レジオネラ菌は家庭の風呂にも…肺炎にかかると「進行がむちゃくちゃ早い」 死に至る危険性も…静岡県内でも2000年に2人死亡
温泉の安全に今、注目が集まっています。福岡県では温泉のお湯を週1回以上、入れ替えることと塩素濃度を一定以上に保つことが条例で義務づけられています。しかし、この旅館では、年に2回しかお湯を交換しておらず、塩素濃度の基準も満たしていませんでした。旅館の社長はレジオネラ属菌は「大したことではないという認識」で「湯の入れ替えはしなくてよい」と指示していたということです。
糖尿病や腎臓・肝臓障害あると重症化しやすい
ただ、専門家はこうした認識に警鐘を鳴らします。
静岡県環境衛生科学研究所 長岡宏美技監:「人の肺炎を主に引き起こす菌だといわれている」
川や池、土の中など自然界に広く存在するレジオネラ属菌。この菌によって引き起こされる主な感染症がレジオネラ肺炎です。この肺炎はレジオネラ属菌を含んだ蒸気を体内に吸い込むことで発症するそうです。
静岡県環境衛生科学研究所 長岡宏美技監:「一番の特徴は、(一般的な肺炎に比べ)進行がむちゃくちゃ早い。全身の倦怠感があって、なんとなく悪寒がして熱が出る、咳が出るというのがずっと続いて、高熱が持続する。そして呼吸困難が見られるようになって、下手をすると心筋炎など肺炎以外のところにも症状が出てくる。糖尿病や腎臓・肝臓に障害がある、そういった基礎疾患がある方はこの症状が重くなりやすいので、きちんと治療していかないと死に至る危険性が非常にある」
家庭の風呂場で大量繁殖も
命の危険にも関わるレジオネラ属菌。実は身近な場所でも、その危険性が潜んでいます。それが、家の風呂です。レジオネラ属菌は風呂場に生息する微生物の中でも、「大量繁殖」しやすいと言われ、一晩、お湯をそのままにしておくだけで、およそ1000倍に増える可能性があるといいます
静岡県環境衛生科学研究所 長岡宏美技監:「浴槽だけではなく、例えばシャワーキャップや配管は非常にバイオフィルム(ぬめり)が作られやすくて、レジオネラ属菌が住みやすい環境になって風呂での感染が非常に多いです」
静岡県内でも集団感染の事例が。2000年に、レジャー施設で温泉利用者23人がレジオネラ属菌に感染し、うち2人が死亡しています。
「シャワーヘッドは定期的に掃除を」
長岡技監は家庭のお風呂でも注意して欲しい部分があるといいます。
静岡県環境衛生科学研究所 長岡宏美技監:「配管やシャワーヘッドを拭き取って検査をすると、レジオネラ菌が検出されてくることがある。(家庭の場合は)こまめな換水と消毒とはいかないが、お湯が出るところやシャワーヘッドは定期的に掃除をするのが大事だと思う」