深まる溝…静岡大と浜松医大再編問題 川勝知事「冷静な議論を…」 /今週の静岡

 静岡大学と浜松医科大学の再編問題 溝は深まるばかりです。

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浜松・鈴木市長「学長として失格だ」

浜松市 鈴木康友市長:「大学どうしの話し合いで決めるべきというような話をされましたけど、これは天につば吐くような話であって、大学どうしの話はもう終わっている。大学の責任者として、何というか責任者としての責任を放棄していると言わざるを得ない。だから学長として、私は失格だと」

画像: 浜松・鈴木市長「学長として失格だ」

 浜松市の鈴木康友市長が痛烈に批判しているのは、静岡大学の日詰一幸学長です。5年前の2018年から協議が進められてきた静岡大学と浜松医科大学の統合・再編。2019年に、合意書の締結が行われましたが、2021年には、延期が発表され、膠着状態となっていました。そこで、浜松市が中心となり、2つの大学の統合・再編計画を進めるため、「期成同盟会」を立ち上げ、県内の市や町、経済界に参加を呼びかけました。

静岡・田辺市長「大学の自治を尊重し両大学において決めるべき」

 この動きに、静岡市の田辺信宏市長は、苦言を呈しました。

画像: 静岡・田辺市長「大学の自治を尊重し両大学において決めるべき」

静岡市 田辺信宏市長:「浜松市が結成を目指している期成同盟会は、静岡大学の意向に関係なく進められようとしているものです。このような当事者の意に反する動きについて非常に残念に思っています。統合・再編といったテーマにあっては、大学の自治が尊重されなければなりません。つまり、大学のことは両大学において決めるべきだということであります」

「1法人2大学」案で合意→静岡大・日詰学長が「1法人1大学」案打ち出す

 2019年の合意では、運営する法人は統合したうえで、浜松医大と静大浜松キャンパスを統合して1つの大学をつくり、静大静岡キャンパスで1つの大学とするいわゆる「1法人2大学」案となっていました。

 しかし、静岡大学の日詰学長は…。

静岡大学 日詰一幸学長:「2つの大学を1つの大学にしていくことがひとつの選択肢、あるいは最善の選択肢としてあるのではないか」

画像: 「1法人2大学」案で合意→静岡大・日詰学長が「1法人1大学」案打ち出す

 あくまで個人の案、「私案」として、「1法人2大学」案ではなく、「1法人1大学」案を、打ち出していました。

浜松・鈴木市長「大学の責任者としての責任を放棄」

 こうした発言に、浜松市の鈴木市長は…。

Q.静岡市の田辺市長が期成同盟会をつくることにいかがなものか、というような発言をされている。この点について市長はどう感じている?

鈴木市長:「これ、ちょっと長くなっていいですか? ちょっと説明させていただきたいんですけど」
「田辺さんの発言もそうですけど、前提として(静大学長の)日詰さんの会見があったと思うんですよね。私はあの会見は大変遺憾だったと思っています。本当に学長としての資質が問われるくらいに思っております」
「静岡大学の最高責任者である日詰さんが『何を考えているんですか』と私は思った。日詰さんも学長になる時に、(2019年の)基本合意は遵守しますと言っているわけですね、一教授ならまだしも、学長が私案を出す。これは浜松医大に対して大変失礼だと思うし、私案を正当化したいのであれば、まず静岡大学の中で正当な手続きを踏んで、基本合意は間違っていました、破棄したいということを評議会や理事会で、大学としての機関決定をした上で、浜松医大にきちっと申し入れをするというのが筋であって、全くですね、大学の責任者としての責任を放棄していると言わざるを得ない。だから学長として、私は失格だと」

画像: 浜松・鈴木市長「大学の責任者としての責任を放棄」

静岡大・日詰学長「その時点で議論が十分でなかった」

 「学長失格」と断じた、鈴木市長。2019年の合意、「1法人2大学」案に沿って統合・再編を進めるべきと強調します。日詰学長は、鈴木市長の発言を、どのように受け止めたのでしょうか。

静岡大学 日詰一幸学長:「そこまで言われるとは思っておりませんで、非常に強い批判の矛先がわたくしの方に向けられたというふうに率直に受け止めました。なかなか難しいかじ取りになってしまったというのが率直な思い」

 そもそも、一度合意した「1法人2大学」案で、協議を進められない理由については…。

画像: 静岡大・日詰学長「その時点で議論が十分でなかった」

静岡大学 日詰一幸学長:「基本的に私が学長に就任する前に方向性が決まったわけですけど、その時点においても、いろいろな合意形成に向けての議論が十分ではなかったと思います」

浜松市で統合・再編を推進する期成同盟会発足

 こうした中、2日、浜松市で2つの大学の統合・再編を推進する期成同盟会の発足式が行われました。

浜松市 鈴木康友市長:「医工連携の大学ができることによって、県内に計り知れない波及効果をもたらすことができる」

 会場には、スズキの鈴木修相談役や浜松商工会議所の斉藤薫会頭も出席。

浜松市 鈴木康友市長:「合意書締結から4年が経つが、計画は迷走を繰り返し頓挫したままである。私が何より許せないのは、すでに去年、この大学は開学しているはずだった。この大学ができれば、そこで勉強したいという子どもたちがたくさんいた。そういう子どもたちの夢を壊し、就学の機会を奪い、教育の機会を奪っている。これが許せない。これを見過ごしている。私は静大の学長に猛省を促したい。1日も早くこの計画を前に進めなければならない」

 期成同盟会には、県西部のすべての自治体に加え、御殿場市や富士宮市など県東部の自治体も参加しています。

川勝知事「冷静な議論を…」

 2つの大学の統合、再編問題について、川勝知事は…。

画像1: 川勝知事「冷静な議論を…」

静岡県 川勝平太知事:「浜松の康友市長さんが立腹していますね。この立腹は筋が通った立腹であると受け止めている。その理由も元々合意したことについて、それを遵守するのが大学人の責任ではないかと言っているので、その通りだと思う」

 鈴木市長の怒りは理解できるとした上で、冷静な議論を呼びかけました。

静岡県 川勝平太知事:「浜松市の方も静岡市の方も互いを責め合うのではなく、ここは矛を収めて、日詰学長に強力なリーダーシップを取ってもらいたいと、私は強く望む。静岡県全体の教育の在り方を考えるために、大学人が膝を突き合わせて考えると、周りの方たちはそれを大学の自治と言われるなら、静かに見守るという態度を取るべきだ」

【映像に解説があります】

画像2: 川勝知事「冷静な議論を…」