【密着】海上保安部の新人潜水士。24歳。 過酷!限界ぎりぎりの初訓練 悔しさにじませ「先輩たちについていけない」 静岡・清水海保

 海の安全を守る海上保安部。その一員であり、さまざまな現場で海に潜る「潜水士」の新人が、初めての訓練に臨みました。難関を突破して就いた憧れの仕事には限界ぎりぎりの過酷さも…。その奮闘ぶりを取材しました。

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【密着】海上保安部の新人潜水士。24歳。 過酷!限界ぎりぎりの初訓練 悔しさにじませ「先輩たちについていけない」 静岡・清水海保

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船から海に入水~
「よーい、いけ(OK)」

 静岡市清水区の清水港。29日、初めての訓練に臨んだのは、清水海上保安部に所属する新人潜水士の丹治知紀さん(24)です。先輩たちとの初訓練は、いきなり一番きついメニューから始まりました。サーキットトレーニングと呼ばれ、海や船、陸との間の移動を繰り返すものです。

「腕伸ばせ腕。声出せ。声出せ。」

 船から陸に繋がる10メートルのロープを渡りきろうとしますが…。

「後ろから来てるぞ。(海に転落)」

 あともう少しでしたが、渡り切る前に海に落ちてしまいました。しかし、トレーニングは続きます。

先輩:「苦しい時こそ声出せよー」
丹治さん:「よし!」

選抜試験の通過者は28人中わずか2人

 丹治さんは去年、海上保安部の潜水士になるための選抜試験を受け、28人中、わずか2人だけが通過したという狭き門を突破しました。そして2カ月間の厳しい研修を経て、29日、初めての訓練に臨んだのです。

 この道を選んだ理由について、丹治さんは。

清水海上保安部 巡視船おきつ 丹治知紀さん
「私が中学一年生のころに東日本大震災を経験しまして、私が出身は東京だったので、大きな被害はなかったんですけれども、テレビで見る被災地の状況だったり、そういう人命救助の現場ていうのを見ることがあって、そこに感じるものがありまして」

 人の命を救いたい。この思い一つで、過酷なトレーニングに向き合います。

潜水班長「不利な場面でも諦めない潜水士になってほしい」

 しかし、ここでアクシデントが…。フィンが取れたのです。

丹治さん:「フィン取れた」
先輩:「潜れ」
先輩:「おい丹治。フィンなくなったらお前やめるのか。やれよ」
先輩:「あきらめるなよ」

 先輩たちのげきが飛ぶ中、最後の力を振り絞り、船に戻ろうとします。しかし、体力はすでに限界に。何度も海に落ちてしまいます。

先輩:「がんばれ」
先輩:「丹治さん、行けるよ ファイトー 気持ち」

 しかし、体は思うように動いてくれません。最後の力を振り絞りましたが船には上がれず終了となりました。

清水海上保安部 巡視船おきつ 丹治知紀さん
「全然、先輩達についていけない状態だったので、本当に改めて自分の力の弱さを感じる訓練になりました」

 悔しさをにじませる丹治さん。しかし、先輩からは新人の挑戦に期待を寄せる声が。

清水海上保安部 巡視船おきつ 知念俊助潜水班長
「この訓練は限界まで追い込んでやる訓練でしたので、ちょっと厳しい面もあったかなと思います。先ほども上から、声をかけていたんですれけども、どんな不利な場面でも諦めない潜水士になってほしいのが一番ですかね」

清水海上保安部 巡視船おきつ 丹治知紀さん
「今後しっかり訓練を積み重ねて、実働等も自分1人で任せられると言ってもらえるようにひとつずつ身につけて、自分の実力をあげていきたいなと思います」

 難関の選抜試験や厳しい研修を乗り越えてつかみとった念願の潜水士。一人前を目指し、どんな訓練にも励む覚悟です。