静岡・川勝知事の『不信任決議案』提出(前)…自民は4回の議員総会で提出決める ドキュメント県議会の一番長い日
「おはよう」から始まった12日の静岡県議会は、思いがけない展開に…。日をまたいだ深夜まで続いたのです。その理由は…
議長(12日午後10時半):「川勝平太知事に対する『不信任決議案』が提出されております」
50年ぶりとなる、知事への「不信任決議案」。この事態に、夜の県庁内は大騒動。県の職員も、取材する記者も、慌ただしく走りまわる事態に…。
静岡朝日テレビカメラマン:「右、右、右、そこから出てくるから」
そして、13日未明、不信任案の採決が行われました。
県政史上最長。日付けをまたぎ、真夜中の閉会となった県議会6月定例会。その背景にあるのは“あの問題”です。
静岡県 川勝平太知事(おととし10月):「あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている。あちらは観光しかありません」
問題の始まりは「コシヒカリ発言」
おととし10月、参院静岡選挙区の補欠選挙で、候補者にゆかりのある浜松市と御殿場市を比べ、「御殿場市にはコシヒカリしかない」と言い放った川勝知事。いわゆる、この「コシヒカリ発言」に端を発し、川勝知事は「自らへのペナルティー」として給与やボーナスの返上を表明していました。
ところが先週、それが実行されていなかったことが発覚。1年半以上前の問題が再び注目を集めることになったのです。
静岡県 川勝平太知事(11日):「私は御殿場に対して大変強い愛着をずっと最初から持ってきた。いかにして御殿場を中心にした東部の発展に寄与できるかと。これは一貫して変わりませんで、結局返上したい気持ちと、同じ気持ち」
「返上したい気持ちはあった」とする川勝知事。知事が報酬を返上するためには、議会で条例の改正が必要ですが、返上に関する条例改正案は、これまでに議会に提出されていませんでした。
川勝知事「条例案をご審議いただける環境に変わった。9月県議会に提案したい」
そして、12日午前10時半、県議会6月定例会最終日が開会。川勝知事に発言の機会が与えられました。
静岡県 川勝平太知事(県議会 12日):「給与返上に関して、県議会をはじめとして県民の皆様に十分にわたしの考えをお伝えしておらず、不信の念を抱かせてしまったことを
まずもっておわび致します(頭を下げる)。給与を返上するための条例案の議会への提案に向けて、様々な努力や調整をしましたが、議員の方々からの辞職勧告決議は給与返上を求めるためのものではないという考えが、給与の返上と自らの責任のとり方には関係性がないとの意見等を踏まえ、当時提案を見送ることといたしました。給与を返上するための条例案を提案したいとの思いは、その後も全く変わっておりません(場内ざわつく)。給与を返上するための条例案をご審議いただける環境に変わったと認識いたしました。つきましては、私は次の9月県議会に、給与の一部返上するための条例案を提案したいと存じます」
給与返上について頭を下げた川勝知事。次回の9月の県議会で返上のための条例改正案を提出する意向を表明しました。しかし、6月県議会はこれで閉会とはなりませんでした。
自民改革会議 杉本好重県議:「議長!15番」
議長:「15番、杉本好重くん」
自民改革会議 杉本好重県議:「議事進行。ここで暫時休憩を求めます」
自民改革会議が休憩を求めたことで、議会は終了せず、一旦休憩に。川勝知事、このとき何を思っていたのでしょうか。
自民改革会議「不信任決議案」提出めぐり4回の議員総会
その後、議会運営委員会が開かれ、川勝知事に対し質疑を行うことが決定。この質問状をめぐって、県議会最大会派の自民改革会議内では、重大な局面を迎えていました。
「不信任決議案」を出すのか、出さないのか…。
午後3時半。自民改革会議は、この日3回目の議員総会を開きますが、ここでも決まりませんでした。
午後4時50分。ようやく本会議が再開したものの、議会の時間は規則で午後5時までとなっているため、県議会は、翌日の午前0時まで延長されることになったのです。
さらに時は過ぎ、午後5時半。自民改革会議は、この日4回目となる議員総会を開きます。ここでようやく「不信任決議案」を出すことを決定。
自民改革会議 伊丹県議「批判避けるためのその場しのぎの発言だったのでは」
そして午後6時40分、本会議が再開。トップバッターで質問にあたったのは、自民改革会議です。
自民改革会議 伊丹雅治県議:「この条例案については知事が提出しようと思えば提出できたわけで、提出を見送ったのは、あくまで知事自らの個人的な判断であります(野次「そうだ!」)。今回の騒動がなければ黙っているつもりだったとすれば、批判を避けるためのその場しのぎの発言であったということになります(野次「そうだ!)。県民に対して責任を果たしたと考えるのか。また、今後についてどのように身を処して行くつもりなのか、答弁を求めます」
川勝知事「今後とも辞職勧告決議を真摯に受け止める」
静岡県 川勝平太知事:「県議会の皆様のご理解のもと、給与返上するための条例を認めいただければ、私自身が設けたペナルティーが実現されるものであると考えております。しかし、給与返上をお認めいただいたとしても、知事の職にある限り県議会から辞職勧告を突きつけられたのであることに変わりはありません(野次「その通り!」「やめろや」)。今後とも辞職勧告決議を真摯に受け止めて参ります」
ふじのくに県民クラブ 伴県議「本会議で表明にいたった理由は」
一方、川勝知事を支える県議会第二会派のふじのくに県民クラブは…。
ふじのくに県民クラブ 伴卓県議:「給与を返上するための条例案を提出した考えについては、全く変わりありませんと知事は答弁をされています。我が会派としては、その後の知事の考えは一貫して変わっていなかったとの認識であります(野次「おかしいだろ」)。知事は給与返上についてどのように扱おうと考えておられたのか、そして、今回のこの本会議での表明にいたった理由を改めてご説明いただきたいと思います」
川勝知事「給与を返上したい思いは一貫して変わっていない」
静岡県 川勝平太知事:「当時、給与返上するための条例案の県議会への提案に向けて、様々な努力や調整を行いました(野次「してないだろ!」)。しかし、議員の方々から辞職勧告決議は給与返上を求めるものではないというご意見等を踏まえまして、提案を見送ることとし、現在に至っております。一方で給与返上の条例案を提案したいという思いは、その後も一貫して変わっておりません。県議会においてご審議頂ける状況になれば、提案する意向でございました。ご審議いただける環境に変わったと認識いたしました。今般、9月県議会で条例案を提案する考えを表明したものであります」
「議事進行。休憩を求めます」
午後7時前。再び自民改革会議からの要求で休憩に。そして3時間後、大きな動きが。
県議会最大会派、自民改革会議の増田代表は実に50年ぶりとなる知事に対する「不信任決議案」を議長に提出しました。