母子家庭少ないサポート…シングルマザーの声から考える課題 静岡市長選3候補の「子育て支援策」
「シングルマザーのために動いてくれるとは正直伝わってこない」
佐藤さん「入学時にもう少し支援があると進学しやすいのかなと思ったり、改めて困ったことありますかというよりも、いま、その時に相談できるような近い存在である方が良いなと思う。シングルマザーのために何か動いてくれているようなことは正直伝わってこない」
静岡市に住む佐藤さん(40代・仮名)。夫とは7年前に離婚し、大学1年生の娘と高校3年生の息子を育てるシングルマザーです。高校3年生の息子は、去年、普通高校から通信制の高校へと編入したと言います。
佐藤さん「私立はやはり、学校のカラーもすごくあるので、うちの子は合わなくて。コロナでオンライン授業から戻れなくて、不登校になって通信になっているので、無事に卒業してくれればと思うんですけど」
大学進学の時に母子手当てが切れる
授業費に加え、県外の学校へ通うための費用もかかります。
佐藤さん「スクーリングに行かなければならないとなると、ホテル代や行く費用、学費以外にかかるものというのは結構ある。母子手当ても18歳で切れるので、一番大学でお金かかるなという時に切れるというのは大きくて…」
児童扶養手当(=通称・母子手当)は両親が離婚、死別した場合など、
基本的に18歳まで支給される手当てです。静岡市によりますと、静岡市の子育て世帯に対するひとり親世帯は、全体のおよそ2%、5875世帯です。今年度から第二子以降の保育料の無償化が始まるものの、取材に応じてくれた佐藤さんのように高校や大学の子どもをサポートする施策はまだ十分とは言えません。
佐藤さん「シングルマザーって、自分で全部抱えようとして1人で何とかしなきゃと思ってやっている方が多いと思う。もっと精神的な面でサポートが受けられたり子どもたちとの時間が持てるようなことがあるとよかった」
今回の選挙、今後の自身の生活も見据えて、1票を投じます。
佐藤さん「子どもたちが巣立っても、安心できそうな静岡を目指してくれるような方に思いを込めたい。子どもが巣立ったらもう本当に1人なので…」
全国の政令指定都市で最も人口が少ない静岡市。2018年には、政令市の要件の目安とされる70万人を下回り、その後も右肩下がりが続いています。出生率も政令市の中で最下位(2020年国勢調査の速報値より)。どうしたらこの状況を打開できるのでしょうか。
静岡市長選3候補の主張は
9日投開票の静岡市長選には3人が立候補しています。
山田誠氏(61)は子育て支援策として、▼学校給食費と▼妊娠から出産前までの検査費用の無償化を掲げています。
山田誠氏:「待機児童は0になったけど、やはり偏りがあることによって結果的になかなかうまく解消できていないところもある。だからまだまだ総合的に子育て支援政策、少しきめ細やかに、これは自分が市長になったらより検討をさらに進めていきたい」
女性の目線から、子育て世代として政策を訴える鈴木千佳氏(52)。▼学校給食費の無料化、▼子どもの16歳までの医療費の窓口負担、▼子どもの国民保険料の均等割りをゼロと、「3つの〝ゼロ”で子育て応援の静岡に変えていく」としています。
鈴木千佳氏:「保育所も0~2歳児の保育については第二子以降は無料だが、一子も含めて全て無料にするというような思い切った政策をやっていくことが逆に言えば子育て世帯にとってはアピールにもなると思う」
伴走型の支援で出産や子育て・教育の安心感の向上を目指すのが、難波喬司氏(66)です。子育て政策については「早急にやるべきことはあるが、まずは分析が必要」と話します。
難波喬司氏:「私が市長になったら、最初にやりたいことは何かというと、研究会を作って全国の事例を全部集めて、自分のところと全国を比べて何が欠けているかというところを見て、そうするとこれが抜けている、これをやった方がいいのではないかということが分析できるので、それをやる。そのために予算をどう確保するのかを考え抜いて、その中で一番効果がありそうなことからやっていく」
静岡市長選は9日投開票です。