観光地に多くの外国人…畳に布団のジャパニーズスタイルが人気 心配なのは「富士山弾丸登山」 伊豆・富士山のインバウンド事情 静岡

 いま外国人観光客が日本を訪れる、「インバウンド」が劇的に復活しています。静岡県にも多くの外国人観光客の姿が。県内屈指の観光地「熱海」でも…。

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県内屈指の観光地・熱海市

ドイツからの観光客 男性:「ずっと日本に来たかったんです。日本に来て2週間になりますが、とても気に入っていて、楽しんでいます」

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イスラエルからの観光客 男性:「たった今、新幹線から降りたばかりです。ここは素晴らしい。忙しい時間を過ごしてきたので、こういう時間が必要でした」

女性:「とっても気持ちがいいです」

 2人が楽しんでいたのは、駅前にある足湯。

イスラエルからの観光客:「旅館で1日ゆっくり温泉につかりながら疲れを癒やしたいです。東京中を歩いて筋肉痛もあるので、リラックスが必要ですね」

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 コロナ禍での入国制限が撤廃され、日本へのインバウンドは絶好調。日本政府観光局によると、5月の推計値では、およそ190万人。コロナ禍前・2019年の7割ほどまで回復しています。

文豪に愛された修善寺温泉 中国女性「川端康成。大好き」

画像1: 文豪に愛された修善寺温泉 中国女性「川端康成。大好き」

 多くの文豪に愛された温泉郷・修善寺でも、インバウンドのにぎわいが―

中国からの観光客 女性:「(目的は)温泉! それと…私たちは日本の本を結構読むんですよ。川端康成という作家。大好きで本を読みました」

画像2: 文豪に愛された修善寺温泉 中国女性「川端康成。大好き」

修善寺温泉旅館協同組合 森孝夫理事長:「日本情緒、自然景観がある修善寺温泉。それを求めて来られていると思っている。(外国人観光客が)2019年以上になる予想はしています」

 6年前からこの地で外国人観光客を迎えてきたゲストハウスでも…。

ホステル ノット 山本涼平代表:「コロナ禍前は、5~6割はインバウンドの方が来ていたが、去年10月からは7割強がインバウンド。日本の方から連絡があってもお断りしていることが多い」

 部屋は基本的にドミトリータイプの相部屋ですが、貸し切りでの利用にも対応。外国人の利用はすでにコロナ禍前を上回っていて、予約は7月中旬以降、秋ごろまでほぼ埋まっているといいます。

アメリカからの観光客 男性:「修善寺は温泉がすごい」

韓国からの観光客 男性:「温泉が大好き。大阪や和歌山にたくさん温泉旅行に行った」

Q.日本は何回目?
A.「日本は7回か8回です」

画像3: 文豪に愛された修善寺温泉 中国女性「川端康成。大好き」

ホステル ノット 山本涼平代表:「伊豆半島のほぼ中心にあるので、ハブ(中継)として利用される方がいて、西伊豆、南伊豆、東伊豆。アクセス的にいいとは言えないかもしれないけど、その分行った価値があるとお客様には伝えている」

老舗旅館 畳に布団のジャパニーズスタイルが外国人に人気

画像1: 老舗旅館 畳に布団のジャパニーズスタイルが外国人に人気

 国の有形文化財に登録されている、明治5年創業の老舗「新井旅館」でも復調の手応えが―

新井旅館 女将 森桂子さん:「7月8月はだいたい日本の方が多いんですけど、今年は海外から(予約が)すごい入ってきている印象。土日は日本の方、平日が海外の方で埋まってきている」

 インバウンドの回復を見越して準備を進めてきましたが、実際に外国人観光客を迎えて気づかされたことも…。

新井旅館 女将 森桂子さん:「海外の方が増えてきたときに、ベッドで休みたいというリクエストがあるのではないかと。全部で4部屋つくったんですけど、布団で寝たいのでベッドじゃないようにしてほしいと。(海外の方の)需要はほぼない」

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 人気なのは、畳に布団のジャパニーズスタイル。ダイニングのセットも、ローテーブルにしてほしいと頼まれるそうです。

新井旅館 女将 森桂子さん:「不自由さを求めて来られている。せっかく日本に来たので、日本っぽいものを味わいたい、そういうリクエストが多い」

富士宮市 弾丸登山が心配

画像1: 富士宮市 弾丸登山が心配

 日本らしさを代表する、富士山周辺でもインバウンドによる変化が。富士宮市の観光協会では4月以降、毎月100件以上、外国人観光客から問い合わせがあるといいます。

 ただ、中には心配な内容も…。

画像2: 富士宮市 弾丸登山が心配

富士宮市観光協会 磯部かれんさん:「今から富士山に登りたい、行ってその日のうちに帰ってきたいと弾丸の登山ツアーを考えている方が多い」

 静岡側では10日山開き、本格シーズンを迎えた富士登山。弾丸登山は禁物です。

富士山周辺のサイクリングツアーが人気

 一方で、海外の富裕層をターゲットにした“あるツアー”が人気を集めています。

 この日参加していたのは、フィリピンから来た4人家族。富士山周辺をサイクリングして自然や食事を楽しむ、トータル6時間のツアーで、お値段はひとり4万円。ツアーを手がける会社によれば、海外の富裕層を中心に、その土地ならではの体験に重きを置いた旅行が世界的なトレンドなんだそう。

画像1: 富士山周辺のサイクリングツアーが人気

長女 20歳:「本当に美しいです。自分の国にこういう場所はないので」

 こちらの家族は日本への旅行が10回目。今回は1週間で東京、富士宮、秋田を訪れるといいます。

父親:「自然は多いし、人も優しいし、食事もおいしい。いいツアーもあります。都市部には観光客が多すぎて、東京や京都などは混み合っているので、ここが最適ですね」

母親:「そうですね。ここが本物の日本という感じがします」

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 富士宮の自然と文化を伝えることがテーマの、このツアー。コロナ禍前から実施していましたが、以前よりも申し込みは増えていて、この夏の予約は埋まりつつあるそうです。

エコロジック 新谷雅徳代表:「うちのところに来られているお客様(のニーズ)は人との出会い、今も残っている文化体験、きれいな自然、ゆっくりとした時間。あんまり背伸びして商品をかっこつけてつくるよりも、地域らしさをそのまま出す方がいいのかなと」

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