「リニア問題」で多くの県民が県の対応評価…静岡県知事選、現職の川勝氏大勝の理由は 審判は「県政の継続」 / 記者解説
根方記者:よろしくお願いします。
川勝さんの勝因
石田アナ:川勝さんは、岩井さんに30万票以上の大差をつけて勝利しましたが、まずは今回の結果をどのようにみていますか?
根方記者:県民の多くが、「県政の継続」を望んだということの表れです。川勝さんは県内ほとんどの地域で岩井さんの得票を上回っていました。また、県内全域・大井川流域以外でも川勝さんは「リニア問題」を前面に打ち出して訴えを続けてきました。
朝日新聞などが合同で行った出口調査なんですが、これを見ると県民の68%と、県民の多くがリニア問題に対する県の対応を評価していて、そのうち7割以上が川勝さんを支持しているという結果となっています。
リニアの水問題では、国やJRとは対立が続いていますが、これを見てわかるように、知事の姿勢に共感する県民は多く、「リニア問題」という武器を手にした川勝さんが選挙期間中、それに『全集中』することで、県内全域に支持を広げる結果となりました。
今後の影響
石田アナ:リニアが勝因の一つになったということですね。自民党にとって、今回の結果(岩井さんが敗れたこと)は、今後どのように影響してくるのでしょうか。
根方記者:出口調査の支持政党別の結果ですが、岩井さんは党本部推薦で総力を挙げて戦ったものの5割強しか自民党の支持を固めることができませんでした。自民党関係者は、この理由を「時間が足りなかった」と話していて、この知事選の結果が、秋までには行われる衆院選に影響を与えるのではないかと懸念する声も上がっています。
投票率
石田アナ:そして今回は投票率も上がったんですよね。県民の関心が高かったということの表れですかね?
根方記者:過去5年間の投票率です。2回連続で5割を下回っていて前回は46%、それを上回るのかどうかが焦点となっていました。結果、「52.93%」と前回を「6.5ポイント」あまり上回り、2人に1人が投票に行ったという結果になりました。
川勝さんがリニア問題を前面に出すことで県民の関心が高まったこと、自民が独自候補を擁立して党本部推薦で組織戦を展開したことが理由にあると思います。
今後の県政運営
石田アナ:これで次の4年間の県政のかじ取り役が決まったわけですが、今後、どのようなことが川勝さんに求められるのでしょうか?
根方記者:川勝さん自身が訴え続けてきたリニア問題について、国やJRとどのように対話して道筋をつけていくのかが1つ。そして、喫緊の課題にはコロナ対策があります。今回、観光業が盛んな熱海市と東伊豆町では岩井さんが川勝さんを上回る結果となりました。疲弊した観光産業の支援策や、地域経済の活性化を求める声があるということの表れだと思うので、県の様々な課題をどう乗り越えていくのかその手腕が問われています。