「土地をめぐり市が市議を提訴」問題 議論の舞台は市議会本会議へ 静岡・沼津市

有料駐車場の土地を巡り沼津市議会議員と市の主張が食い違っている問題。訴訟手続きに関する議案について27日市議会で質疑が行われました。

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「土地をめぐり市が市議を提訴」問題 議論の舞台は市議会本会議へ 静岡・沼津市

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髙橋秀子沼津市議 午前10時ごろ:
「裁判になれば、多大な時間と労力と、そして沼津市民の皆さんの税金を使うことになる。裁判以外での解決の方法はなかったのか」

沼津市 建設部 杉山泰彦部長:
「相手方からは解決に向けた連絡を頂けず、このままでは本件解決のメドが立たないことから、やむなく裁判所にその判断をいただくこととし、議案を提出した」

 27日開かれた沼津市議会9月定例会。

 そこで取り上げられたのは、全国からも注目を集める前代未聞の“あの問題”についてです。

「土地をめぐり市が市議を提訴」問題 議論の舞台は市議会本会議へ 静岡・沼津市

主張は平行線に

山下富美子沼津市議 沼津市 14日:
「市に提訴された土地は私のものです。市は必ずこの事実に基づいて提訴を取り下げてほしい」

沼津市 建設部 杉山泰彦部長 20日:
「登記が市の土地なので逆に市のものじゃないという証明をそちら(市議)側がするべきだと思う」

 市内の土地の所有権をめぐり、「市が現職市議を提訴する」という異例の事態が起こっているのです。

「土地をめぐり市が市議を提訴」問題 議論の舞台は市議会本会議へ 静岡・沼津市

 その渦中にいる現役市議とは、現在5期目の山下富美子市議。

 27日の定例会にも、その姿がありました。

 今回問題となっているのは「駐車場2台分の土地」。

 山下市議は、父親から相続した自宅の隣の土地を、およそ30年前から月極駐車場として貸し出していました。

 しかし去年、市が土地の登記簿などを調べた結果、そのうち2台分が“市の土地だった”ことが判明。

 沼津市は、山下市議が駐車代として10年間で得たおよそ200万円を返還するよう求めましたが、市議はこれに応じず。

 市は、不当利得の返還を求め提訴するための議案を、議会に提出しました。

山下富美子沼津市議 沼津市 14日
「『本来のこの土地が誰のもの』というところの基本的な資料も出ないまま今日(こんにち)に来ました/『文書保存期間が過ぎて保管していない』『文章がない』ということが繰り返された」

沼津市 建設部 杉山泰彦部長 20日
「相手方と払下げする、しないなどのやりとりはあったと思われますが、あくまでも登記上の市の土地でございますので、そういう認識でいる」

 双方が「自分の土地」だと主張し、事態は平行線を辿っていました。

「土地をめぐり市が市議を提訴」問題 議論の舞台は市議会本会議へ 静岡・沼津市

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舞台は市議会本会議へ

 そんな中行われたきょうの市議会には山下市議も出席。

 その中で市議への提訴に関する議案が扱われました。

沼津市議会 髙橋達也議長
「次に日程第27。議 第40号。不当利得返還等請求事件の提訴を議題と致します」

…すると、その時。

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  山下市議 退席

 なんと山下市議は、“提訴の議題”になった途端、席を立ち議場を後に。

 議会が異様な雰囲気に包まれる中、議員から市に対し質問が相次ぎます。

「土地をめぐり市が市議を提訴」問題 議論の舞台は市議会本会議へ 静岡・沼津市

尾藤正弘 沼津市議:
「本市と相手方との協議が全く見えない中、突然議案として上程された感がありますが、これは余程の事と推察致しました。提訴の決断に至った理由について伺い、私からの質問は以上とさせていただきます」

沼津市 建設部 杉山泰彦部長 20日:
「交渉の機会を持つべく幾度となく催促を行ってきましたが、不当利得等の返還については支払わないと明確な回答により、議案を提出した」

江本浩二 沼津市議:
「証拠書類は市の土地であるという証拠を示すものは登記簿しかないんだとおっしゃってました。しかし、登記簿の性格を考えれば、それ以外にもしっかりと証拠を探してくるべきじゃないですか。登記簿しかない?他は全部探したんですか?当時の担当者に聞いたんですか?」

「土地をめぐり市が市議を提訴」問題 議論の舞台は市議会本会議へ 静岡・沼津市

沼津市 建設部 杉山泰彦部長 20日:
「平成三年に第三者である所有者より、当該議案の土地も買収し、それ以降、本県議案の相手方を含め、どなたにもこの土地を払い下げてないという事実がございますので、本件土地は沼津市所有地ということで認識している」

 沼津市が提出した市議を提訴するための議案は、10月16日の市議会最終日で採決が行われます。

 可決された場合、市は提訴に踏み切る方針です。

 議会終了後、取材に応じた沼津市の頼重市長は。

沼津市 頼重秀一市長:
「このことに関しては、放置しておくことができないので、極めて重く受け止めて、まず議会の皆さんがこの提訴自体が適切なものかどうか、審議していただくと。提訴が正しいということで認められれば提訴という形を取りますので、まずは議会の動向を注視したい」

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