なぜこんなに違うの? 女性議員の割合…浜松市政令市2位、静岡市は最下位 教授「影響力持つには3割必要」
県議選では戦後最年少となる27歳の当選となった中山真珠氏。中山氏が出馬した静岡市清水区選挙区では、当選した4人のうち3人を女性が占めました。
今回の県議選で当選した女性議員は、過去最多となる11人。ところが、全体の議席に占める割合は、わずか16%にとどまっています。
静岡市48議席中3人…政令市で最も低い6.3%
一方、市議会を見てみると…
政令市である静岡市議会の女性議員は、わずか3人。割合にすると、全国の政令市で最も低い6.3%(48議席中3人)です。
自治会の会合
参加者:「うちだってやってるじゃん。例えば災害とかのときに見守りというか安否確認なんて、まさしくそういうことなんだよ」
宮城展代市議:「そうそう、まさしくそういうことですよね。その積み重ねですよね。必ず種はみんな撒いてるんですよね。あちこち自分たちのところで」
この日、静岡市で地域の自治会長が集まる会合に参加していたのは、静岡市議会に3人いる女性議員の1人、宮城展代市議。なぜ女性の市議は少ないのか? 単刀直入に聞いてみました。
自民党静岡市議団 宮城展代市議:「今までの政治の仕組みや慣習だと、夜も結構会合があったりしたものですから、当然自治体の会合も夜ですし、昔ながらの、政治は男性がやるべきもの、市議会は大変だというイメージが大きいかもしれないと思っています」
浜松市46議席中14人…30%超で全国2位
政令市で静岡市が全国ワースト1位の一方で、県内もう1つの政令市、浜松市では、今回の市議選で過去最多となる14人の女性が当選しました。女性市議の割合は初めて30%を超え、全国20ある政令市で、2番目の高さとなりました(46議席中14人)。
静岡と浜松でなぜこうした“差”が生まれたのか。県内の政治に詳しい静岡大学の井柳美紀教授は、今回の浜松市議選の結果を次のように分析しています。
静岡大学 井柳美紀教授:「ある集団の中で、その集団が影響力を持つためには、3割必要だというデータもあり、そこに達したということで、非常に注目すべき数字だと思う」
12年前は3人⇒14人に増加したワケは
浜松市議会では女性議員の数が2011年には3人でした。それが、選挙を重ねるにつれ、右肩上がりで上昇を続けています。
静岡大学 井柳美紀教授:「浜松市は全会派、自民党から一人会派まで色んな会派があるが、全会派で女性がまんべんなく増えたという点が特徴的だと思う。会派を超えたつながりの中で議員が活動をして、出産や子育てをする議員も複数登場する中で、議会の規則を作ったり、女性が活躍しやすい環境を作ることによって、当選し活躍し、また当選していくという好循環が生まれていると言えるのではないか」
そのロールモデルとなったと言われる一人が、北野谷富子市議です。2016年に県内の地方議員で初となる産休を取得。出産後に議員活動を再開すると、現在では所属する会派の幹事長を務め、先日の選挙で3期目の当選を果たしました。
議会事務局によると、浜松市議会では、北野谷市議を始め、これまでに3人が産休(育休)を取得しているということです。
女性議員「男性が気付きにくい視点も…」
北野谷市議とともに、超党派の女性議員の会を作っている平野岳子市議は、女性議員の増加に伴う、政策面の変化を実感していると語ります。
自由民主党浜松 平野岳子政調会長:「生活目線というか、やはり子育て世代の方が多かったり、どうしても福祉や医療の部分というのは強い部分がある。公共施設のトイレの問題は、男性はあまり気づかない視点だと思う。トイレがきれいじゃないと、やっぱり臭いとかもあるので、そういうったところも女性の会としても提言して進めてきたところもあり、そういったきめ細やかな政策ができる部分はあったと思う」
井柳教授「多様性ある議会は問題解決にとって重要」
井柳教授も、今後複雑化していく社会問題の解決に向けて、政治に多角的な視点が求められていると指摘します。
静岡大学 井柳美紀教授:「少子化の問題が、地域課題としては一番大きな課題になっているので、そこに女性の視点が入ることは、あって当然だと思う。地域の抱える課題を、いろんなバックグラウンドの人が考える。そこには女性の子育てとか教育とか、あるいは若い人の視点とか、男性で子育てしていたりとか、社会をよりよくするためのいろんな視点を出してくれるという意味では、多様性のある議会というのは、その社会の問題解決にとって重要だと思う」