川勝知事「現行ルート前提に課題解決に取り組む」 静岡県が「リニア期成同盟会」加盟へ
静岡県 川勝平太知事(6月30日)
Q.率直な受け止めはいかがでしょうか?
A.まだ手続の途中ですからね。
Q.それを見守る?
A.そうですね。
記者の問いかけに答えた川勝知事。「見守る」としたもの、それは『あの話』についてです。
川勝知事(6月15日)
「本県の場合は、むしろ不安材料が多いので、これを何とか早く払しょくしたいということなんですね。どこにも私は皆様方に迷惑をかけるようなことをしているつもりはないという事ですから、ぜひ入会を認めていただきたいという事であります」
東京から大阪まで、静岡県『以外の』9都府県からなる「リニア建設促進期成同盟会」。会長を務めるのは愛知県の大村知事です。
川勝知事(6月2日 中部圏知事会)
「この席で会長に再申請になりますけれども、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会への加盟をしっかりと申し上げたいと思っております」
愛知県 大村秀章知事(6月2日 中部圏知事会)
「先週の自民党の会合では、私から建設“促進”期成同盟会でありますので、その趣旨にご賛同いただけるということを文書などで確認させていただいたうえで、私どもすべての会員の皆さんと全部お諮りしてやっておりますので、またよくよくご相談させていただければと思っております。
6月2日に開かれた中部圏知事会。期成同盟会に入りたい川勝知事は驚きの行動に…
休憩時間になると、足速に大村知事に近づいた川勝知事。壇上で「リニア期成同盟会」への加入申請書を直接手渡したのです。ただ、再申請を受け取った大村知事からは後日、こんな苦言も。
愛知県・大村秀章知事(6月6日)
「あの場でいきなり紙を持ってくるとは思いませんでしたので、そこはちょっと普通は常識的には、普通は事前にこういうことをしますよって話があるもんですわな。普通社会人ならね」
静岡県「現行ルート前提に県内の課題解決に取り組む」
静岡県が加入できるかどうかについては、他の沿線県の意見で判断されます。そうしたなか、ある動きが。
川勝知事(6月29日)
「リニア建設促進期成同盟会に対しまして、6月2日に再申請をいたしました。そうすると6月27日付で事務局の愛知県都市交通局長から、本県のくらし環境部長宛に返事が届きました。それによりますと、賛同する意見があった一方、改めて意向を確認したいという意見が複数あったので、2つのことを確認したいと。現行ルートでの整備を前提にスピード感をもって静岡県内の課題解決に向けた取り組みを進めること。2つ目は品川〜名古屋の2027年開業、大阪までの全線開業2037年を目指すとの立場を共有するとの2つでありますので、文字通り我々はこれを前提にして、これに一言加えまして、スピード感を持って静岡県内の課題解決に向けて国と協力して取り組みますということで、常に一体感を持ってやりたいと(回答した)」
期成同盟会側から返事があったことを明かした川勝知事。同じ頃、愛知県庁では大村知事が…。
愛知県 大村秀章知事(6月29日)
「もうすでに、こういう回答が来たということは8都府県には連絡をしています。そのうえでリニア建設促進期成同盟会におきましては、静岡県に10番目のメンバーとして加入していただくことにしていきたいと」
大村知事は静岡県を期成同盟会のメンバーとして受け入れる意向を示しました。
愛知県 大村秀章知事(6月29日)
「改めて各県に書面で同意をもらって入ってもらうということになると思います。現行ルートでの整備を前提にスピード感を持って課題解決に向けて進めると。それから品川〜名古屋の2027年開業、大阪までの2037年開業を目指すという立場を共有するということで同じ方向を向いて取り組んでいただければありがたいなと思っています」
愛知・大村知事「肝心の静岡工区について書かれていない」
「現行ルート」を前提にするということで静岡県側も同意しましたが、同盟会への再申請をした中部圏知事会では、川勝知事が“こんな発言”もしていました。
川勝知事(6月2日 中部圏知事会):「できる限り、静岡県としても協力したいと。すなわち甲府から東京、飯田から中津川を経て名古屋、さらに名古屋から大阪まで。そうしたことに対してできる限り建設に協力していきたいと」
静岡工区が含まれる甲府〜飯田間については言及をしなかった川勝知事。期成同盟会の会長・大村知事もそこは見逃していませんでした。
愛知県・大村秀章知事(6月6日):「今回は建設促進に賛同だというのは書いてありまして、ですが、肝心の静岡工区については建設促進って書かれておられませんので」
この「ルートに対する考え」について、今週の会見では記者から質問が
川勝知事(6月29日)
Q.「現行ルートでの整備を前提に」と記載されていますけど、今後一切ルート選定の疑義やルート変更に言及しない理解でいいか?
A.そうですね。今現行のルートの中で、南アルプスのトンネル工事について不安とか懸念とか表明されております。それについて、専門部会を2つ設置してやってきているわけですね。ですから、このルートを前提にしているわけであります。私はリーダーシップは取りません。
大臣に手紙「なぜ南アルプスを回避しなかったのか明確にするようJRに指導を」
ただ、川勝知事は6月初旬…
川勝知事(6月8日):「6月6日付、斉藤鉄夫国交大臣閣下に川勝から手紙を書きました」
川勝知事が国交大臣に出した「手紙」。その中身はこの様なものでした。
(国交大臣に宛てた手紙)
『南アルプスについては巨摩山地北中部が回避された理由よりも、はるかに厳しい回避するべき条件が指摘されています。にもかかわらず、なぜ回避されなかったのか。明確にして公表する様に、JR東海に厳しくご指導をお願い申し上げます』
遡ること4月。県の専門部会でJR東海は「地質がぜい弱」とされ、回避することになった山梨県の巨摩山地を通るルートを、現状の南アルプスルートと比較した資料を提示。
ただ県は、南アルプスルートのほうが大量の湧水など“より厳しい”条件だとして、南アルプスルート決定に至った経緯の不透明さを主張しています。
国交省から手紙の回答が届いたことも、明らかになりました。
川勝知事(6月29日):「一言で言うとですね、環境への影響が多かろうと、小さかろうと関係なしに、経済性、速達性という観点から勘案して選んだと。こう言っているわけです。驚きました。答申の段階で環境への影響を軽視していると自ら認めた。そういう回答になっております」
同じ会見でルート選定の疑義については言及しないとしたものの、手紙の回答を紹介した川勝知事。期成同盟会加入の行方も含めて、今後の動向に注目が集まります。
(7月2日放送)