脳梗塞で闘病中の19歳アイドルに航空会社「FDA」がエールを送るワケ 飛行機が結んだ特別な縁
今年2月、19歳の女性アイドルが「脳梗塞」を発症したと公表しました。そのアイドルにエールを送り続けているのが、静岡市内に本社を置く航空会社「FDA(フジドリームエアラインズ)」。アイドルと航空会社。あまり接点がなさそうですが、どんなつながりがあるのでしょうか?(取材・文=三浦徹)
19歳で脳梗塞を発症
鈴木愛來(すずき・さら)さんは2006年生まれの19歳。名古屋市・栄を本拠地とするアイドルグループ「SKE48」を2025年2月に卒業。その後別のアイドルグループに加入すると発表していました。
しかし今年2月、所属事務所はXで鈴木さんが「脳梗塞」を発症し、入院したと発表しました。高齢者に多い病気というイメージがあるだけに、19歳の鈴木さんの発症は大きな衝撃を与えました。鈴木さんは、のちにアイドルグループへの加入も見送ることになりました。
病気を公表した鈴木さんのXには、ファンからの励ましの言葉が並びました。
発症を公表した後も投稿を続けていた鈴木さんですが、3月には「FDAの皆さんからとっても温かいビデオメッセージをいただきました」とXに投稿しています。
アイドルと航空会社、あまり接点がなさそうですが、どんなつながりがあるのでしょうか? 実は鈴木さんは「飛行機好きアイドル」として知られる存在でした。
飛行機好きなアイドル
●FDA 営業企画部 井上翔さん:
「2025年に静岡空港で行われた、FDAのファンミーティングに鈴木さんが特別ゲストとして来てくれたのがきっかけです。イベントではうちの制服を着てもらいました。鈴木さんは飛行機好き、空港好きアイドルとして知られていますが、飛行機にとても詳しくて、若い人でもそういうことに興味のある方もいるんだと思いました。飛行機の話をしている姿がきらきらしていて、すごく魅力的でした」
その後、鈴木さんがSKE48を卒業した後も、FDAとの交流は続きました。鈴木さんは2025年11月に行われた「FDAメンバーズ」登録者を対象にした、清水港の特別クルーズにも母親と参加。昨年末には、静岡空港を出発し飛行機で富士山の周りを周遊するFDAの「富士山遊覧フライト」に招待されるなど、両者の関係は一層深まっていきました。
しかしその2か月後に脳梗塞を発症。そのことを知った時はどんな気持ちだったのでしょうか?
●FDA 営業企画部 清水仁志さん:
「数か月前にクルーズでお会いした時は元気だったので、やはりショックでした。これからいろいろコラボができるかなと思っていました」
ビデオメッセージでFDA職員がエール
発症の知らせをうけ、ショックを受けた清水さんですが、すぐに鈴木さんのためになにかできないかと考えたということです。
●FDA 営業企画部 清水仁志さん:
「鈴木さんを勇気づけようと思って、ビデオメッセージをつくることになりました。客室乗務員など、社内のいろんな部署の人に声をかけ、その時に集まることができた20人くらいが参加しました。名古屋小牧空港に勤務する職員も参加しています。みんなで『元気で戻ってきて』と言っているだけの動画ですが、鈴木さんに送らせていただきました。富士山や静岡空港の様子も動画の中に入っています」
鈴木さんが3月にXへ投稿した内容は、その動画に対する反応だったようです。
その後、鈴木さんは5月13日に「おはよう 手術がんばってくる」とXに投稿。17日には「集中治療室から戻ってきました」と投稿し、手術が無事に終わったことを報告しましたが、その中で「想像していた10倍くらい大変だ」と戸惑う様子をうかがわせました。
人生の7割くらいの痛みは経験した
26日に退院した鈴木さん。その後、YouTubeチャンネルを開設するとXで発表しました。その中の動画で発症してからこれまでを、自分の言葉でしゃべっていますが、その中身は壮絶です。
●鈴木愛來さん(YouTube):
「SCU(脳卒中集中治療室)はカメラがついているような病室だったんですけど、考えるだけで涙が出てきてしまう時期もあって、そういうときは消灯後まで頑張って我慢して、暗くなったらふとんをかぶって泣くということをしていました」
「入院した日から退院してしばらくするまで、ずっと同じような夢を見ていて。シチュエーションは毎回違うんですけど、結末はずっと一緒で、最後に自分がすごいストレスをうけて倒れて視界が真っ暗になるという夢」
「手術後痛くて、人生の7割くらいの痛みは経験したなというレベル」
「頭に大きな傷が残ってしまった」「主治医の先生が仕事のことを考えて、できる限り髪の毛を残しつつ、きれいに頭を切ってくださったので、髪の毛を下ろしていると全然わからないくらいになっている」
19歳で乗り越えられた自分ならたいていのことはできる
FDAの井上さんもこの動画を見たそうです。
●FDA 営業企画部 井上翔さん:
「内容は壮絶で、19歳にしてそういう経験をしたことに心が痛みますが、ちゃんと自分の言葉でしゃべっていたので、すごく回復していると感じました。YouTubeで活動しようとするなど、メンタル的にも回復しているんだなと思ったら安心しました。彼女とまたご一緒できることがあればコラボしたい」
5日の動画で、鈴木さんは大変な闘病の様子を伝えながら、「これを19歳で乗り越えられた自分なら、たいていのことはできるのではないかと前向きに考えている」と力強く語っています。
FDAはエールを送り続ける
●FDA 営業企画部 清水仁志さん:
「早くよくなってもう一度応援したいと思います。まずは体を治すことが優先で、元気になったらまた静岡空港にきてほしい。何ができるかわかりませんが、彼女がやりたいことがあって、それがFDAとつながることがあれば提案したいと思っています。一緒にグッズとか作ってみたい」
闘病中の鈴木さんに「頑張れ」と軽々しく言うことはできませんが、前を向いて歩み続ける鈴木さんに、FDAはこれからもエールを送り続けることでしょう。