【リニア】2027年の開業が絶望的な状況の中、水問題ほかに残土問題も…残土置き場所について静岡・川勝知事「ここは不適ではないかと思う」

品川―名古屋間の2027年開業が掲げられたリニア中央新幹線。

 大井川の水問題や、南アルプスの自然などに対する懸念から、静岡県内ではまだ工事が始まっておらず、2027年の開業は絶望的な状況です。

画像: 【リニア】2027年の開業が絶望的な状況の中、水問題ほかに残土問題も…残土置き場所について静岡・川勝知事「ここは不適ではないかと思う」

水問題だけでなく工事で出た残土はどうする?

そんな中、14日南アルプスの生態系への影響などを議論する国の有識者会議が開かれました。
 
 会議ではJR東海が今後の議論を進める上で必要な沢の流量の分析や沢の動植物の調査について説明し、委員との意見交換をしました。

 リニア問題と言えば、大井川の水問題がクローズアップされています。

 しかし、トンネル工事で出た残土をどうするかという問題もあるのです。

 静岡県内のリニア工事で発生する土砂の量は推計370万?。

 このうち残土を置く場所として最も規模が大きいのが燕(つばくろ)です。

 川勝知事も去年現場を視察しています。

JR東海担当者:
「この部分は地形としては、平坦な地形に計画をしております。できたものについては、今はそこの管理が非常に重要になるのでそちらについては弊社が将来にわたって責任をもって維持管理を行うことで考えている」

川勝知事:
「私はここは不適ではないかと思う。このように平坦になってるのかっていう理由についてはですね。しかも木が生えていないんですよね。なぜかと言うと、その上千枚沢の方から、深層崩壊、つまり土石流が流れてくるよなところに盛土を持って大丈夫かっていう議論がある。それを前提にしたシミュレーションでないとダメ」

画像: 水問題だけでなく工事で出た残土はどうする?

残土について県は条例適用外の対象にはならないと判断

川勝知事は、残土置き場として相応しくないという考えを示しました。

 また、残土の中には自然由来のヒ素などの重金属が含まれているものがあるといいます。

 これらは「要対策土」と呼ばれ、特別な対策が必要になります。

 この「要対策土」についてJR東海は大井川上流部の藤島に置くことを想定しています。

 そんな中、県は熱海市の土石流を受けて盛り土条例を強化しました。

Q.静岡県の盛り土規制条例が7月に施行され、対策土の盛り土が原則禁止となった。対策土を藤島沢に置く計画を維持しているが、例外的に盛り土できる適用除外を受ける事の条件の1つに、工事の事業区域内に盛り土すると条例では定められているが?

JR東海 金子慎社長(去年8月):
「自然由来の重金属を含む対策土に対する盛り土に関する適用の除外の情報について、これから適用されるのかどうか県と相談していく」

 条例では、適切な措置が行われていれば、適用除外もできるとしています。

 しかし、県は、リニア工事で出た要対策土は、除外の対象にはならないとしています。

画像: 残土について県は条例適用外の対象にはならないと判断

こうした問題を抱えているのは、静岡県だけ?

岐阜県の中津川市。
 
 去年6月からリニア新駅の建設が始まり、岐阜県民からも期待の声が…。

岐阜県民 中津川市民(10代):
「心待ちにしています。東京の秋葉原とか、自分オタクなので、カードとか売ってるお店に行って見てみたい」

岐阜県民 中津川市民(10代):
「栗きんとんが有名なので、もっと栗きんとんが有名になるんじゃないか」

 その一方、リニア工事で発生する土に不安を感じる人もいます。
 
 同じ岐阜県の御嵩町。

 カエデの仲間のハナノキ。限られた地域にしかないため絶滅危惧種にも指定されています。

 町はリニア工事で出た土について、「工事で出た土は町内で受け入れる」と表明。

 受け入れによって貴重な自然の一部がトンネル工事で出た土で埋まってしまう可能性があると指摘されているのです。

岐阜県民 御嵩町民(20代):
「御嵩町の自然を残してほしい。築き上げたものがなくなるのは悲しい」

岐阜県民 御嵩町民(60代):
「JR東海がうまくやってくれることを期待はしていますけど」

 不安の声に対しJR東海は「土の置き場は、ハナノキの群生地をできるだけ回避する」「避けられない場合は、ハナノキの一部を別の場所に移す」などと説明しています。

 水だけではなく、残土の問題など、リニアをめぐる問題はまだまだ続きます。

画像: こうした問題を抱えているのは、静岡県だけ?