内田篤人、現役ラストキックで鹿島に勝ち点1をもたらす 静岡・函南町出身
静岡県函南町出身で元日本代表の鹿島DF内田篤人(32)が、現役ラストマッチで躍動した。ベンチスタートで後半からの出場かと思われたが、前半15分、右サイドバックで先発の広瀬陸斗が負傷。倒れこんでプレー続行が不可能な状況になったため、同16分、内田は急いで準備をしてピッチに入った。そして、DF三竿健斗から手渡されたキャプテンマークを腕にまいた。
チームは同6分に先制されており、0―1。アップをし直す時間もなかったが、内田はすんなりとゲームの流れに入った。同39分には、相手のカウンターを防ぐため、ボールを持ったG大阪FW宇佐美貴史の足元にスライディング。このプレーでイエローカードを受けた。
内田の引退は、20日、鹿島によって突然の現役引退が発表された。「日本一の右サイドバック」と呼ばれ、ドイツ、日本代表でも結果を残してきた32歳の決断は、国内外に大きな衝撃を与えた。しかし、本人は清水東高時代のコーチ、渡邊勝己さん(現清水東高監督)に「けがをしてから100%にならないので引退します」と伝えていた。事実、2015年に右膝の手術を受けてからは、かつてのような輝きは見せられなかった。今月12日には、ルヴァン杯の清水エスパルス戦(アイスタ)に出場するも、思うようなパフォーマンスが披露できなかった。それが、「引退決断」につながったという見方も多くある。
それでも、鹿島のザーゴ監督は内田の経験、能力を高く評価し、「戦力」としてベンチに入れ、途中出場させた。内田もその期待に応えるべく、要所で好プレーを見せた。守備の比重を多くしながらも、後半34分にはDFラインの裏に走り込み、ゴールライン付近から右足でクロスを上げた。そして、アディショナルタイムに入り、決定的な仕事を果たした。残り1分、右サイドの敵陣中央から右足を振り切り、ファーサイドへクロスボールを上げた。着地点で混戦となった後、味方がマイボールをキープ。左サイドの敵陣深くから荒木遼太郎が左足でクロスを上げ、これに反応したのはDF犬飼智也がヘディングシュートをゴール左に決めた。そして、試合は1-1で終了。内田の現役ラストキックが鹿島にとって貴重な勝ち点1をもたらした。
鹿島ザーゴ監督 勝利ではなかったが、いい引き分けになった。(内田にキャプテンマークをまかせたのは)内田の引退は、彼の出した決断で、我々はそれを尊重しないといけない。僕との付き合いは短いが、どれだけサポーターに愛されてきたのはよく分かる。今後は、彼が私たちに与えてくれた幸せの倍ぐらい、幸せになってほしく思う。
G大阪宮本恒靖監督 (内田は)最後にするのには、もったいないぐらいのパフォーマンスだったように思います。