事態に進展はあるのか? リニア工事で懸念抱く47項目の進捗状況発表 静岡県「終了したのは水資源の17項目のみ」
リニア新幹線の工事を巡り静岡県は懸念を抱いている47項目について会見を開き、進捗状況を発表しました。リニア問題解決に向けて進展はあるのでしょうか。
森貴志副知事:
「静岡県とJR東海の対話について説明したい」
5日午後3時からリニア問題に関する重要な会見が開かれました。
会見の場に立ったのは静岡県の森貴志副知事です。
森貴志副知事:
「これまでも関係の皆様方のいろいろな話とか説明等があり、少し混乱しているのではないかと私自身が認識していて、それらの整理も含めて、対話に要する事項について過去の経緯も含めて説明し、これから今後どういう方向に進めていくのかについて話したい。」
川勝知事は
JR東海が2027年“以降”に品川―名古屋間で開業を見込んでいるリニア中央新幹線。
川勝知事 去年12月:
「県の基本姿勢は、リニア中央新幹線の整備促進と大井川の水資源及び、南アルプスの自然環境への影響の回避低減を図ることであります」
リニア新幹線“推進”の立場を主張している川勝知事ですが、度々その発言が物議をかもしています。
リニアをめぐっては、静岡県側が水や生態系への影響など47つの懸念を示していますが、解決への見通しは立っていません。
こうした背景もあり、県とJR東海との間に国の有識者会議が入ることで、国はリニア開業に向けた道筋をたてようとしています。
リニア有識者会議 中村太士座長 去年12月
「今回報告書ができたので、大臣にお渡ししたいと思います。よろしくお願いします」
去年12月、リニアの工事に伴う「環境問題」に関する国の有識者会議が終了。
最終報告書を斎藤国交大臣に提出し、これで議論は一区切りとなりました。
ただ、これに黙っていなかったのが川勝知事です。
川勝知事 去年12月
「有識者会議では、残念ながら十分に議論されずに、解決されないまま報告書を取りまとめられた。報告書の内容をしっかり確認したうえで、意見書で私どもが示した課題など不十分な点について、県専門部会でJR東海と対話を進めていきたいと思っております」
議論に一区切りしたとする国に対し、再度、県の専門部会で議論すると強気の姿勢を見せていました。
ただ、こうした県の対応に有識者会議の座長は・・・。
リニア有識者会議 中村太士座長 去年12月
「今回議論すべき論点が残されているとは認識していない。我々が論点整理しても、県の専門部会でチェックされて、ほとんど課題があるとしかされなくて」
また開業時期が変更になったことについて、川勝知事は独自の解釈を明らかに。
川勝知事 1月4日
「2027年という数字が消えたのだから、2037年の東京都大阪の全線開通が残された最後の期限」
あくまで2037年の全線開通までに、県が懸念する問題は解決すればいいとの考えを示しました。
こうした動きにJR東海も会見を開き知事の考えに反論。
知事をけん制する声が
さらに先週には静岡市や島田市といった“身内”からも川勝知事を“けん制”する発言が・・・。
静岡市 難波喬司市長 1日
「リニアは静岡に止まらないので、静岡の声を聞いても、何も聞くことはない。従ってJR東海が自社の経営の中で考えをまとめ、必要に応じて地域と話すのが基本だが、静岡はリニアが止まらないので、開業時期について言及する必要はない」
島田市 染谷絹代市長 1日
「個人的な感想なら、いざ知らず。ですから、やはりそこは分をわきまえて話をされるということが、JR東海に対しても国に対しても関係のあらゆる機関に対しても、誠実に物事を前進させていくためには、大事なこと」
「分をわきまえて」と川勝知事に対し注文をつけた染谷市長。
さらに、有識者会議に対する県のスタンスについてもチクリ。
島田市 染谷絹代市長 1日
「議論の中で残念ながら建設的なアドバイスや提言は県から出ていなかった」
47項目の評価は
そんな中で開かれたきょうの会見で静岡県側は・・・
森貴志副知事
「47項目の評価としてこのような数字を出した」
県は、懸念する水資源、生物多様性、トンネル発生土についての47項目のうち17項目が終了したとしました。
ただ終了したのは水資源についての17項目のみ。
生物多様性とトンネル発生土については0項目となっています。
森貴志副知事
「生物とトンネルは0となっているが、これは対話をしている最中であり、その対話の中でもちろん進捗はある。ただ一応終了したものがない。数字としてはこういう数字を出している」
県が会見を開いたことについてリニア新幹線を所管する国土交通省は…。
国土交通省 鉄道局
「現時点でどう対応するかは明言できないが、対応をしないという冷たいことはしない。引き続き国も関与していく。」
いまだ解決の糸口が見えないリニア問題。
県が解決策を発表したことで、事態は動くのか・・・注目が集まります。