部活動での指導者による体罰や暴言などの行き過ぎた行動 今教育現場で求められる「変化」とは
静岡産業大学 スポーツ科学部長 髙橋和子教授:
「学生たち100人以上に聞くと高校時代中学時代にそういう体験(体罰や暴言)をしたという学生が多いことにびっくりしています。つまり日本の部活動ではそういうのが容認されている可能性もあるかなと思っています」
危機感を口にしたのはスポーツ教育に詳しい専門家です。
去年5月、県東部の高校野球部で監督やコーチらによる部員への体罰や暴言が発覚。
県中部の中学・高校の新体操部では2020年6月頃から7カ月間にわたって顧問が部員に不適切な指導をしたといいます。
さらに4月、県西部の高校野球部の監督が部員に対して暴言を繰り返していたことが発覚しました。
県内でも繰り返し起きている体罰や暴言問題。
背景には一体何があるのでしょうか?
静岡聖光学院高校ラグビー部
「がまん、がまん、がまん、がまん、がまん!オッケー!~」
静岡市の静岡聖光学院高校ラグビー部。
これまでに7度 全国大会に出場するラグビーの強豪校です。
学校では「文武両道」を掲げていますが、部活動は火曜・木曜・土曜の週3日。
1回の練習時間は1時間~1時間半で、1週間合わせても5時間に満たない時間です。
2018年 鈴木大地スポーツ庁長官(当時) 視察
この短時間での効率的な練習が注目を集め、スポーツ庁長官が視察するほど。
静岡聖光学院高校 ラグビー部 松山吾朗監督:
「きょうの練習ではここを改善したいというような目的とストーリーをしっかりとグラウンドに来る前に生徒たちが共有して、来たらあとはそれをやるだけ、チェックするだけというような流れでやっています」
短時間の練習では部員たちの自主性が求められるといいます。
県内でも相次ぐ部活動での不祥事について指導者の目線で考えを聞きました。
静岡聖光学院高校 ラグビー部 松山吾朗監督:
「私も指導者として20年以上やっていますが、いつの間にか監督が勝ちたいになったり、監督が負けたとしたら、すべて自分の責任だという、勝ち負けも主体者が監督・指導者になってしまうと少しずつうまくいかない、いら立ちと焦りがでてくるのではないかと思う」
グラウンドでは監督のことを“ゴローさん”と呼ぶ部員たち。
監督のことはどう思っているのでしょうか?
静岡聖光学院高校 ラグビー部 3年藤田キャプテン:
「部活って楽しくないと駄目かなと思って。すごくゴローさん、ゴロー監督には楽しい関係でやらせていただいているので、自分にとって部活というのはそれぞれの楽しさがあると思うが、楽しいものだと思っている」
静岡聖光学院高校 ラグビー部 3年岡村くん:
「すごく明るい方で、ラグビーにすごい熱心で、熱量がすごいですね」
静岡聖光学院高校 ラグビー部 松山吾朗監督
「部活動の卒部式の時に、多くの生徒たちが何度もやめようと思ったけどここまで来れて頑張れてよかったとあいさつをしていく。彼らが伝えたいことって、諦めないできたから、本当に今幸せです、ありがとうということだが、それは私が指導者として実は非常に自分に問題を感じる枕詞という感じですね。
そんな思いで良いのかな、スポーツ、部活って思って、少しずつそういうところが変わってきたところかなと。」
県教育委員会によると、教職員の体罰や暴言などの不祥事防止策として、
今年度から新たに“アンガーマネジメント”の研修を予定しています。
アンガーマネジメントとは、人間関係を良くする心理トレーニングで、
特に「怒り」の感情に関して問題解決を図るスキルを身につけるというものです。
ON 静岡産業大学 スポーツ科学部長 髙橋和子教授 24秒
「以前の指導者は自分の教えたことを生徒たちが一生懸命やるという方向できていたが、リーダーシップのあり方を180度変えるというような意気込みで、子供が主体であると、それをサポートするのが指導者だというふうに考えることだと思う。」
相次ぐ体罰や暴言。
教育現場でも“変化”が求められています。