静岡市でプラスチックごみの分別回収段階的に始まる  コストは11億5000万円増に


早ければ5年後に家庭ごみの分別回収を始める方針を示した静岡市。これに先立って市内の清掃工場では段階的な取り組みが始まっています。

掘 優菜アナウンサー
「静岡市の清掃工場です。こちらでは要らなくなった家庭ごみを市民が持ち込む場所となっています。そんな中、今月からプラスチックの分別回収を段階的に行うようになりました。」

 これまで、ペットボトル以外のプラスチック類を全て「燃えるごみ」として回収してきた静岡市。

 ところが今年8月、ごみの分別方法について「方針の変更」を発表し、循環型社会の実現に向け、2028年以降“燃えるごみ”と“プラスチックごみ”の分別回収を行うことを掲げました。

 早ければ5年後には家庭ごみの“分別回収”が始まることになります。

 この実施に先立ち、静岡市内の清掃工場では今月2日から、持ち込みの家庭ごみの中で、プラスチックごみをリサイクルにまわす段階的な取り組みが始まりました。

Qこちらで客が持ってきたごみはどのように回収される?

沼上清掃工場 中野勝之工場長:
「客が持ってきたごみはそれぞれ分別されて置くような形になる。そのなかで今回(リサイクルが)始まったプラスチック製品はこちらに入れていただくような形になる」

Qここに集まったプラスチックごみはどこに持っていく?

沼上清掃工場 中野勝之工場長:
「ここに集まったプラスチックごみはそちらの方。こちらに一度仮置きして、この後場内にあるコンテナに積んで外(リサイクル)に出すような形」

 プラスチックごみは、ポリバケツや衣装ケースなど、ほとんどがプラスチックで作られている「製品プラスチック」と、菓子の袋や調味料の容器など、中身を包むための「容器包装プラスチック」の
大きく2種類に分類されています。

プラごみを持ち込んだ人は

 今回、静岡市の清掃工場で分別が行われるのは「製品プラスチック」だけですが、こちらの清掃工場では現在、1日10人ほどが
プラスチックごみの持ち込みに訪れると言います。

Q以前から分別はしていた?

プラごみの持ち込みに来た人
「プラスチックはあまりしていなかったが、これからちょっとやろうかなと。アルミやスチール、ペットボトルの分別とかでだいぶ慣れたので、そんなにたいへんとは思わんないかなと。」

プラごみの持ち込みに来た人
「最近人に(プラスチックごみの分別を)言われてやるようにしていて、早めに慣れようかなと。正直に言えば性格的に面倒くさかったが、時代の流れでしょうがないかなと。」

 清掃工場で分別回収されたプラスチックごみは、その後、市内の廃棄物処理業者が破砕処理を行い、リサイクル業者へと売却されます。

 静岡市はこうしたプラスチックごみの回収量を年間でおよそ30トンと見込んでいて、CO2は現在の排出量のおよそ2割を軽減できると試算しています。

プラごみの持ち込みに来た人

一方で課題も

 一方で、課題も…。

静岡市 ごみ減量推進課 萩原竜也課長補佐
「分別品目を増やすということは処理費用の増加という課題がついてくる。リサイクル工場に処理をお願いすることになるので、その委託料がかかったり、現在静岡市ではごみを焼却することで発電を行って、電気を売っているが、プラスチックは熱量が高く発電効果も高いが、(リサイクルによって)その発電の収入が減るということがコストとして考えられる。」

 これまで、清掃工場で焼却していたプラスチックをリサイクルに回すことで、リサイクル業者への輸送費や処理代などが新たに発生し、市は、およそ11億5000万円のコスト増になると見込んでいます。

 今後は、来年5月に市内の区役所などの公共施設に製品プラスチックの分別BOXを設置し、段階的にごみの分別を進めるとしています。

静岡市 ごみ減量推進課 萩原竜也課長補佐
「市民の皆さんにはこれまでの分別ルールが染みついているため、市がリサイクルの体制を整えるのと並行して、市民に対する周知、啓発を図っていきたいと考えている。」

11億5000万円のコスト増に