静岡市もついにプラスチックごみ分別収集か 静岡県内で分別してないのは静岡市と南伊豆町だけ
静岡市はこれまで行っていなかったプラスチックごみの分別回収を検討し始めました。背景と市民の反応を取材しました。
増田高容ディレクター:
「静岡市の海岸に来ています。少し歩くと、流されてきたごみでしょうか、タイヤや奥の方にはプラスチックのごみなどいくつか見受けられます」
河川や海岸でたびたび見られる機会の多い“プラスチックごみ"。
環境省によると、日本は人口1人あたりのプラスチック類の廃棄量がアメリカの次に多いといいます。
海洋生物や人体にも影響を及ぼしかねない「マイクロプラスチック」など、世界的にも問題となっているプラスチックごみ。
静岡市内ではどう処理されているのでしょうか。
沼上清掃工場
Qこちらはどういう施設?
沼上清掃工場 中野勝之工場長:
「こちらはごみピットという施設です。家庭の近くの集積場からパッカー車によって集められたごみを一旦貯留するところです。」
こちらの沼上清掃工場では1週間におよそ1400tの燃えるごみが集まります。
これは静岡市内全体で出る燃えるごみの半分の量です。
おととしのデータで、静岡市の集積場に運ばれた家庭ごみは、年間およそ12万t。
市ではペットボトル以外のプラスチック類を「燃えるごみ」として回収していて、その量は燃えるごみ全体の2割ほどを占めています。
実は県内でプラスチックごみを“燃えるゴミ”として扱っているのは、静岡市と南伊豆町だけ。
他の市や町にとっては当たり前の“分別”という作業がありません。
そうしたなか、静岡市でこの“分別”をめぐり、動きが出てきています
分別方法の転換期を迎えた静岡市
静岡市ごみ減量推進課 萩原竜也 参事:
「これまで静岡市はプラスチックごみは燃えるごみとして処理をしているが、これについて昨今のプラスチック事情を考えると、この辺りについて分別を検討する時期じゃないかということで検討に入っている」
静岡市でも燃却処理していたプラスチックごみを分別し、リサイクル資源として活用していけるよう動き始めていくといいます。
そもそもなぜ、今までは“燃やしていた”のでしょうか。
静岡市ごみ減量推進課 萩原竜也 参事:
「古紙・ビン・缶と比べ(プラスチックごみは)リサイクル率が低く、発電用の燃料にリサイクルされている事例があるなど、その点では決してリサイクル技術が優れているとは言えない状況。このような状況であれば市が発電機能を備えた清掃工場を整備して処理することが有効であると判断して分別を行ってこなかった」
静岡市の清掃工場は現在プラスチックごみなど、不純物も一緒に燃やすことで火力を上げ、その熱で発電を行っています。
そのため、プラゴミの分別は急務とされていませんでした。
理由は他にも・・・
静岡市ごみ減量推進課 萩原竜也 参事
「本市のように近隣にリサイクル施設がない場合、遠くまで運搬するのに新たな環境負荷がかかってしまう」
つまり、発電効率や運搬コストを考えると、分別するよりも燃やした方がいいという考えです。
ただ、そう言っていられなくなった背景が・・・
静岡市ごみ減量推進課 萩原竜也 参事
「リサイクル技術の高度化やカーボンニュートラルへの対応、近年プラスチックを取り巻く環境が変化してきた。プラスチックを分別収集した場合の本市のモデルを環境面・経済面について再検証したところ環境面においては一定の効果が認められたことが背景にある」
SDGsを推進する静岡市としては、自然な流れともいえるプラスチックごみの分別化。
一方、長年“プラゴミ”を“燃えるゴミ”として出してきた市民の本音は・・・
静岡市民 70代:
「よその市はとっくにやってるんだから、こんな大きい市が今ごろそんなこと言ってること自体が言っちゃ悪いけど後手後手」
静岡市民 10代:
「個人の負担というか、言ってしまうとちょっと面倒くさいような部分ではあるが、一人一人がこうやって問題に向けて協力できる形になっていくのはいいことかなと思う。ゴミを捨てる時だけ、ちょっと分別の作業が増えるだけなので個人的にはいいことかなと思う」
分別方法の転換期を迎えた静岡市。
現状、詳しい回収方法や開始時期は決まっておらず、今後より具体的に検討を進めていくとしています。
静岡市ごみ減量推進課 萩原竜也 参事:
「環境面・経済面・社会面その3点を総合的により良いものとして、市民の方々にとってどのような回収方法が一番手間をかけないのか、そういったことを総合的に考えながら制度設計を検討していきたい」
毎週欠かせない“ゴミ出し”。
今後、静岡市民の生活スタイルに変化が出るかもしれません。