御殿場「コシヒカリしかない」発言 川勝静岡知事「完全な誤解」
川勝知事「コシヒカリしかない」 広がる波紋
川勝知事(先月23日):「あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている」
知事釈明「完全な誤解」
きょう川勝知事が、取材に応じ、次のように釈明しました。
川勝知事(4日・午前):
「まことに誤解なので。誤解で御殿場市を、マイナス評価を言ったかのごとく言われたのは誤解なので。完全な。そんな意図は全くありません。ですから誤解を与えたということにつきましては、短い時間に選挙戦で3分以内に喋れということだったので、そこでの発言でしょ。だから本当に残念であるということを申し上げた」
「知事が言う言葉か」市議会議長も問題視
知事が「誤解だ」と語ったのは、参院補選最終日の先月23日。
浜松市で行われた山崎真之輔氏への応援演説での発言です。
演説の中で知事は、浜松市の市議・県議を務めた山崎氏と、御殿場市の市長を務めた若林洋平氏について、浜松市と御殿場市を比較しながら、有権者に選択を求めました。
川勝知事(先月23日):「浜松やらまいか大使の川勝平太でございます。今回の補選は、静岡県の東の玄関口、人口は8万強しかないところ。その市長をやっていた人物か。この80万都市、遠州の中心浜松が生んだ、市議会議員をやり、県議会議員をやり、私の弟分。こういう青年、どちらを選びますか。こちらは食材の数も、439ある静岡県のうち3分の2以上がある。あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている。こちらにはウナギがある。カキも出てくるし、シラスも出てくる。そして三ケ日ミカンもある。肉もある。野菜もある。タマネギもある。もちろん餃子もある。何でもある。そういうところで育んできた青年を選ぶのか、はっきりしています」
さらに。
川勝知事(先月23日):「よろしいですか皆さん、浜松遠州、経済はここが引っ張ってきた。あちらは観光しかありません。それしか知らない人間が、静岡県全体の代表の参議院議員になってどうするんですか。ダメです」
知事の「コシヒカリ発言」について、御殿場市民からは「悲しい」「失礼だ」などの声が。
御殿場市議会の議長も。
御殿場市議会 高橋靖銘議長:「静岡県知事が言う言葉ですか。明らかに差別発言です。御殿場市も静岡県です。いくら主義主張が違うとしても、この発言は絶対に許せません。御殿場市議会議長として厳重に抗議します」
若林氏を擁立した自民党県連は、県議会で追及する構えを見せました。
自民党県連 野崎幹事長:「我々は御殿場市民を県民と思っているし、35市町が固まっての静岡県だ。そのひとところを辱めるのは、県政のトップとしていただけない言動」
また、知事に近い関係者からも「県民の分断につながりかねない発言」、「これまでの失言とは質が違う」などと心配する声も上がっています。
知事に近い関係者:「もし、岸田総理が『広島県には何でもある。静岡県にはお茶しかない』と演説したら、即辞任だろう。選挙中の勢いだと思うが、さすがにこれはまずい」
当初、知事は、この発言について謝罪まではしていませんでした。
しかし、知事はおととい、沼津市で開かれた東部地域サミットで「誤解を与え、お詫びする」と謝罪したということです。
そして、きょう、知事は次のように語りました。
川勝知事(4日・午前):「私御殿場大好きですからね。もうそれに尽きます。ですから補選の時にコシヒカリ、静岡県が誇る産品。だから(若林氏から)コシヒカリだけあれば他は何もいらないという発言があったので、それを静岡県は農産物が439品目あるので、それとの比較で少しそこのところが際立ってしまって、本当に残念なことだと。時之栖やショッピングモール、馬術大会など私が御殿場をいかに愛しているか、何と言っても富士山がありますから、皆さんご存じ。だけど、コシヒカリ発言だけが何か御殿場全体を言ったかのように誤解されたのは本当に残念だと思っているし、この間、勝又市長にお目にかかって、非常に困っていると言っていて。困っているのは本当に僕も困るということで、皆さんの前で誤解を解くように東部のサミットの前で挨拶する機会を得たので。皆さんの協力のお陰でいろいろなことがうまくいっている。まさに静岡県の玄関口として、小山・御殿場はことのほか発展に力を入れてきたところでもある。ですから、選挙の中で農産物について前の市長が静岡県の農産物についてはあまり深い造詣がなかったようにも思う。しかし、御殿場コシヒカリが素晴らしいことだけは、御殿場コシヒカリだけがあれば他は何もいらないというのは、それくらいパワーのある存在感のある農芸品だということ」
自民県連幹事長「誤解のしようもない発言」
あくまで「誤解だ」と語る知事に、きょう自民党県連の野崎幹事長は。
自民党県連 野崎幹事長(4日・午後):「あくまで他人事のような見解を述べるのが知事の癖。誤解を与えたどころか、確信を持って相手を侮辱していることは間違いないので、これは誤解のしようもないような発言内容だと思う。謝罪をするのは当然であるし、議会との約束の中で、そうした発言は二度としないと言ったにもかかわらず、これを何度も何度もされているので、これについては問題ありという認識でいる」
県庁には、県民らから「御殿場市民を侮辱したような発言は残念」「がっかり」などの抗議や問い合わせの電話などが多数寄せられているということです。