J1清水の平岡新監督「私のような端っこが光栄」4人目元所属選手の就任で気合/一問一答
J1清水エスパルスの平岡宏章新監督(51)が2日、リモート会見で低迷するチームを率いる心境と抱負を語った。ピーター・クラモフスキー前監督(42)が成績不振で解任に至ったことについて「(コーチだった)自分にも責任がある」と言いつつ、「もう1度、強いエスパルスの時代に戻したい。戦う集団を作る」と宣言。前監督が唱えてきた「アタッキングフットボール」を継承していくことも明かした。元所属選手が清水の監督に就任したのは4人目で、日本代表の経験なしでは初。地元清水で生まれ育ったことも踏まえ、平岡監督は「光栄に思っています」とも話した。
以下、一問一答
「寝耳に水でした」
―監督就任の要請があった時の思いは
平岡監督 寝耳に水というか、本当に突然でした。私自身、ピーターさんのもとでコーチとしてやっていましたので、彼が目指そうとしていたアタッキングフットボールをしっかり理解して、彼が満足できるところまでサポートできたかっていうと、そうではなかったなと。自分の力のなさを感じ、申し訳ないと思っています。ですので、二つ返事で「やります」というわけにはいきませんでした。ですが、私自身は清水で生まれ育ち、そして、エスパルスの選手として、または指導者として育ててもらった中で、「もう1度、強い時代のエスパルスに戻したい。戦う集団を作りたい」と思いがあったので、「私が力になれるのであれば、やらせていただきたい」ということをお伝えしました。
ー最初に選手たちに伝えたことは
平岡監督 ピーターさんが退任という形になりましたが、そこは私もそうですし、選手たちにも「責任があるよ」と伝えました。戦術的なことは、そんなに今すぐはできないので、とにかく戦う集団を作る。日常のトレーニングから切磋琢磨し、競争して、ポジションを奪って、そして、試合を見に来てくださっている方々に感動、喜びを与えられるようにやっていきましょうと伝えました。
―「戦う集団」の意識は、これまでのチームに欠けていたか
平岡監督 失点が多いところですが、選手たちの能力は低くないと思っているので、トレーニングから体を張れるかどうか、球際では、技術よりも強い気持ちの強い方にボールは転がってくると私は信じてますので、そういうところが足りなかったところと思いますので、「戦う集団」と表現しています。
前監督のサッカーを継承
―どんなチーム作りを
平岡監督 今季残り2カ月、9試合。ピーターさんがやってきたことを継続しながら、守備のところを整理、ゴール前のところの整理、攻撃のところの最後の落ち着きなど、そういうところの質、クオリティーを上げていきたいです。
ー次の神戸戦を前にどんな指導を
平岡監督 守備の時の行き方、そして、攻撃の時の仕掛け方を確認しました。相手チームがどうこうというよりも、自分たちのスタイルを貫いていくことだと考えています。そして、どれだけ落ち着いてゴールにボールを流し込めるかです。守備に関しては、(柏戦で)手応えを感じている選手が多く、私自身も感じています。3バックにするのか、4バックにするのかは言えないです。
ー熱い気持ちが伝わってきますが、サポーターにメッセージは
平岡監督 最後まであきらめないことを徹底してやっていきたと思います。「また次、もう1回見に来たい」と言ってもらえるようなサッカーを見せれるように、日々のトレーニングからやっていきたいです。
―「ぶれずに戦う」と言い続けた前監督を選手たちは、どう受け止めていたか
平岡監督 ピーターさんは、どんな状況でもポジティブな言葉で選手に声を掛けていました。それによって選手たちは「何とか頑張ろう」という風になっていていました。その辺はすごかったと思っています。
―J2降格なしという状況については
平岡監督 私自身も初めての経験ですが、選手たちは、関係なくやっていたと思います。私自身も「別に降格がないからいいや」とは思ってはいません。
―監督は目指すサッカー像とは
平岡監督 難しい(質問)ですが、選手を見てどういうのが適しているのかっていうのが、そこからなので、私の中で別に目指すサッカーは…。ただ、根底はピーターさんが目指したようなアグレッシブなアタッキングフットボールで、それを継承していきたいと思っています。
長谷川健太氏、大榎克己氏、田坂和昭氏に続き
―自身のキャリアとして、エスパルスの監督に就任した思いは
平岡監督 今まで、(元)エスパルスの選手で(清水の)監督をやった人は、(長谷川)健太さん、(大榎)克己さん、田坂(和昭)、次に私になるんですけども、みなさん、すごくエスパルスを愛している人たちで、選手としての実績もある中で、私みたいな端くれの選手が、こういう話をいただいたことはすごく光栄に思ってますし、すごく責任を感じています。
―(監督交代は)選手たちの目に、どう写ったと感じますか
平岡監督 複雑な目をしてますよね。一番は、私に声をかけてきてたやつが声をかけてこなくなったので。そこを自覚しながら、やっていきます。ただ、ピーターさんと私の違いは、私が日本人でコミュニケーションが取りやすいっていうこと。そこを活用しながら、やっていきたいなと。あとは、公平に見て、調子のいい選手を使っていこうと思っています。
◆平岡宏章(ひらおか・ひろあき)1969年(昭44)9月2日、静岡県清水市(現静岡市清水区)生まれ。清水商高、順大を経て92年、創設直後の清水に入団。左サイドバックでレギュラーになり、当時は珍しかったロングスローで話題になった。札幌、新潟でもプレーし、98年に現役引退。99年から指導者としてキャリアをスタートし、新潟でコーチなどを担い、14年から清水ユースの監督。今季はトップチームのコーチを務めていた。