誤作動による事故か第三者による事件か…天井から「滝のような水」　被害は億単位…裾野市は事故調査委員会立ち上げへ　　　　/今週の静岡

　９月、裾野市民文化センターで行われる演奏会に向けて、オーケストラがリハーサルを行っていました。ところが本番当日、開演まであと１時間に迫る中で、思いがけない事態が彼らを襲いました。天井からまるで雨のように降り注ぐ、大量の水。ステージは水浸しになり、反射して、まるで鏡のようになってしまっています。これにより、演奏会は急遽中止に。

トラブル２週間後にオーケストラが会見「黙っていると泣き寝入りになる」

　１３日、焼津市のオーケストラ「シンフォニエッタ 静岡」が会見を行い、被害状況を明らかにしました。

シンフォニエッタ 静岡　中原朋哉さん：「滝のような水が降ってくる…。ちょうど前の日が台風で、そういう状態の雨が降ってきて。」

　演奏会１時間前、突然天井のスプリンクラーが作動し、舞台に置かれていた楽器や楽譜が水浸しに…。

　団員はいくつもの傘を使って、降り注ぐ水から楽器を守ろうとしていました。オーケストラと演奏家にとって「命」とも言える楽器や楽譜。その被害額は、数億円規模に及ぶといいます。

　水がしみ込んで、見るも無残な姿になった楽譜。濡れたことでカビてしまったものも。破棄した楽譜は、百数十万円分。オーケストラが所有するティンパニなどの楽器の修理には、およそ１０００万円。さらに団員の中には、バイオリンなど高額な楽器を所有する演奏家もいるということです。

シンフォニエッタ 静岡　中原朋哉さん：「２０００万円とか３０００万円という楽器を持ってる人は多分いるでしょうね。ローンを組んでたり、親から借りたり、そんな感じでしょうね。長い時間かけて払ってきて、やっと払い終わったのにと」

　プロが使う楽器は買い替えたり、修理をしたりしても、まったく同じ音色を取り戻すことは難しいそうです。さらに、出演者を含む６０人のうち半数がずぶ濡れになり、楽器を避難させる際に５人が転倒。ひとりは骨折したということです。

　実は、会見を開いたのは、トラブルから２週間以上たってのこと。そこには、裾野市などの対応に憤りが…。

シンフォニエッタ 静岡　中原朋哉さん：「結局当初から裾野市なり、その指定管理者（民間の企業）から具体的に何もこう示されない。その後の対応も何にもないんで、これ黙っていると、このまま泣き寝入りになるんじゃないかなと思って」

　今回、トラブルが起きた建物は裾野市の所有物ですが、運営・管理は、民間の企業が行っています。

裾野市「誰かが操作しないと動かない」…警察に相談

　今回の件について、裾野市側は…

静岡・裾野市教育部　勝又明彦部長：「文化センターの大ホールのスプリンクラーに関しては、手動式で、開放弁を開ける、コックをひねる作業が必要になる。コックも壁に埋め込まれているので、ドアを開けてコックをひねる作業が必要になる」

Ｑ．誰かが操作しない限りは動かない？

Ａ．「そう考えている。誤ってということはないと思う」

　業者から、「機器に異常や故障などはなかった」と報告があり、人の手による可能性も考えられることから、市は、その日のうちに警察へ相談したといいます。

　裾野市が所有するピアノも水浸しになり、買い替えでおよそ２０００万円。施設の被害は１億５０００万円以上に上るということです。

裾野市教育部　勝又明彦部長：「まずは原因究明を優先していきたい。それから楽団の楽器の被害金額も指定管理者から報告があるので把握したい。施設側の被害額や復旧費用、文化センターの大ホールをどうしていくかについても、早めに市としての方針を示したい」

市は事故調査委員会立ち上げへ

　一方でオーケストラ側は、市に対して疑問を感じています。

シンフォニエッタ 静岡　中原朋哉さん：「スプリンクラーの操作盤の近くに座っていた人もいるんですよ。でも、その座ってた人が操作盤を触ってないというのも別の人が見てるし、この人がいたのもその後ろの人が見てるしで。（当日に）徹底的にばらして調べたんだったらいいけれど、そのスプリンクラーの点検をしている業者さんなりが来て、その調べたけれど原因がない。原因がないから事故じゃないって断言するところが、わからないなという。まず、そこの原因究明をもっとするべきだと思うのに、その日のうちに問題なしっていうところは疑問を感じましたね」

　誤作動による事故なのか、それとも、市が言うように第三者の犯行による事件なのか。
裾野市は来週２７日木曜日に会見を開き、事故調査委員会を立ち上げ、責任の所在につながる原因を解明する方針です。

(10月22日放送）