部員はたった1人―創部77年・熱海高校野球部「最後の夏」に挑む選手の決意
降りしきる雨の中、夢舞台へと歩みを進める、静岡の高校球児たち。
●昨夏王者 聖隷クリストファー 髙部陸選手:
「やっと来たなというか試合が楽しみだな、開幕が楽しみだなという気持ち」
主役に躍り出た、あの夏から1年。史上6校目の夏、連覇へ。
ライバルたちの合言葉は、「打倒、髙部(たかべ)」。その先に見据える、聖地・甲子園。試合には出られなくても、仲間と共に…。
●韮山高校 牛田こころさん:
「歩けると思っていなかったので、みんなの声とか足音とか聞いて皆と一緒に歩くことができてすごく楽しかったです」
●富士市立高校 赤平大和主将 選手宣誓:
「宣誓私たちに関わってくださったすべての方々への恩返しとして、魂がぶつかり合う、最高に熱いドラマを届け、高校野球の真髄を示すことを選手一同、ここに誓います」
108回目の夏。開幕。
ひとりだけ、チームメイトとは異なるユニフォーム。この夏が、学校としても、“最後の夏”。
●熱海高校3年 田口健太選手:
「熱海高校最後だし夏1勝でも多く勝って、感謝の気持ちを持ってプレーしたい」
今年で創部77年目、熱海高校野球部。部員は3年生のキャッチャー・田口健太選手、ただひとり。
平日の練習は、いつも1人。およそ2時間、黙々とメニューをこなします。
部員が集まらず、近年は合同チームでの出場が続いていた熱海高校。去年から部員の募集もやめ、今年が野球部として、“最後の夏”です。
●熱海高校3年 田口健太選手:
「自分ひとりになる実感がちょうど去年くらいに湧き始めて、1人だと野球やっても練習からつまらないので、3年生と一緒に終わろうかなと思っていました」
そんな田口選手を引き留めたのが、杉山監督です。
●熱海高校野球部 杉山聖監督:
「16年携わってきたからこそ、有終の美を田口に飾ってもらいたい」
4人兄弟全員が、熱海高校野球部。末っ子だった田口選手は、1歳の頃からグラウンドに通っていて、杉山監督はその頃から、「熱海高校で野球をやろう」と、声をかけていたそうです。
●熱海高校野球部 杉山聖監督:
「子どもみたいなものですかね。まさか本当に来ると思っていなかったので健太が高校生になるまで、私がここにいるとも思っていなかった」
●田口君×杉山監督:
田口「小さい時の記憶はそんなにないですけど」
杉山「ないの?グラウンド整備したあと、走り回ってたでここで」
田口「遊んだ記憶しかなくて」
●熱海高校3年 田口健太選手:
「面倒見のいい、おじいちゃん顧問」
監督と選手、1対1。どのチームよりも、濃い時間を過ごしてきました。
最後の夏は、沼津工業との合同チームで臨みます。一緒に活動できるのは土日だけですが、去年の秋から連携を深めてきました。
●沼津工業 杉本晃暉主将:
「田口がいてくれると、すごい練習とか試合も活気づきますし、選手としても人としても、練習も普段の生活も頼りになります」
●熱海高校3年 田口健太選手:
「活躍して貢献したい。ひとりでやるより、楽しいので」
熱海高校、最後の夏。16年間の、“集大成の夏”。
●熱海高校野球部 杉山聖監督:
「16年間携わってきて、本当に最後になってしまうのは寂しいことなんですけど、兄ちゃんたちが成し遂げられなかった3年生の夏の大会の勝利を目指してぜひ頑張ってもらいたい」
●熱海高校3年 田口健太選手:
「ここまで付き合ってもらったので恩返ししたい。歴代の先輩たちの顔に泥を塗らないように、有終の美を飾れたらと思います」