【リニア】静岡? 山梨? 県境の水はどちらのもの…静岡・川勝知事「科学的に調べて」
県境に近づくボーリング調査
27日の会見で、知事が深い関心があると語ったのは、静岡県と山梨県の県境付近にある、地下水について。JR東海が、山梨県でリニアのトンネル工事に向けて行っているボーリング。静岡県との県境から東に815mの地点からスタートし、現在、県境から614m(25日時点)の地点まで進められています。
26日に開かれた大井川の水問題を議論するための県の専門部会では、このボーリングについての近況が示されました。
JR東海中央新幹線静岡工事事務所 永長隆昭所長:「湧水量については、後ほどお話しする断層に伴うもろい区間も含め、この期間だと最大で毎秒0.00018?、1秒間に180mLという量になるが、非常に少ない状況が続いている」
現状において、湧水量は少ないという一方で、JR東海は、ボーリングの開始位置から約115mの地点を起点に、地質のもろい区間が確認されたと公表。今後は、より詳しく地質を把握するための「コアボーリング」を実施する方針を示しました。
南アルプスの地下には地質のもろい「断層帯」
リニアのルートとなる南アルプスの地下には、このような、地質のもろい「断層帯」と呼ばれる区間があると見られています。そのため県は、今後ボーリングが県境付近まで進んだ場合、静岡県側の水が山梨県側に流れ出てしまう懸念があるとして、ボーリングに対する慎重な姿勢を崩していません。
これに対し、JR東海は県境300mの地点からは、慎重にボーリングを行うという対策を示しています。
湧水がどちらの水かヒートアップ
26日の会議では、このボーリングを巡る湧水が静岡と山梨のどちらの水なのかという認識を巡って、ヒートアップする一幕も…
JR東海中央新幹線推進本部 澤田尚夫副本部長:「今現在の状況で、山梨県内のボーリングで出てきた水を
静岡県に戻すという考えは、今のところない、正直」
静岡県 森副知事:「山梨県側で掘っている水は静岡には関係ないので、そのまま掘削するということか」
JR東海中央新幹線推進本部 澤田尚夫副本部長:「県境から300mの所にある地下水は静岡県の地下水だと認識していると、そういう理解でよいか」
静岡県 森副知事:「それで今、議論してきたのではないか?」
JR東海中央新幹線推進本部 澤田尚夫副本部長:「そこを我々は県境から300mの所にある地下水は静岡県ではなく山梨県の水という考え方はないかと思って…静岡県の水なのか?」
「どこの水が流れ出たのか推定できるのでは」
お互いが自身の主張を続ける、まさに「水掛け論」ともいえる状況の中、委員からは、両者をなだめるような指摘も…。
県専門部会 丸井敦尚委員:「以前、海外では、その場所で掘った地下水は、その土地を持っている人のもの、
今回に適して言えば、高速長尺先進ボーリングは山梨県側で掘っているので、そこに出てくる水は山梨県のものという認識で日本の法律もつくられている。ただ、日本の国内でも水循環基本法ができ、水は貴重なものだから自然の恵みとして上流・下流合意の上で管理しよう、というのが、21世紀になってからの考え方」
また、丸井委員は、今回のボーリングで地質や地下水のサンプルを集め、過去に周辺で行われたボーリングのデータと比較することで、どこの水が流れ出たのか、推定できるのではないかと提案しました。
静岡・川勝知事「科学的に…」
山梨県側で出た水はいったい“誰のもの”なのか、川勝知事は…。
静岡県 川勝平太知事:「専門部会の丸井先生から、明確に山梨県側の高速長尺先進ボーリングの湧水が静岡県の地下水である根拠を科学的に示す方法があると言われているので、これをきっかり科学的、工学的にやるということが、丹羽新社長が明確に言われて、かつ私も同意した中身なので、これをしてもらわなくてはいけない」