ドーム型か野外球場か…議論続く「新野球場」 『ドーム型』なら使用料1日9万円以上 アマチーム「趣味でやっているので…」 浜松市
「屋根のあるドーム型」か「照明のない野外球場」か
浜松市の沿岸部にある遠州灘海浜公園。今は畑などがあるこの場所に、県は新たな野球場の建設を予定しています。ここは、ウミガメの産卵地からもほど近い場所。県は照明による影響を避けるため、球場の構造を「屋根のあるドーム型」か「照明のない野外球場」の2つの案に絞っています。この問題を複雑にしているのが、球場の規模です。
浜松市 鈴木康友市長(去年12月):「プロ野球が開催できる2万2000人規模とすること。自然環境に配慮した、野球以外の幅広い大型イベントが開催可能な全天候型ドーム構造にすること」
去年の年末、知事のもとを訪れた、浜松市長ら新野球場の建設期成同盟会は、2万2000人規模のドーム型の球場を要請しました。
県の試算によると、球場の建設費は、アマチュアの使用を想定した1万3000人規模で、照明なしの場合は70億円。一方で、プロ野球の試合も可能な2万2000人規模のドーム型となると、球場だけで370億円にのぼると言われています。
これについて、川勝知事は…
静岡県 川勝平太知事(2月16日):「プロ野球界でもファームからではあるが、静岡への熱い視線も感じられるまでになり、そうした空気は、静岡のドームに対して、ドームというか、まだ決まっていないが、そうしたものであった方が望ましいという方向に向いているなと。球場がきっちりしていると関心が示されることは確実だという感じがある」
県議会でも論戦 県「プロ野球は年1試合」か
県は、年間の経済効果を2万2000人のドーム型で21億4000万円、1万3000人の屋外型で2億8000万円と見込んでいます。また、この野球場の建設について、財政負担を軽減するため、民間の資金を活用する「PFI」の導入も検討し、新年度から調査を行う予定です。3月1日に開かれた県議会建設委員会では、この野球場の問題に質問が相次ぎました。
無所属 諸田洋之県議:「官民連携や地元の協力が得られなかった場合、県単独で(2万2000人規模のドーム球場を)造ることは現実的ではないと思うが、その考えを聞かせてほしい」
県担当者:「非常に厳しいと思う」
自民改革会議 竹内良訓県議:「年間にどのくらいの経済波及効果や収入を想定しているのか?」
県担当者:「需要予測として、年間にプロ野球が1試合1万6000人程度の観客がある。年1回の音楽フェスで2万人規模が2日間、こういったものを認識している」
県は、新野球場で行われるプロ野球の試合を、年間に1試合と見込んでいることを明らかにしました。
県民は…
これについて、県民は…
浜松市民:「年に1回というのはちょっと厳しい。結局、我々の税金に関係があるので」
浜松市民:「この街はサッカーの方がみんな好きだから、野球場は必要あるのかと思ってしまう」
磐田市民:「年代関係なく野球が好きな方は多いと思うので、もし球場ができたら、色々試合があれば見に行く方も多いのではないか」
ドーム型なら使用料は1日9万円以上か…アマチュア野球チームは
野球場を使うのは、プロだけではありません。アマチュアが野球場で試合や練習をすることもあるのです。ただ、使用料もドームと屋外型で大きな差が出てきます。県の試算によると、使用料はドーム型では1日9万円以上。屋外球場の5倍以上の料金になると見込まれています。
こうした状況に、浜松市のアマチュア野球チームは…
浜松C-Rex 井口拓也さん(32):「野球をやっている身からすると、ドームとなると、趣味でやっているので、1回の活動に10万円近くかけるというのは、実際どうかといったところもある」
井口さんが代表を務める草野球チーム「浜松シ―レックス」は、年に1~2回ほど、浜松球場を借りて練習をしているそうです。料金は半日でおよそ1万5000円。普段使っているグラウンドと違い、設備が充実していて、メンバーには大きなモチベーションになっています。
浜松C-Rex 井口拓也さん(32):「スコアボードや電光掲示板が使えるという面では、そこまでの設備が他の球場にはないというところで、実際他の球場でやるときと比べると、出席率がよくなったりもしている」
井口さんは、野球ファンとして、ドーム球場の良さを理解する一方で、野球場は身近な存在であってほしいという複雑な思いを抱いています。
浜松C-Rex 井口拓也さん(32):「年数回のプロ野球だけとは言わないが、そんなに使わないのにドームにする必要はあるのかというところもある。第一に市民が使いやすいような球場ができてくれたらと思う」
県は、新年度に行う調査結果をもとに、野球場のタイプを選定します。そして来年2月に基本計画を策定する方針だということです。