川勝知事「一方的な行動は信頼を失う」 JR東海が作成したパンフレットに苦言 「パンフレットは勇み足」とも…静岡県

川勝知事(7月26日)
「田代ダムを中心に現地視察するという予定をしていたが、天候が極めて悪化したので延期していたが、それを8月8日に行います」

画像: 川勝知事「一方的な行動は信頼を失う」 JR東海が作成したパンフレットに苦言 「パンフレットは勇み足」とも…静岡県

 来月8日に田代ダムを視察すると明らかにした川勝知事。
現地ではJR東海や県の専門部会の委員から説明を受ける予定だということです。

川勝知事
「今田代ダムの問題がホットな話題になっておりますから、ともかく現場を皆さんに見ていただきたいということでこの現場視察を計画しました」

 トンネル工事に伴って山梨県側に流出する水の“全量戻し”を実現するために、JR東海が示した案の一つが、いわゆる田代ダム案。県外に流れ出る水と同じ量をダムで取水抑制し、大井川の水量を維持する考えです。

 “ホットな話題”である田代ダム案について川勝知事は―

川勝知事
「国の意識者会議は、先進坑を含めてトンネル掘削中に出る湧水は全て戻すというのが全量戻しの中身であると明記されている。したがって、田代ダムの取水抑制で戻すというのは、それにもとるものですから、全量戻しではない。そういう理解を持っている 難しい問題が技術的にも法律的にもあると。これをどうクリアするかというのは、まさにJR東海の腕の見せ所と思っております」

リニア問題をめぐっては、もうひとつ“ホットな話題”が…

画像: リニア問題をめぐっては、もうひとつ“ホットな話題”が…

川勝知事
「JRのパンフレットは驚きましたね。これは中間報告に静岡県や流域市町等との地域の方々との双方向のコミュニケーションというのをしてくださいと、一方的なものはダメですよということだったんですけど、残念ながら一方的なものになったということですね。そこは残念に思っております こういう一方的な行動をされると、かえって信頼を失うのではないかと思っております」

 知事の苦言の矛先は、JR東海が今月13日から県内で配布を始めたパンフレットです。工事に関するJRの取り組みをまとめたもので、大井川流域の市や町の駅で配布しているほか、ホームページでも公開されています。

パンフレットに対する批判は県の専門部会でも

画像: パンフレットに対する批判は県の専門部会でも

県 難波喬司理事
「大前提としてJR東海がこのパンフレットを作って説明するのはいいことだと思っている。ただ、やはり内容については慎重にしていただかないと誤解あるいは印象操作や楽観論、不安論、そういったものを煽る可能性があるので、内容はやはりよく考えていただきたい パンフレットの11ページで工事中に県外に流出しても大井川の水は減らないと書かれている。これは確定的ではない。それについてどこに書かれているかというと、右下に解析には不確実性が伴うと書かれているだけ。これはやはりまずい 大井川の水が恒久的に減らない訳ではない。その瞬間は減らない。それをいかにも水が減らないかのように言うのは明らかに印象操作だと思う」

県の専門部会 塩坂邦雄委員
「全く訳がわからない。いいところだけ出ている」

静岡大学客員教授 県の専門部会 森下祐一部会長
「私もこのパンフレットに非常に違和感を持った。専門部会で今議論しているということは一切書かれていない。ですから、これだけ見ると全ての物事は検討し尽くしてあって、それを分かりやすく説明するという誤解を与えるもの。それをわざわざこの専門部会の前に出すということは、私にとっては当事者であれば逆効果で、不信感を植え付けるとしか思えない」

 パンフレットの内容が「住民に誤解を与えかねない」、「コミュニケーションの取り方が一方的」といった批判が相次ぎました。

こうした意見に、JR東海の金子社長は

画像: こうした意見に、JR東海の金子社長は

JR東海 金子慎社長(21日)
「私たちの意見を押し付けるとかそういうことではなくて、疑問とか懸念を受け止めて、何とか解決をする。そういう形で進めていこうということでやっている訳です 今の段階ですぐ地域の皆さんと対話するというのがちょっと難しい状況にありますので、まずこういう形から始めたということです」

 JRはパンフレットの内容について、今後更新を検討するとしています。

川勝知事
「田代ダムの取水についても、あたかもそれができるかのごとき、とれる内容になっていますけど、そういうものではないでしょう。今こうした問題があるわけですから パンフレットはちょっと勇み足じゃないかなと思いますね」