円安による値上がり 飲食店に深刻な影響…町の中華料理屋やカレー店を取材「お客様は家族みたいなもの。気安く値段を上げられない」

 豆板醤など、たっぷりの香辛料が使われた、中華の王道・麻婆豆腐。

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 こちらは本格的な中国の四川料理が楽しめると人気の静岡市内の中華料理店です。

 この日もランチタイムには、刺激的な辛さを求めた客が大勢訪れていました。

島田市民 40代:
(Qかなりむせているが?)
「結構辛い。YouTubeなどで(店を)見て、きょう行ってみようということになったので、刺激を求めて(店に来た)」

藤枝市民 30代:
「山椒が結構好きなのでしびれるぐらい山椒をかけて食べる。結構汗をかいたりするので、食べて汗をかきたい。運動はしないが」

静岡市民 40代:
(Q辛さはどうだった?)
「ちょうどいい。
「(豆板醤は)ちょっと味に奥行きが出るというか、変化が出たりするので、結構何でも入れてしまう」
(Q辛いものの魅力は?)
「少し自分を痛めつける感、修行みたいなもの」

香辛料にも値上げの動き…値段が高くても中国から輸入する理由とは?

 四川料理にとって、欠かせないのが豆板醬などの香辛料。ところが今、この「香辛料」に、ある変化が起きているんです。

画像: 香辛料にも値上げの動き…値段が高くても中国から輸入する理由とは?

栗田麻理アナウンサー:
「こちらが看板メニューの四川火鍋と麻婆豆腐です。見てください、真っ赤な色でとても辛そうですが、刺激的な香りが鼻にツンときて食欲をそそられます。この山椒や唐辛子といった多くの香辛料を使った中国料理も今、円安によって大きな影響を受けているそうです」

 現在、こちらの店を悩ませているのが、円安による香辛料の値上がり。

 今月20日には円相場が1ドル150円を超え、海外からの輸入品に深刻な影響が出ています。

中国料理 四川京 藤本左京社長:
「ずいぶん円安になって1ドル150円台になって、商品によって少し違うが結構値上がりしている。油と豆板醬が結構値上がりしている。具体的には例えば豆板醤は(去年の仕入れ値が)500円のところが800円になってしまったり、油は4000円のところが5200円になったり5500円になったりして動いている」

 店で一番よく使うという豆板醤は、仕入れ値が去年に比べ1㎏あたり300円ほど値上がりに。 

 また、油の値上げに加え、トウガラシなど、四川料理には欠かせない香辛料の仕入れ値が、去年に比べ3割ほど増加したといいます。

 ただ、店側は仕入れの値段が高くても中国から輸入したの香辛料を使わざるを得ない理由があると話します。

中国料理 四川京 藤本左京社長:
「(中国)本場で作った調味料がないと味が変わってしまうので、特に四川で昔から発酵して作った豆板醬なので、簡単に作れるものではない。だから向こうの材料を使えないと味が変わってしまうので、向こうの材料を使う」

 店の看板料理である四川火鍋には、中国から輸入した唐辛子や山椒、八角などおよそ20種類の香辛料を使用。鍋に入れる具材も一部は中国から輸入しています。

 現在はメニューの値上げなどは行っていませんが、今後も同じ状況が続けば、価格の変更も検討せざるをえないといいます。

中国料理 四川京 藤本左京社長:
「もう少し様子を見て、あんまり値上がりしてしまうと申し訳ないが少し値上げさせていただくかもしれない。/コロナの影響もあるし、円安になってしまった理由はよくわからないが安定してほしい」

あの料理にも値上げの波が…ほとんどを輸入しているので値上がりは深刻…

 円安による「香辛料」値上げの波は“あの料理”にも及んでいます。

 唐辛子やターメリックなど、様々なスパイスが香るカレー。こちらは静岡市で18年以上営業を続けているスリランカカレー店。

画像: あの料理にも値上げの波が…ほとんどを輸入しているので値上がりは深刻…

サヒル17  坂本紗司斗(サジット)店主:
(Q今何作っている?)
「カシューナッツ炒めカレー。こちらはパイナップル(カレー)。こうやって(カレーを)5種類作ろうとなると、20種類ぐらい(スパイスを)使っている。やっぱり自分の国のスリランカのカレーをありのままに出そうとすると、これだけのものが必要」

 20種類以上のスパイスを使うことで、食べた時の風味と、あとをひく辛さが特徴のスリランカカレー。

 使われているスパイスを含む、食材のほとんどを海外から輸入しているため、円安による値上がりは深刻だといいます。

サヒル17  坂本紗司斗(サジット)店主:
(Q一つのスパイスあたり、どのくらい値段が上がっている?)
「だいたいものによっては1kg当たり(今年の2月ごろに比べ)600円くらい違う。このカシューナッツはもう(去年に比べ)1kg1200円も値段が違う。だから使う人もほとんど減っている」

 他にもブラジルから仕入れる鶏肉やスリランカカレーでは欠かせないというレンズ豆など、様々なものが円安によって現在値上げとなっているといいます。

 こちらの店は店舗営業の他に、毎日100食ほどのお弁当の販売も行ってますが、650円の値段に対して現在の原価は400円ほど。去年よりも50円ほど原価が高くなってしまったそうです。

「プラスチックスプーン1つ分の利益を得るのは簡単ではない」食品ロス減らす工夫も。

サヒル17  坂本紗司斗(サジット)店主
「容器もすごい高くなっている。始めた当時は、この容器が17円。スプーンが4円。今容器が34円で、(スプーンが)12円。お客様が「スプーンいいよ、家でスプーンで食べるよ」と言うと、すごく嬉しくなる。お弁当を2つ買って「スプーンいいよ」っていうと24円を置いていっているわけだから大きい。そのぐらい本当に(利益を得るのは)簡単じゃない。プラスチックスプーン1つでも」

画像: 「プラスチックスプーン1つ分の利益を得るのは簡単ではない」食品ロス減らす工夫も。

 サジットさんは通常時よりも仕込みの量を減らすなど食材ロスをなるべく減らすことで影響を小さくする工夫をしています。

サヒル17  坂本紗司斗(サジット)店主
「お客様は私にとっては家族みたいなものなので、大勢の人に十何年近くご飯食べさせているので、気安くやっぱり値段を上げられない。あと1ヶ月やってみてお客様と相談。高くなっていっても自分が無理していたらやっぱり続けられなくなるので、お客様と話して相談をして、みんなとどこか10円値上げかどうするかは考えたい。それしかない、いまのところ」

 カレーに中華料理。家庭でも馴染みのある料理にも値上げの影響が出ています。

 1日からは牛乳やスナック菓子などが値上げとなり、家計への影響は依然として続きそうです。