トラック2024年問題 深刻なドライバー不足に「運べない荷物が出てくる」
岸田総理:
「何も対策を講じなければ、物流が停滞しかねないという、いわゆる2024年問題に直面しております」
岸田総理が言及した「2024年問題」。
それは、来年4月1日からトラックドライバーへの労働規制が強化されることで、輸送量の減少が懸念されている問題です。
政府の推計では、何も対策をしなかった場合、2030年には全国でおよそ34%輸送能力が不足し、年間9億トン相当の荷物が運べない恐れがあるとしています。
この影響は、県内にも出始めています。
物流大手のヤマト運輸は、これまで「翌日」だった宅急便の配送を、6月1日から一部地域で「翌々日」にすると発表しました。
対象となるのは、首都圏から中国・四国地方の一部へ送る荷物や、静岡県の一部地域から福岡県へと配送される荷物などです。
静岡県内の一部地域には、浜松市や磐田市などの県西部と、川根本町や島田市など県中部の一部地域が含まれています。
背景にあるのは、ドライバー不足。
これまでトラックドライバーには、時間外労働の上限はありませんでしたが、来年4月から年間960時間に制限されます。
時間外労働の制限によってドライバーの収入が減少することで、来年4月からは人手不足がさらに深刻化することが懸念されています。
こちらは浜松市内にあるトラックステーション。
ドライバーに「2024年問題」について聞いてみると・・・
袋井市から:
「走ってなんぼでやっているので、やっぱりそれだけ稼ぎも減ってくる」
愛媛県から埼玉県に荷物を運んでいるというこちらのドライバーは・・・
愛媛県から
「(2024年問題に置きかえると)きょうだったらここで終わりですね。あした埼玉に朝着くのは無理になる。間に合わない。あした着があさって着、到着は遅れると思う」
Q荷主は理解してくれる?
「してくれないと思う。荷主をとるか決まりをとるか」
ドライバーを雇う側も…
ドライバーを“雇う側”からも戸惑いの声が上がっています。
静岡市内にあるこちらの運送会社。
運搬しているのは主に食品関係や自動車部品などです。
県内や愛知県への運搬が中心で、遠い所だと、西は兵庫県、東は群馬県まで荷物を運んでいます。
来年からスタートする制度に対応するため、去年からドライバーの時間外労働を減らし始めました。
山崎運輸 山崎俊昌 社長:
「締日が近いと、残業がもうマックスいっているから、やらせないでとかいう話が実際でているので、そういったところをぎりぎりになって分かるのではなくて、どのタイミングでもリアルタイムにドライバーの勤怠を把握する必要性はでてくる。」
来年に向けた取り組みが進むなか、現場からは・・・
山﨑運輸 山口貴光 次長:
「荷待ちという荷物を積むまでの待機の時間、到着した降ろし先での降ろし待ちという時間も考慮した上での運行になるので、そこは荷主さんの協力も必要になってくる」
避けられない労働力の問題。
国による積極的な関与も期待しています。
ON 山崎運輸 山崎俊昌 社長
「働ける時間の上限が決まるということは、それ以上にはならないという話なので、運べない荷物がでてくるというところに対して、国も含めてどういうふうに対処していくのか。一運送業者のみならず物流業界全体で考えていくというところになる」
来年の4月に向け変わり始めた運送業界。
「労働環境の改善」の裏で解決しなければいけない課題は山積しています。