3年連続で『移住希望地』全国1位の静岡県…魅力はアクセスの良さ 密着!ある男性が移住先に静岡市を選んだワケ

 ふるさと回帰支援センターの調査では、静岡県は3年連続で移住希望地全国1位に輝いています。そんな中、県は昨年度の移住者数が過去最多を更新したと発表。一体、なぜそこまで“静岡”は人気なのでしょうか?

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 昨年度、静岡県に移住した人の数は2634人で過去最多。市町別では、浜松市が最も多く390人で、次いで静岡市が255人、沼津市が253人、富士市が241人などと新幹線の駅がある自治体の移住が多くなっています。

移住者が多い理由は…

画像: 移住者が多い理由は…

 川勝知事は…。

静岡県 川勝平太知事(5月15日):「1つはもちろん新幹線で、もう1つはやはり高速道路ということもございますので、まあ両方ですね。アクセスのいいところというのが。さまざまな動機の人たちが、それぞれ選択肢がたくさん持てる本県への移住をされてるんじゃないかと思っております」

 なぜ、静岡がここまで人気なのでしょうか? 県内移住者ランキング2位の静岡市は…。

静岡市移住・事業推進係 増田早紀主任主事:「東京にも静岡市への移住相談が受けられるような窓口を設置していて、相談員たちがすごく連携を取って、相談を聞いてくれるような体制になっているので、そういったところで、静岡市の魅力が相談者さんたちにつながって、人気が高まったと思う。テレワークとか二地域居住というような働き方や暮らし方が変化しているので、引き続き積極的に静岡市の魅力が伝わるように、興味を持ってもらえるように情報発信をしていきたい」

神奈川県からの移住者に密着

 一方で、実際に県内に移住した人は、静岡のどういった部分を魅力に感じているのでしょうか。去年2月に静岡市に移住してきた男性に密着取材しました。

画像: 神奈川県からの移住者に密着

 神奈川県から移住してきた竹上勝司さん、59歳。奥さんと2人で、静岡市清水区の三保地区に移住してきました。

去年2月に移住した竹上勝司さん
Q.なぜ静岡に移住してきた?
A.「エスパルスのサポーターをしていて、応援するのに首都圏からだと結構お金も時間もかかるので、定年を迎えたらここに移住してしまおうと決めていた」
Q.まだ定年ではないですよね?
A.「ではないです。コロナ禍でテレワークという形の勤務体系が主流になり、どこで働いてもいいよねということもあって、会社の許可も取って、少し早いが今回移住を決めたという経緯」

 実は竹上さんは、子どものころから大の清水エスパルスファン。チーム創設当初から30年以上サポーターを続けてきています。移住後には、エスパルス戦の年間シートを購入。息子の皐月(さつき)さんと一緒に試合を見に行くなど、清水で趣味に没頭しています。

竹上勝司さん:「これからは移住してきた皆さんに声をかけさせてもらって、一緒にフットサルをやろうと、別のチームを始めようと思っている。せっかく清水が、静岡が好きで集まって移住してきた人たちなので、そこから何が生まれるかはわからないが、せっかくなのでコミュニケーションをとっていければと」

仕事はほぼテレワーク…静岡市の補助金制度が追い風

 そんな竹上さんの仕事はというと…。

竹上勝司さん
Q.そもそもどういった仕事をしている?
A.「社内の情報システムの企画から開発管理全般。ちまたでいうところのシステムエンジニアだが、もっと実際やっている仕事は幅広い」

画像: 仕事はほぼテレワーク…静岡市の補助金制度が追い風

 竹上さんは都内のIT企業で、情報システム管理や業務改善などを行う「ITマネージャー」という仕事をしています。仕事は基本的にテレワーク。静岡市内にいても仕事をすることができます。

 取材したこの日には、中国支社にいる上司と、リモートで業務の進捗状況を確認していました。静岡市では5年前からテレワークで移住した人へ補助金を支給するなど、移住促進制度を進めていて、竹上さんの移住もその制度が追い風になったと言います。

妻は…

 妻の良子さんは、今回の移住についてどう感じているのでしょうか?

竹上良子さん:「本当にエスパルスが大好きなのはわかっていたので、定年後は好きなだけ大好きなエスパルスを応援してくださいという感じで」

勝司さん:「理解があるんですよ。清水は自然が豊かで富士山がきれいに見えて、星がきれい、空がきれい。引っ越してきてからも近所の方がすごく親切にしてくれてよかったと思って」

Q.奥さんはエスパルスは?
A.「勝ちそうな、調子の良い時は応援に行こうかなと、ほぼ行ってないです」

 お昼過ぎ、竹上さんは車で家を出発。

竹上勝司さん:「これからランチに行こうと思っている」

 やってきたのは、移住してから何度も利用しているというお気に入りのフランス料理店です。

竹上勝司さん:「ランチの時もこうやってパソコンを持ち出して仕事しながらです。でも、それを補って余りあるだけのものはあると思う、静岡で。なかなかこんなお店でゆったりと食事するなんて、向こう(首都圏)にいる時はなかなかできなかったし」

画像: 妻は…

 テレワークで移住したことによって、こうして地元の飲食店で食事をしながら仕事ができるのも移住生活の醍醐味だと竹上さんは話します。

目標達成めざし働きながら「大学」の勉強

 静岡ライフを満喫する竹上さん。移住から1年半が経過したいま、静岡で達成したい「目標」ができたといいます。

竹上勝司さん:「今は静岡で学習支援ボランティアという活動をしている。もろもろの事情で学習の機会を十分に得られていない子どもたちに、そういった場所を提供するというボランティア」

 竹上さんが目指しているのが、経済的な事情や家庭内の環境が理由で満足な教育を受けられていない人に向けた「学習支援教室」の設立。その運営をするため、現在は働きながら通信制の大学で経営学を学んでいて、将来的には静岡で地域貢献につなげたいといいます。

竹上勝司さん
Q.それを思ったきっかけは?
A.「これまで社会人生活のなかで、いろいろ山あり谷ありだったが、そういうなかでもいろんな人に助けられて、ここまで来れているし、子どもも独立して時間的な余裕もできているので、これを何もしない手はないので、そういった空いた時間を使って何かしようとしたときに、社会貢献という大げさなものではないが、何か貢献できればと」

 午後5時半ごろ、竹上さんの1日の業務が終了しました。

竹上勝司さん:「いつもこんな感じで、サッカーがない日はご飯を食べてお風呂に入って、(大学の)試験勉強に入るが、きょうはサッカーを見に行きます」

エスパルスの応援に自転車でスタジアムへ

 急ぎ足で何かを始めた竹上さん。実は7日はエスパルスの天皇杯が、ホームのIAIスタジアム日本平で行われた日で、静岡に移住した一番の目的であるエスパルスの応援に向かう支度をしていました。

竹上勝司さん
Q.これからスタジアムへ?
A.「はい、これからいってきます、自転車で」
Q.自転車で行くんですか?
A.「そうです、近いので」

画像: エスパルスの応援に自転車でスタジアムへ

 自宅を出発してから、およそ30分でスタジアムに到着しました。

竹上勝司さん:「住んでいる家からもふらっと来られるし、東京に住んでいるとこうやって試合を見に行くのは旅行になっちゃう。それと比べれば、移住してとても良かったと思う。勝ってくれればいいが、純粋に試合を楽しみたいと思う」

 自然に囲まれ、のびのびとした生活ができる静岡県。都会では味わうことができない「魅力」を移住者は感じていました。