「コーンフレーション」は静岡県内にも トウモロコシ高騰で各方面に余波 家計への影響は…
「コーンフレーション」とは…
林輝彦アナウンサー:「こちらのお店の一番の人気メニューはカウボーイステーキです。もちろんお肉がメインなんですがステーキといいますとこのコーンがおいしいんですよね。こちらのライスセットにはさらにコーンのサラダまでついてくるんです。ステーキにコーンは欠かせない存在です」
赤身の肉に彩りを添える鮮やかな黄色い粒。このトウモロコシにも値上げの波が。
第一生命経済研究所
首席エコノミスト・永濱利廣さん:「世界的に食料品の値段が上がっている。ウクライナが主要供給元の一つである、トウモロコシが上がっている。この値上がりについては、“コーンフレーション”と言えるんじゃないかと思います」
「コーンフレーション」は物価の上昇を表すインフレーションとコーンを掛け合わせた言葉。シカゴ商品取引所では、トウモロコシの価格が今年1月と比べておよそ50%も上昇。10年ぶりの高値となっているんです。コーンは単なる飾りではなく、お肉の味わいを引き立たせる重要な食材。こちらの店ではステーキだけでなく、ハンバーグやコーンスープなどほとんどのメニューにコーンが使われています。
ステーキ店の本音を聞くと…
Q:実際に使ってるこちらのお店で使ってるコーンっていうのはどちらなんでしょうか?
カウボーイ人宿町店 代表
黒河内誠さん:「こちらになるんですけど」
Q:けっこう大きいですね。
黒河内誠さん:「一般家庭用サイズではない業務用サイズなんで 内容量が(1缶)2キロぐらいQ1日でどれくらい使う?多いと6-7缶」
Q:今のところはまだ値上げはしていないんですか?
黒河内誠さん:「こらえてたんですけどさすがにちょっと限界だってことで、実は二ヶ月ぐらい前に本当にわずかなんですけど、一回ちょっと上げさせていただいて。ただ、もうその後、直後ぐらいにまあいわゆる戦争が始まったりとかしたっていうのがあって、より他の物も高騰してっていう結果になってしまったので、まあ正直もう一回ちょっとちゃんと大きく値上げしないと、もうちょっと商売的に厳しいかなっていう感じになってきちゃいましたね」
ウクライナからの供給減への懸念からきた世界的なトウモロコシの高騰。実はウクライナは世界の輸出の13%を占めているのです。これに加え、中国はウクライナからの輸入が減った分をアメリカ産で穴埋めするとしていて、今後価格はさらに上がる可能性もあります。
黒河内誠さん:「本音はどれくらいあげたいなあとかって?そうですね。まあメインのステーキに限ってですけど、やっぱりプラス100円。もうだからプラスもう100円150円ぐらいはみていかないとっていうのが正直なとこなんですけど」
Q:例えばコーンの量を少し減らすとか、そういったことは?
黒河内誠さん:「正直、それはちょっと今現状、ちょっと検討しつつ、その値上げの具合に合わせてどうしていくかっていうところ。お客さん側がやっぱ高いなあっていうので、来てくれなくなっちゃうって不安感があるんで、なかなか葛藤しているところ」
コーンフレーションの余波はこんな所にも
林輝彦アナウンサー:「御前崎市の鈴木牧場に来ています。こちらの牧場では国産和牛の遠州夢咲牛が育てられています。コロナ禍で飼料に使われているコーンの価格が上がりウクライナ情勢がさらにそれを加速させました。なんとこちらで使われている飼料は直近1か月で1.5倍値上げされているといいます」
茶畑が広がる牧之原台地を登ったところにある「すずき牧場」。高低差からくる風通しの良さから夏は気温が2~3度低く、牛たちにとって過ごしやすい環境です。
Q:こちらの牧場ではどんな牛が育てられているんですか?
すずき牧場 社長
鈴木雅樹さん:「私のところでは黒毛和牛の夢咲牛を650頭ほど育ててます」
Q:近くで見ると本当大きいなと思うんですけど、エサって1頭で1日どれぐらい食べるんですか?
鈴木雅樹さん:「大きな出荷間際の牛ですと、12キロぐらいまで食べる牛がいます。エサ代は1ヶ月でコロナ前ですと、うちの配合飼料の値段が700万から800万です。コロナ以降どんどん値段が上がりまして、今ですと1200万、300万。1.5倍近くなっています」
牛の飼育に欠かせない配合飼料は、大きな粒や細かく砕いたものなど、およそ6割がコーンから作られています。コーンは栄養価が高くエネルギー量も豊富なため良質な牛を育てるのに欠かせませんが、そのすべてを輸入に頼っているこの牧場は今回の価格高騰で大きな打撃を受けています。
穀物の値上げで牧場は大打撃
鈴木雅樹さん:「今回の穀物の情勢の値上げは、お金がつぎ込んだものが返ってこないような気がしてなりません」
Q:コーンの価格はこれからも上がりそうな気配がありますか?
鈴木雅樹さん:「飼料会社の方とか2.3人に聞きますと今年はまだ年末に向けてまだ上げの予想で聞いています。同業で話をすると厳しいなあということで、ひとまず1頭を減らして、牛を大事にして凌ぐという話をしている方は何人かいまして、養豚業者さんあたりだと、実際も廃業されている方がちらほらいるっていう話は聞いてます」
Q:このままいくと、こちらの牧場も本当にそういう状況に近づいてしまう?
鈴木雅樹さん:「そうですね。廃業するつもりはないんで、なんとかしのいで生き抜いていくしかないなと思っていますけどね」