡県工区が入りくんでいるといいますか、山梨工区が静岡県に入っているということで、そのことはもちろん山梨県の知事さんはご存知で、ただ両県に関わることなので、お互い連携を、もう少し密にしようということで、事務局レベルでお互い固有名詞が分かる形で常に連絡を、最新の連絡しあうということにしましょうということで、合意いたしました」
山梨県 長崎幸太郎知事(26日):「しっかりお話をいたしまして、今後しっかりコミュニケーションをとってやっていきましょうと。まあそこに尽きて、もともと大変親しく、仲良くさせていただいておりますので、すれ違いがないように、今後さらに一層コミュニケーションを密にしましょうということで、川勝知事とがっちり握手をしております。こういう問題が起こらないように、ややこしいとか紛らわしい話に関しては、ちゃんと事務的にコミュニケーションさえ取れれば何の問題もないわけですので、そこを両県ともに、より注意を払っていきましょうということで川勝知事としっかり合意ができた」
Q.軋轢は解消されたと?
長崎知事:「全く完全解消です」
Q.そうすると、山梨工区のどこの地点でリニアのトンネルの掘削工事を止めるかということを、静岡県としては静岡県とJR東海で専門部会という会議の中で協議したいという話をしてるんですけども、それは山梨県さんとしては了解とするということ?
長崎知事:「おっしゃる通りです。そこはちゃんとまだしっかりお話をいただいてないので、もう少し精査が我々としても必要だと思いますが、基本的にはおっしゃるとおりです」