静岡県内もサンマが高い 頭を抱える鮮魚店 漁師は漁場が遠くなり燃料費高騰とのダブルパンチに

スミス春子アナウンサー:「こちらの鮮魚店では秋の味覚、サンマが販売されています。実は今このサンマの価格に異変が起きているということなんです」

鮮魚店はサンマが赤字に…

画像1: 鮮魚店はサンマが赤字に…

静岡市にある「鮮魚日の出」。一般のお客から飲食店まで様々な人が新鮮な魚を買いに来る人気鮮魚店です。そんな鮮魚店が今、頭を抱えているのがサンマの価格高騰です。

鮮魚日の出 
川瀬真吾 代表:「高いです。3、4年前からすると、このサイズだと5~6倍位してるんじゃないですかね。庶民の魚では無くなった、高級店が持って行くような魚になってきてしまいましたね」

 前週から店頭に並び始めたというサンマ。温暖化や乱獲、燃料費の高騰により、漁獲量が減少し、安い年には1匹50円で販売されていたサンマがきょうは1匹450円で販売されています。価格の高騰により購入客は激減。1匹300円の小さいものはほとんど売れていません。

川瀬さん:「赤字続き。毎年この時期はサンマで儲けさせてもらうような形だったんですけど、今サンマを置いておいても利益にはなっていません。赤字続き」

 今年は価格高騰に加え品質も低下。サイズは小さく厚みも半分ほどになり、脂の乗りも悪いと言います。

川瀬さん:「毎年この時期はでかいんですよ。自分達も売っていてやっぱ心苦しい所が結構あるんですよ。このサンマでこういう金額で売るのもやっぱ自分はあんまりだなと思うんですけど」

 秋の食卓を彩るサンマは、このまま手が届かない存在となってしまうのでしょうか。川瀬さんは現在の状況がまだ続くのではないかと不安を募らせます。

画像2: 鮮魚店はサンマが赤字に…

川瀬さん:「今年の状態がコレですので、来年再来年はなんとも言えはしませんが、変わんないんじゃないのかなと思うし、もっともしかしたら小さくなるかもしらないかなと思っております」

サンマ漁は採算とれず

一方で、サンマ漁の現状はどうなのでしょうか。

画像1: サンマ漁は採算とれず

 こちらは15年ほど前、岩手県沖で撮影されたサンマ漁の映像。棒受け網漁(ぼううけあみりょう)という漁法で光に大量のサンマを集め、網で引き揚げます。
 サンマ1匹100円程度で売られていた時期。この映像を撮影したのは県内唯一のサンマ漁船に乗る西伊豆町の藤井晴正さん(66)です。
 その船は、今西伊豆町の安良里(あらり)漁港に停泊しています。サンマ漁は8月20日解禁。しかし今年は、まだ漁に出ることができない状況だといいます。

サンマ漁師 
藤井晴正さん:「うちはまだ(漁に出るか)考え中という所ですかね。採算取れたら出てく可能性もあるけど、まだいつという話にはならないです」

Q:採算が取れないと言うのはどういう要因なんですか?

藤井さん:「まず漁場が遠いですね」

画像2: サンマ漁は採算とれず

 本来なら8月に西伊豆を出港し、北海道の根室や釧路を拠点に12月初旬までサンマ漁を続けるという藤井さん。しかし今年は解禁日での出港を見送りました。その理由の一つに、サンマの漁場が以前よりも遠くなっていることを挙げます。

 以前は北方領土の色丹島付近でサンマを捕っていましたが、海水温度が高くなったことなどから、日本近海からサンマがいなくなり、はるか東にまで、漁をしに行かなくてはならなくなりました。これまで漁港から漁場まで、1日で行けたところが3日ほどかかるといいます。

藤井晴正さん:「燃料代だけで1日、うちの船、小さいだからだけど、1日50万円から燃料食うので。それで行って帰ってでしょう。それだともう10日近くかかる。燃料だけで500万円」

 近海で漁をした場合と比べて、倍以上かかるという燃料代。原油の高騰も追い打ちとなり、負担はさらに大きくなっています。

 そして、その状況をより悪化させているのが「ロシア」との関係です。

藤井晴正さん:「ロシアの200海里というのがあるんだけど、経済水域、EEZか。そこもちょっと入るのが、/何があるか分からないので、ちょっと皆さんそこを避けて通っている状態で、その状態だけでも直接行くよりも17時間ぐらい遅くなっちゃう」

 国際法上は、入ってもいいエリアですが、藤井さんによると、ロシアは排他的経済水域で、取り締まりを厳しくしているといいます。そのためサンマ漁船はその水域に入らないように遠回りして漁場に向かわなくてはなりません。その分、さらに燃料代がかさむことも、サンマ漁の足かせとなっています。

 また台湾、韓国、中国の大型漁船による乱獲なども影響し、漁獲量が激減。以前なら1日90tほど捕れたサンマが、今は1日3tほどしか取れず、しかも大きさは年々小さくなっているといいます。

画像3: サンマ漁は採算とれず

藤井さん:「昔はだってほとんどが大きい、丸くなったようなサンマだったけど、近年見たことないです。こんな小さいサンマばっかりでしょ。特にここ数年はもう絶望的なほどサンマが少ないですよ」

 現状では塩焼きなどにする大きさのサンマの漁獲は極端に少なく、今後も改善の見込みは薄いと話す藤井さん。サンマの価格の高止まりは、今後も続くとみています。