医療機器購入費が足りない…資材高騰で建設費が予算を2割超過 院長「機材も人材も充実させたい」 静岡市清水区「桜ヶ丘病院」

 建物の老朽化などからJR清水駅東口への移転・新築が決まっている静岡市清水区の「桜ヶ丘病院」。去年12月には田辺信宏市長らが出席し、起工式が開かれました。来月にも本格的な工事が始まる予定です。こうした中、新たな問題が浮上。それが「医療機器を購入する資金不足」です。 

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建築資材高騰で建設費が当初予算を2割ほど超過

画像1: 建築資材高騰で建設費が当初予算を2割ほど超過

桜ヶ丘病院 森典子院長:「だいたいどのぐらいの金額で建てられるかというのを試算しながら、予定金額を立てて入札をしたんですけども、そうこうしているうちに、どんどん(建築)資材が値上がりして、何を削るかといったら、他の医療機器であるとか、他で整備しなきゃならない部分をどうしても削らざるを得なくなってきて」

 建築資材が高騰し、建設費は当初の予算を2割ほど超過。医療機器を購入するための予算を充てなければならない緊急事態に陥っています。

画像2: 建築資材高騰で建設費が当初予算を2割ほど超過

桜ヶ丘病院 森典子院長:「JCHO本部がお金を貸してくれるので、相談しながらきたんですけども、やはりそこだけでも充当しきれないということがあって、寄付をお願いしてでも病院の機能を落としたくないということで、地域の皆さんにお願いしようということで、寄付を募ることになりました」

法令で民間金融機関からの借り入れ禁止…頼りは『寄付金』

 目標は5億円、21日までに2000万円ほど集まったといいます。

 JCHO(独立行政法人 地域医療機能推進機構)傘下の病院は、法令で民間金融機関からの借り入れが禁止されていて、寄付に頼るしかないのだといいます。寄付金を活用して、およそ2億円のMRIの検査機器やベッドなどを購入する予定です。

画像: 法令で民間金融機関からの借り入れ禁止…頼りは『寄付金』

桜ヶ丘病院 森典子院長:「(桜ヶ丘病院から)持って行けるものはもちろん持って行きますけれども、(移転後に)はまるものとはまらないものがいっぱいあるものですから、はまらないものについては、もう買うしかない。それと、こちらの機械はかなり老朽化したものがいっぱいあるので、それらも置いて新しいものに刷新していきたいというのがあります」

紆余曲折の病院移転

 20年ほど前から検討されてきた桜ヶ丘病院の移転。2017年にはJR清水駅東口に移転する清水庁舎の跡地への移転が決定します。しかし、コロナ禍となった2020年5月、財政悪化を理由に移転事業はいずれも凍結。同じ年の12月、桜ヶ丘病院を清水駅東口に移転することで、田辺市長とJCHOの尾身茂理事長(当時)が協定を結びます。

画像: 紆余曲折の病院移転

 移転先は決まっても事業の入札が不調となり、3回目にしてようやく成立。桜ヶ丘病院の移転には、長らくの紆余曲折がありました。

 現在の外来診察棟は築60年が経過し、外壁の至る所に老朽化の跡が…。待合室にもなる廊下はご覧の狭さで、天井は穴が開いたり、雨漏りで変色したりしている部分も確認できます。

 協定では2023年度中の開院がうたわれましたが、入札の不調で現時点で2024年12月以降までずれ込む見通しです。

開院は2024年12月以降にずれ込む見込み

 一難去って、また一難。今度は医療機器を購入する資金不足が開院の遅れに拍車をかける恐れもあります。

桜ヶ丘病院 森典子院長:「建築の契約からしても、よっぽどの事がない限り、(来年)12月には竣工することになっていますので、竣工してから私たちは開院の準備をどんどんしていきます。その後の期間はできるだけ短い方がいいので、(2025年)3月くらいには開院したい。それを遅らせてしまえばしまうだけ、皆さんにも迷惑がかかりますし、我々も(予算の)計上が難しいところもありますので、できるだけ遅らせたくないです」

画像: 開院は2024年12月以降にずれ込む見込み

 開院がさらに遅れることになれば、その分費用が膨らむ懸念もあります。

桜ヶ丘病院 森典子院長:「(市民の)大変期待を大きく感じています。その期待に応えるべく、建物とそれから中のもの、そして人もそろえて質を良くしていかなきゃいけないということで、ずいぶん気を張ってこの2年間頑張ってやらなきゃいけないと思っています」