個人情報を選挙に利用か…市が市議を刑事告発 市議は会見開き弁明 静岡・下田市

 職務上知り得た個人情報を自らの選挙に利用したとして、静岡県下田市の市議が下田市に刑事告発されました。市議は会見を開いて弁明しています。

下田市 岡崎大五議員:「市民の方に大変不快な思いをさせてしまったことを、深く心よりお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした」

 深々と頭を下げ、謝罪したのは、岡崎大五下田市議です。岡崎市議は、自らが携わっていたNPO法人の事業に登録していた利用者の個人情報を不正に利用したとして、市に刑事告発されました。

 下田市によりますと、岡崎市議は去年4月、自らへの投票を呼びかける選挙用のはがきを送るため、当時理事長として携わっていた「空き家バンク事業」に登録していた市民60人分の個人情報を利用したということです。空き家バンクの登録者から「面識のない岡崎氏から選挙用はがきが届いている」と、市に相談があり発覚しました。市は3月15日、選挙用はがきに職務上知り得た個人情報を利用したとして、岡崎市議を個人情報保護法違反の疑いで刑事告発しました。

岡崎大五議員

渦中の議員が会見

 それを受けて岡崎市議は21日、会見を開きました。

下田市 岡崎大五議員:「私の軽率な行為は責められて当然のものだと痛感しているところです。議会の信頼を損ねるような事態となり、大変ご心配とご憂慮、並びにご心痛をおかけしていますことを謹んでお詫び申し上げます」

 一方で、市から刑事告発されている個人情報の漏えいについては…。

下田市 岡崎大五議員:「私は皆さん友達だと思っている中でも、更に親しくお付き合いをさせていただいている方にお手紙を出したというような認識で、あくまでも親しくなった人に送ったというような気持ちでしかないので、そこら辺は当初から一貫してお話させていただいてるところ」

 選挙はがきの送付は、空き家バンクに登録されている個人情報ではなく、事業を通して親しくなった人の名簿を自らが作成し、その名簿を使って選挙はがきを送付したと主張しました。

 また、今回の刑事告発の発端となった「面識のない岡崎氏から選挙はがきが届いている」という空き家バンクの登録者の相談については…。

下田市議会 岡崎大五議員
Q.市に相談された方って、岡崎さんと面識ないということで一報くれたわけだが?

A.「とご本人がおっしゃっているが、僕にはそれが全く理解できないっていうのが、最初の時から、市とのやりとりの中でお話させていただいていること。私自身、面識があると、少なくとも僕はそう思っていた方にお手紙を出したに過ぎないという気持ちだったので、そこら辺で食い違っているというところがある」

 一方で、市の調査では、今回選挙はがきが送られてきた60人の個人情報が、岡崎市議が理事を務めてきた空き家バンク事業の利用登録者の情報と一致していることが確認されています。個人情報の私的利用は本当になかったのでしょうか。

下田市 岡崎大五議員:「これから司法の場で判断していただけるんじゃないかと思っているので、法律的な判断は司法の場に移るので、私の方から何か言えることはない」

市長は…

 こうした動きについて21日、下田市の松木市長は…。

下田市 松木正一郎市長:「私どもの個人情報というのは、様々な企業に委託して、それぞれの企業が、きちんと守秘義務を守って作業してもらっている。ところが、それを一部の個人的な目的で利用された恐れがあるということは、由々しき事態であって、私どもとしては、これは厳正に対処になければならない」

 市は個人情報の漏えいが確認された60人へ謝罪文書を送付するとともに、今回の経緯をホームページに掲載しています。また、岡崎市議が理事を務めていたNPO法人については、今後契約の見直しも含め検討していくとしています。
              

松木正一郎市長