聖隷クリストファー落選の波紋…上村監督単独インタ(下)「高校野球って一体何なんだろう。教育はどこにあるのかなと思う」
静岡朝日テレビは4日、聖隷クリストファーの校長で、野球部を率いる上村監督を取材。その胸の内を聞きました。
ダルビッシュ有投手、上原浩治さん…球界からも批判
この高野連による選考理由をめぐって、波紋が広がっています。メジャーリーグ・パドレスのダルビッシュ有投手は、聖隷クリストファー落選を伝える記事とともにツイッターを更新。
ダルビッシュ有投手
「『個人の力量に勝る大垣日大って』。それするならせめて聖隷クリストファー高を選考した上で特別枠で大垣日大高を選考するべきではないんですかね?」
さらに、メジャーリーグでも活躍した野球解説者の上原浩治さんも委員のコメントには賛同できないとの見解を示しました。
上原浩治さん
「選ぶんなら分かりやすくした方がいいよね。今回は決勝まで行ったのに選ばれなかった
委員のコメントとして『個人の力量』っていうのは違うよね。野球は団体競技」
元プロ野球選手の鈴木平さん「勝てる見込みがない…ひどい言い方」
東海第一高校出身で、プロ野球でも活躍した鈴木平さんも今回の選考理由に疑問を呈します。
元プロ野球選手 鈴木平さん(3日):「選考の基準としては間違っているわけではない。
(地区大会の)決勝に出たから選びますとは一言も書かれていない。でもその理由がよく分からない。東海4県の中の決勝を戦ったチームですから、弱くはないですよね。(そのチームを)勝てる見込みがないとか、ひどい言い方ですよね」
現在は治療院を営んでいる鈴木平さん。地元の高校で外部コーチを務めるなど、今も高校野球に携わっています。
元プロ野球選手 鈴木平さん:「聖隷クリストファーの上村監督は、本当にThis is 高校野球のチームを作る。飛びぬけた選手はいないけど勝っていく。今回 東海大会でも、これが野球のだいご味だ、これが高校野球の面白さだというような勝ち方をしていった。エースがいない、レギュラーキャッチャーが故障している。それでよく勝てたなと。でもそこが野球の面白さ。それでも勝てるという。決して大垣日大がどうこうという問題ではない。大垣日大は選ばれたのだから胸張って甲子園に行くべきです。解決策の一つとしては、33番目として もう一度聖隷クリストファーに甲子園に招待します。どうですかと言ってみるのも解決策だと思う。逆にそれを『いや、ちょっと』と言う人もいないと思う」
「高校野球って一体何なんだろう。教育はどこにあるのかなと思う」
今回の騒動を受けて、センバツ大会の主催である毎日新聞は4日、出場校の選考について 異例の説明を掲載。様々な意見が寄せられたことについては、今後の参考にするとしました。
聖隷クリストファー 上村敏正監督:「今後の参考にしたいというのは…。彼らのセンバツはこれしかないんです。彼らの春のセンバツ大会を目指したのは1回しかない。今 こういう声が上がるということは、今までの選考から大きく外れていると皆さんが思ってくれていると思う。ではそれは今後の参考なんでしょうか。ではなくて、今どういう風にこれを私たちが次に向かって頑張っていけるような結果を出してくれるのかなと思う。なぜここまでして…、うちはすいません100%あると思っていた、相手は100%ないと思っていたという学校を、逆転してまで選んで何が幸せだったんだろうかなと、みんなが。すいません こんなことは初めてぼくも言っているんですが、こういう場で言っていいのかどうか分からないが、生徒たちの気持ちが、『これを次の参考にするから頑張れよ』と言われて、分かりましたとはならないと思う。本来なら私たちも これをバネにして次頑張ろうと言うのかもしれないが、それはあまりにも酷すぎて。ぼくも一番最初のときには『夏目指して頑張ろう』と言ってしまったが、『本当に悔しいだろう』と『分かるよ』と言ってあげればよかった。それをきのうは『君たちと気持ちを共感していきたい』と話しました」
石田アナ:40年近く甲子園を目指して高校野球の指導をしてきた上村監督にとって、今回の出来事はどう受け止めているか?
上村監督:「高校野球って一体何なんだろう。プロではない。大学でも社会人でもない。
教育の一環であるという言い方をされてきた。その教育の一環である高校野球が、力はないけど一生懸命頑張って結果を出した子どもたちに『君たちは個人の能力が劣る。投手力も劣る。甲子園で勝てる確率が低い』という判断をされるということは、教育はどこにあるのかなと思う」